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移動で潰れた大晦日~東欧周遊編(13)

2017年12月31日
ソフィア~ル-マニア・ブカレスト



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1日かけての列車移動  ※ぶら下がっても開かない窓


本日は12月31日、大晦日。
何とか夜行での年越しだけは避けることが出来たが、今年は実に味気ない年越しとなった。
ここは3ヶ国目、ル-マニアの首都ブカレスト。
『ル-マニア』と聞いてもほとんどピンとこないし、『ブカレスト』という首都名さえも聞いた記憶はないに等しい。
しかし列車で見かけた若い女性は、いかにもル-マニア人らしい顔立ちをしていた。
ただ何をもってル-マニア人らしいと判断しているのかは、自分自身よく分からない。

ブカレスト到着後、19時からの宿探しは多少想定はしていたものの一筋縄にはいかなかった。
しかし今、こうして3人ドミの部屋を確保し、ナナは余程疲れたのか、既に眠りに就いている。
最悪野宿も覚悟していたが、先程味わった危うさから、この町では好ましくないことは分かった。
隣で眠る娘の寝顔を見ていると、あまり無理ばかりは出来ないなとも思う。
現在、22時34分。
今日はソフィアの宿で朝食を食べて以来、昼夜と何も食べれていない。
幸いウィスキ-は残っており、少しばかりはベットの上で年越し気分を味わうことが出来た。
ドミはあまり好きではないが、今夜に限っては一切の贅沢は言ってられない。

ここは、フレンズ・ホステル(Friends Hostel)。
おそらく、この町の中で最安の宿だろう。
時折窓の外で鳴り響く単発音は、ピストルの音にも聞こえている。
先程乗ってきた列車に銃痕の跡は幾つもあったし、危なげな町の雰囲気から言って、そうであったとしても別段違和感はない。
しかし実際この音は、年越しを祝う爆竹なのだろうと、正体は容易に想像出来た。
旅先で度々耳にする、大晦日の夜のこの音。
危うさに対して感覚が麻痺しないよう、町の空気を適切に読み取り、慎重に旅を続けたい。


今日は国を跨ぐ移動の日、僕は朝早く5時半に起床した。
7時半から始まる本館での朝食を約1時間かけてゆっくりと満喫し、その後宿をチェックアウト。
駅へと急いで移動し、列車はソフィア中央駅を定刻通り9:20に発車した。
いかにも古臭い車両は、僕がイメ-ジしていた国際線の車両とは大きくかけ離れていた。
車内には通路を隔てて脇に6人掛けのコンパ-トメントがあり、内部は外観程お粗末ではない。
このタイプの車両には若い頃スペインで乗った気がするか、欧州では定番なのだろうか。
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とても寒い夜だった  ※暖房は一切効かない
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出発前に腹ごしらえ
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かなり贅沢な盛り付け
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いざ移動
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ソフィア中央駅
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古汚い車体が、どことなく東欧っぽい

コンパ-トメントの室内には僕らを含め5人が入り、暖房が効いているのはいいが、効き過ぎて逆に居心地は悪かった。
僕は着込んでいたダウン、フリ-ス、長袖と順に脱ぎ、結局上はTシャツ1枚になっていた。
退屈な密室の中、本を読んだり日記を書いたりして、適当にやり過ごす。
数時間経過すると室内の乗客は次第に減っていき、ようやく僕ら二人の貸し切りとなった。
これで気兼ねなしに窓を開けられると開けてみたはいいが、開いた窓が何故か止まらない。
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6人用のコンパ-トメント
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途中の停車駅
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室内はかなり暑苦しい
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ようやく貸し切りになったので、ミカンでも
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ずっと窓が開けたかった  ※しかしこの窓開けた位置で止まらない

他の部屋の様子を偵察にいくと、慣れた地元の乗客は、窓の隙間に何か物を詰めていた。
早速学びを得た僕も、誰かが置いていった半分水の残った500mlペットボトルを窓の隙間に詰めてみる。
列車が揺れる度にボトルの中で水が激しく移動するのが気になるが、一応役には立っている。
僅かな隙間から心地良い風が程良く入り、室温は丁度な具合になってきた。
そしてほぼ定刻通り、15:27に国境の町ルセに到着。
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片側3人掛けを独占
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トイレ
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国境の町ルセに到着
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鉄道駅
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窓口で発車時刻とホ-ムを確認

ブルガリア側国境の町ルセで時間を潰し、いよいよル-マニアの首都ブカレストへと向かう。
ここで乗り換えた車両は、外観は新幹線のようなシルエットで、座席も広くて快適な配置だった。
乗車するなり、係員がパスポ-トを徴収しにやって来る。
列車は停まったままだが、パスポ-トは一向に戻ってこない。
このまま発車したらマズイなと焦っていたが、結局この長い停車時間は出国手続きの為であったらしく、ようやく出国スタンプが押され手元に戻ってきた。
定刻よりやや遅れ、16:17にルセを発つ。
国境らしき大きな川を渡り、その先に陸路国境らしき建物を右に見た。
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新幹線のような車体
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中は広いが、窓は落書き(ア-ト?)だらけ
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この河川が国境か
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イミグレの建物だろう

ルセを発ち20分、今度はル-マニア入国の為、係員がパスポ-トの徴収にやって来た。
その間列車は停まり、無事パスポ-トに入国スタンプが押され、20分後に再始動。
それにしてもこの列車は、悲しいくらいにガラガラだ。
3両編成の列車の中に、数えても9人しか乗客がいない。
それに比べて、乗務員は運転手を合わせて5人。
次第に窓の外は闇で真っ暗になり、それに合わせるかのように僕も少し眠くなってきた。
そして定刻19時の2分前、ついにル-マニアの首都ブカレストへと到着。
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日本時間の年越し(現地時間17時)をグ-タッチで祝う
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日が暮れてきた
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ブカレスト・ノルド駅到着

これから始まる夜の宿探しに向けて、ナナを一喝し、気合いを入れて駅を出る。
一応宿の目星は付けており、駅近くのSir(シィル)という安宿を一目散に目指す。
室数82という部屋の多さから、すんなりこの宿に泊まれるだろうと多少の安心感はあった。
宿は駅に近く、受付ロビ-は綺麗で、従業員の女性には品があり愛想が良かった。
しかし予約で一杯だと開口一番言われ、一瞬にして絶望感に包まれる。
今の時代、予約なしでの飛び込みでは、どこも相手にしてくれないのだろうか。

選択肢は残り2軒のホステルのみとなり、確実性の高い方のドミを目指した。
ピ-クシ-ズンにはラウンジにもマットレスを敷くくらいだから、欲さえ言わなければ、まず泊まれるだろう。
宿の場所が分かり難く、公園でたむろする男女に道を尋ねてみた。
しかし、訊いた相手がいけなかった。
何かに溺れているような危うい男は、明らかに違う方向を示し、かと言って無視することも出来ず僕は気が動転した。
それでも男を怒らせないよう丁重に自分の意思を貫き、何とか無事目指す宿まで辿り着いた。
受付でも一瞬焦ったが、何とかドミの3人部屋を確保。
これで何とか大晦日の野宿だけは避けられた。
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今宵ドミに救われた
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今年最後の日記


ブカレスト・Friends Hostel泊-120RON


出費なし
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