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笠槍周回(3)~大渋滞の槍ヶ岳


・・前回の続き


双六小屋での小休憩を終え、いよいよ詰めのステ-ジへと向かう。先ず目指すは、目の前に聳える樅沢岳。小屋泊の登山者だろうか、手ぶらで散策する若者や、笠ヶ岳方面を一人眺め黄昏れる女性など朗らかな姿があった。やがて樅沢岳の標柱に出る。そこは開けた広場のようになっており、ここで道は二手に分かれる。ここの案内が一見分かりにくく、今回もまた誤った方向へと進んでしまった。右の方が登山道のようにも見えるが、こちらは間違い。進む方角の尾根を目で追うと、明らかに西鎌からは離れていく。何の疑いも持たずに進み続けると、危うく遭難の可能性だって十分に有り得る。ここ前も間違えた・・と慌てて戻り、左手の道を進み直す。皆間違えないのかな・・。いつもそう思う場所だ。やがて再び樅沢岳の山頂標柱が出てきた。こちらの方が明らかに標高が高いので、おそらくこちらが本物の山頂だろう。山頂からは鷲羽方面が良く望めたが、見る場所が違うだけで特定しかねる山も多かった。だいたい中間地点を過ぎたようで、笠ヶ岳と槍ヶ岳はほぼ同じくらいの遠さに見えている。
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双六岳と双六小屋
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黒部五郎岳
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鷲羽岳
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樅沢岳(標高2755m)
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笠ヶ岳(最奥)からやって来て
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これから槍ヶ岳(奥中央)へと向かう
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槍穂高連峰

双六岳直下から正面に見据える槍の勇姿はかなり素晴らしいが、この西鎌尾根から正面に捉えた槍の姿もまた素晴らしい。やはり槍を絡める縦走は、槍に背を向けるのではなく、槍を目指して向かう方が断然お勧めだ。穂先から延びる4つの鎌尾根。燕方面への表銀座は東鎌尾根、一般登山者を受け入れないスペシャリストの領域北鎌尾根。そして今回の双六方面からの西鎌尾根、最後に槍穂高の南部主稜線南鎌尾根。これら4つの尾根を全方向に従え、槍の穂先が頂点に君臨する。その光景は、まるでこの飛騨山脈に最初に舞い降りた神であるかのように。途切れることのない絶景が、多少なりとも疲れた身体を癒してくれた。笠の稜線から始まって、西鎌尾根へと繋がっていくこの周回コ-ス。自分の都合よりも山の天気を最重視し、眺望の無い日にはわざわざ来ない方がいい。
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槍に向かって

今日は1週間後に迫ったTJARの応援の下見も兼ねている。出場する友人は大会2週間前にも関わらず、先週ミラ-ジュランド(日本海)から上高地(釜トンネル国道側)まで最後の追い込みをしていた。それも台風の中。そんな尋常でない友人をどの辺りで迎えたら喜んでもらえるだろうか。双六小屋では食事などで忙しいだろうし、きっと一般登山者らの応援もある。それに樅沢岳では近過ぎる。ピ-クかコルか。そんなことを考えながら進んでいた。大会では2日目に入り、北アの終盤といったところ。今の僕も疲れているが(1日限りのくせに)、どこで応援されたら逆に嬉しいか・・。今の自分に重ね合わせながら考えていた。
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硫黄乗越
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硫黄尾根と硫黄岳

絶景のスカイトレイルはどこまでも続く。左俣岳は飛騨側を巻いており、踏み忘れたので来週確実に踏んでおきたい。高度を落とし、左俣乗越。この尾根に入って以来、数は少ないが時折登山者とすれ違っている。あれだけ遠くに見えていた槍が、もう完全に射程圏内に入ってきた。対して笠ヶ岳が遙か彼方に遠ざかり、山行の長さを肌で感じた。千丈はまだか・・。疲労も確実に増してきており、千丈乗越での下山も一瞬頭を過ぎる。しかしそれではここまで何をしに来たのか分からないので、下山が夜になろうと計画通りに進もうと強い気持ちに切り替えた。さすが『鎌尾根』と言うだけはあり、鎖場や崖地など緊張する箇所が連続して出現。風も出てきて、寒さすら感じる程だ。以前この尾根で雨風にやられ、槍を目前にして千丈乗越で下りたことがある。因縁の西鎌は中々不気味な存在だ。
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絶景のスカイトレイル
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高山植物も豊富
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左俣乗越  ※左俣岳は巻いている
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名峰・槍ヶ岳
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緊張箇所が続く
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いよいよ西鎌の最終区間

千丈乗越の標柱は遠くからでも確認出来た。険しき鎌の稜線の中で、開けた平地に一つだけポツリ立つ何やら。それが紛れもない千丈乗越の道標だった。時間は押しているが、ここからの最後の登りで何とか挽回し、14時までには山荘に辿り着きたい。山頂往復で15時。下山に3時間として予定通り18時には下山出来るだろう。・・しかし実際はそんなに簡単なものではなかった。西鎌は笠の稜線と比べて開けているからか、ラジオの入りがとても良い。FMラジオを流しながら、前に連なる登山者を一気に追い抜いていく。稜線が直ぐそこに見えてはいるが、何故かそこからが遠い。何度か騙されながらも最後に回り込み、ついに稜線に這い出た。狙い通り14時、槍ヶ岳山荘に到着。
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千丈乗越  ※ここで止めたかったけど、そんな訳にはいかない
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笠ヶ岳(右最奥)は遙か彼方  ※眼下に奥丸山(中央左)と飛騨沢
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稜線が見えたが、ここからが遠い
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槍と小槍(左)
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ついに稜線到着

しかし、何だこの光景は・・。山荘前のテラスに人が多いことは時間からして当然だろうが、穂先にも数多くの登山者が張り付いている。『笠槍』と言うからには、当然この山頂も外せない。時間がかかろうと向かうしかない。疲れていたが休憩は山頂往復での停滞時間を充てるとし、ストック代わりの木の杖を2本岩陰に隠し、直ちに山頂へと向かった。今日は特に初心者だろうか、団体ツア-の登山者が多かった。それでも皆事故を起こすことなく、確実に登頂を終えて無事山荘まで戻ってくるのだから中々凄いことだ。穂先に張り付く登山者の9割以上はヘルメットを被っていた。ヘルメットに山荘名が記されていたので、山荘での貸し出し品だろう。そして最後にハシゴを2つ登り、2週間ぶりの槍ヶ岳に到着。ハシゴを登り切ったはいいが、そこから身動きがとれない。遠越しにズ-ムアップで祠を捉え、眺望写真を数枚撮ったら、直ぐに下りのハシゴに手をかけた。滞在時間は僅か数秒、山頂には何の未練もない。
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久々に大渋滞に捕まった
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特に下りの団体ツア-客が渋滞の要因だった
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山頂も混み合い祠にすら近づけない  ※滞在数秒で遭えなく下山
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槍ヶ岳(標高3180m)  ※ハシゴ付近からズ-ムアップで


つづく・・


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