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地番区域

土地家屋調査士の扱う客体には土地と建物がある。
土地には地番、建物には家屋番号が付され、
その1筆の土地、あるいは1個の建物毎に登記簿が備付けられている。

土地には地番区域毎に番号が付され地番となっている。
地番区域を越えれば当然同じ地番は存在する事になり、
その為『所在と地番』を以ってその土地を特定する。

土地家屋調査士はこの地番を法律的に扱う表題登記を生業とし、
土地分筆登記をすれば新しい地番を付し、
土地合筆登記をすれば不要な地番は削除する。

1筆の土地には当然の如く隣接地があり、
その隣地の地番、地目、地積、所有者といった登記情報も明らかになっている。
・・普通は。

国有林の分筆登記をしていると、実に面喰うケ-スが多々ある。
1筆の土地が非常に広大過ぎて、
地番区域である字(あざ)の中には地番が1筆や2筆しか存在しない。
『高山市奥飛騨温泉郷神坂字○○』
この地番区域には幾度となく苦しめられている。
具体的に言うならば、
『奥穂高岳~南鎌尾根~槍山荘~西鎌尾根~樅沢岳~弓折岳~笠ヶ岳を繋ぐ稜線』
昨年の夏、岳登と歩いた稜線が正にこの地番区域界であった。

この稜線沿いの図面作製をしていると大変困惑してしまう。
何せ隣接地がどれだけ調査しても分からないのだ。
地積測量図には隣接地番も表示する事になっているが、
法務局の登記官共々、止むを得ず根を揚げてしまう。

Googleア-スと林班図を駆使し、飛騨山脈南部の稜線に線を引いてみた。
なるほど、なるほど。
三俣蓮華岳は岐阜県、長野県、富山県の3県の県境。
槍穂の稜線は岐阜県と長野県の県界線。
これらは薄々承知していた。

東鎌尾根が長野県の松本市と大町市の行政区画界。
弓折岳から笠ヶ岳へ延びる稜線はそのどちら側も高山市。
意外に気付いていなく、図面を見て妙に納得。

業務上(半分興味津々で)このような図面を作るに至ったが、
今後の分筆登記にも多いに役立つであろう。
そして今後再びこの稜線を歩く時には、
この地番区域を充分に念頭に入れ、
ただ稜線を歩くのではなく、
境界線を意識して歩いてみようと思う。
区域界
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| 土地家屋調査士 | 08:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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所有権

不動産登記法に係る者として、この事件が以前から気になっていた。
そして久々の新聞記事を目にし、どうも納得がいかなかった。
まずは、リンクの記事を読んで欲しい。
msn産経ニュ-ス

市側は「85年前に学校用地として土地を取得した」とその所有権を主張。
だが、「その当時の契約書は昭和38年の火災で焼失した」とある。
そうか、それなら校庭にミカンの苗木を130本勝手に植えた親父が悪いな・・
とは到底思えなかった。

ではなぜ、今まで市は固定資産税を課税していたのだろうか。
市有地の税金を市民に課していたのか。
事務的な過失、では済まされない重要な問題である。

その親父は土地の登記名義人(実際は先代)であり、固定資産税もしっかり納めている。
普通に考えれば校庭は自分の土地であり、何を勝手に植えようがいいようにみえる。

市としては、固定資産税を課していたのがかなり痛い。
その上契約書は焼失したときている。
なぜ契約書を交わした際に、所有権の移転登記をしなかったのだろう。
「変更登記をする発想がなかった」では済まされる問題ではなく、
言い換えれば「法律を守るという発想がなかった」、いわゆる確信犯である。

その昔から何代にもわたり、その土地を引き継いでいる地主側。
異動でころころ代わり、その場限りの責任主張ばかりする市役所、学校、警察側。
校長は「教育を受ける権利が妨げられて残念だ」と嘆く以前に、
もう少し法律を学んだ方がいいのではないだろうか。

「頼まれたので村に貸した。お金は払ってくれなかった」
ただ地主側のこの主張には、いささか無理があるように思える。
証言できる者は既に亡くなっており、実際は金の授受はあったかもしれない。
今までの固定資産税や迷惑料くらいは求めてもいいかもしれないが、
それ以上は求めない方がいい。

先代、先々代の口約束から生じる所有権絡みの問題(交換未登記のような事例)は多々ある。
法務局の公図では曲がっている筆界線が、過去に当事者同士で話し合い直線にされた。
その際、不登法を遵守し土地分筆登記と所有権移転登記をしていれば、
公図と現況は一致し、後々問題が生じる事はない。
しかし莫大な登記費用がかかり、敬遠される場合がほとんどだ。
その土地を相続した者は、そんな先代同士の話等知る由もなく、
筆界は当然直線だと思い込んでおり、僕等の調査結果に耳を傾けてくれない。

何かしら土地をかまった者は、引き継ぐ者の為にその変更登記をしておくべきである。
今回のこの事件も、これを怠った事が全ての発端となった。
僕の周りにも、未だに登記を移転していない事例は山ほどある。
役所側はこれをいい機会に、登記の重要性を再認識して欲しいと願う。

捨て台詞とも言える、地主の最後の言葉が耳に残った。
「校庭の半分は植えていない。その半分で工夫して遊ぶぐらいのハングリー精神が必要だ」

くだらない大人達の些細な揉め事に振り回されることなく、
”野を駆け山を駆け、腹が減れば雑草を食べ、喉が渇けば川の水を飲む”
それくらいの逞しい子供が育ってほしいものだ。

| 土地家屋調査士 | 15:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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点の記

『点の記』
こう言われてパッとくる人は稀であろう。
新田次郎の小説『剱岳-点の記』が最近映画化され、
少しは皆さんの耳にも届いたと思う。

小説は以前読んでいたけれども、
残念ながら映画は見そびれてしまった。
山と点。
両方に興味がある者として是非劇場で見たかった。
調査士の友人に訊いたところ、
『映画館には山好きな人と測量関係の人しかいなかったよ』
だそうだ。
よくそんな見分けがついたもんだ。
まあ、いい。

『点』には国土の基となる三角点を筆頭に、
街区基準点、引照点、多角点、補助点、筆界点等様々な種類があり、
用途によりそれらを使い分けている。
そして僕の事務所でも公共測量を扱う測量会社程ではないが、
点の記を作成する事が多々ある。

市街地で、
村落地で、
農耕地で、
山林原野で、
下ばかり向いて歩いている人がいるとしよう。
きっとそれは調査士の可能性が高い。

別に何かに落ち込み下を向いているのではない。
挙動不審でよく怪しまれるが、
それはこれらの点を探しているのだ。

土地家屋調査士=点

と言っても過言ではない、
と僕は思う。

剣岳三角点
剣岳の点

| 土地家屋調査士 | 08:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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土地分筆登記

『土地分筆登記』
こう言われてパッとくる人は稀であろう。
とにかく土地家屋調査士は悲しいくらい知名度が低い。
隣接士業の司法書士とはえらい違いだ。
だけど僕はこの資格に人一倍誇りを持ってやっている。

日本の国土には大抵地番が付いている。
国有地等には無地番の場合もあるが・・。
土地分筆登記とは、
1筆の土地(地番)を2筆、3筆等に分ける登記を言う。
何の為にするかと言うと、
例えば自分の土地の一部を他人に譲渡する時など、
分筆して新しい地番(譲渡する方)を形成する必要がある。
自分の土地を丸々譲渡する訳にはいかないからだ。
土地家屋調査士が法務局に対し、土地分筆登記をした後、
司法書士が新しい地番の方につき所有権移転登記を行なう。
そして、片方の土地はめでたく買主の名義となるのである。

子供5人、妻1人(当たり前)と大所帯の我が家では布団を並べ寝ている。
夏の暑い夜、妻の足が僕の土地(布団)に越境してきた。
『コラ、勝手に人の土地に入るなよ!』
『ハッ?』
『ここは俺の土地やでな!』
『もしどうしても足を入れたければ、ちゃんと分筆してな!』
『あっそう。』
調査士(僕)と補助者(妻)ならではの会話である。

こんな事はどうでもいい。

今日僕はとてつもなく感動した。
脇見運転ばかりして危なくもあった。
それ程素晴らしかった。
景色が・・である。

奥飛騨温泉郷に2つ抱える現場に向う為、車を走らせた。
この土地分筆登記をする為、今日は現場の測量を行なう。
快晴の青空の下、白い峰々が続々と飛び込んできた。
先ず、笠ヶ岳と穂高連峰。
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笠ヶ岳、穂高連峰と蔵柱集落

続いて焼岳。
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焼岳と田頃家集落

次は蒲田富士と槍ヶ岳。
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蒲田富士、槍ヶ岳と中尾集落

場所を変えて、笠ヶ岳から抜戸岳へ延びる稜線。
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笠ヶ岳、抜戸岳と鍋平公園

僕は完全に高揚していた。
何回見ても決して飽きる事のない景色が目の前にあった。
誇らしげに山の名前を説明する僕の隣りで、
山に興味のない妻は、

完全に呆れていた。

| 土地家屋調査士 | 08:00 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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建物表題登記

『建物表題登記』
こう言われてパッとくる人は稀であろう。
よく『なんですか、それ?』と訊かれる。

不動産登記法というマイナ-な法律では、
『建物を新築増築した場合等、1ヵ月以内にその登記を行わなければ、
10万円以下の過料に処す』
という僕等調査士にとっては非常に有難く、
国民にとっては非常に厳しい内容の条文がある。

建物表題登記とは、
管轄する法務局に対し、調査士が代理申請するもので、
建物の所在地番、種類、構造、床面積、名義人を登記する手続きだ。
調査士がそれら表題部の登記をした後に、
司法書士が権利(所有権、抵当権等)の登記を行なう。

しかし、車のスピ-ド違反は誰もが犯すように、
この法律もあまり守られていない。
誰もこの条文を知らないのだから仕方がない。
たぶん管轄する法務省の役人ですら、
守っていない人は絶対いる筈だ。

まあ、いい。
僕が言いたいのはこれから。

以前僕はこの資格で生きていく事を夢みて、
3年程厳しい親方の下で修行させてもらっていた。
それはとてもとても厳しい親方で、
辛くて何度も辞めようと・・
は思わなかった。
修行している身なので厳しく当たられるのは当然で、
既に子供が2人いた僕は必死だった。
昼間は現場で親方に鍛えられ、
帰宅すると疲れ果て、夜10時に就寝。
翌朝5時に起床して出勤まで資格取得の勉学に励む。
この生活が3年間毎日続いた。
もう後戻りは出来ない。
しかしこれくらいではネタにしない。

ある日現場へ向う移動中、
緊張して運転していた僕に親方がこう言った。
僕が山好きな事を知っての発言だろう。

『昔な、穂高岳山荘を登記したゾ。』
オォ~、すげェ!
話によると、ヘリで穂高岳山荘まで行き、
巻尺で建物を測ってきたそうである。

数秒の短い会話だったが、
今でもよく覚えている。

僕にもこんな羨ましい依頼がこないかな。
ヘリでの送迎無しでも、
テントと巻尺を担いで行きますよ。

こないだろうな・・・

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奥穂高岳と穂高岳山荘

| 土地家屋調査士 | 08:00 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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