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第12回佐渡島一周エコ・ジャ-ニ-208km(7)~遠かったゴ~ル!


・・前回の続き


第4エイドで30分程休憩し、いよいよ最後の区間、50㌔先のゴ-ルを目指す。11:27、再び4人で走り始める。天気はしばらくは持ち堪えてくれそうだが、それより僕の脚がどこまで持つのかが心配だ。何とか夜も更けぬうちにゴ-ルし、今夜未明に上陸すると予想される台風の直撃だけは避けたいと願う。海を左に眺めながら、緩やかな坂道を下っていく。一見見落とし易い小さなコ-ス誘導も、4人いれば見落とす心配はない。ここを右折し、奈良のIさんが、ゆっくりと僕らメンバ-を引っ張ってくれた。トンネルを抜け、しばらくは海沿いを走る。たまに、ちらほらランナ-も見かける。昨夜の宴で前の席に座っていた佐渡経験者の男性が、一人調子良さそうに走っていた。右に左に奇石を眺めながら、正体は分からずとも、珍しそうなものは取りあえず写真に収めておく。
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およそ160㌔(11:28)
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コ-ス誘導で右折
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メンバ-4人 ※左から奈良のIさん、横浜のMさん、福井のSさん、そして撮影者僕
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潜岩(キリン岩)

エイドを発ち、既に2時間以上が経過していた。たまに立ち止まることはあるが、ほとんどが走りっ放し。こんなに追い込むことは、もし自分一人だったら絶対に有り得ない。これが、『引っ張られる』ということなのか・・。自分の力以上のものが、或いは本来自分の力としてあるけれど、自力では引き出せないものが底力となって現れる。ふと、公衆便所が出てきた。別にシッコがしたい訳ではなかったが、僕が主導するかのようにここでトイレ休憩となる。安易に弱音を吐くことは出来ないが、せめて堂々と休めるきっかけが欲しかった。トイレ休憩も程々に、再びランニング再開。僕は結構へたっているが、皆は疲れていないのだろうか。真野に入ると、食堂らしき店があった。Iさんはここでカレ-を食べたいと言っていたが、食欲のない僕らに遠慮して結局店には入らなかった。とにかくIさんは胃袋からして強過ぎる。この場に及んでこの食欲、僕には心底信じられない。
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公衆便所(13:46)  ※とにかく休む理由が欲しかった
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史跡の里 真野(14:20)

うぉ~!あれが噂の人面岩か・・。頭、目、鼻、顎、首が、人間そのものだな。しかし後に知ったが、ここは椿尾弁天岩(別名:ゴジラ岩)と呼ばれ、人面岩とは違った。4人であ~だ、こ~だ言いながら、各々写真を撮る。そして再び走り出すと、水色のSさんが遅れ始めた。さすがに疲れてきたのかなと思い様子を伺っていたが、その後上り坂にかかる頃、事態は急変した。疲れたものと思っていたSさんは力を蓄えていたようで、突如僕らに別れを告げ、先に行ってしまった。さすがはSさん、川の道520㌔の完走者だけはある。どうやらペ-ス的にヤキモキしていたのかも知れない。前を行くタフガイの赤シャツIさんも次第に見えなくなり、ここからは再び僕とMさんの2人旅になった。上り坂を快走する2人にはついて行けず、これまで通り”上りは歩く”という基本スタイルを貫いた。
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椿尾弁天岩(ゴジラ岩)
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右を向いている人間にも見える  ※頭(髪の毛)、目、鼻、顎、首が人そのもの

長い坂道を、Mさんと楽しくお喋りしながら歩いている。時折車が通る2車線道路の右側を歩いていたら、反対側に果物屋が現れた。店に入るつもりはなかったが、駐車場の自販機に脚を向けた。さっぱり系のオレンジジュ-スを買い、地べたに座りしばしブレイク。Mさんは店内へ入っていったが、直ぐに中から手招きされた。フレンドリ-なMさんは店のオバちゃんと仲良くなり、試食の梨をご馳走になっていた。早速僕も遠慮せず、何個も頂いた。梨は瑞々しくて、最高に美味しかった。さすがにここまで来ると胃は相当痛んでおり、果物が何よりも嬉しかった。お礼を言い、店を出る。あ~美味しかったと、2人ニンマリ笑顔。先に行ってしまったSさんとIさんはきっと食べれなかったのだろうな。Mさんはこの208㌔の旅を、心から楽しんでいるようで凄いと思った。
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くだもの直売センタ-(14:51)  ※試食の梨を沢山ご馳走になった
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終盤は甘いものしか受け付けない  ※このシュ-ズでこれまで9本(1000㌔)以上を走ってきた

それにしても、これまで走ってきた佐渡外周線にしてはここは大きな道路だな。町が近いこと、ゴ-ルが近付いていることを予感させた。上り坂が終わると、足並みを揃えるように一斉に走り出す。相変わらず道路の右側を走っているが、又もや反対側に名所らしきが現れた。こういった名所の存在は、堂々と脚を休めることが出来、いい気晴らしにもなって僕としては大歓迎だ。倉谷の大わらじ。ここでようやく180㌔を過ぎた頃。ここに来て半島の先端が視界に入ってきた。少しは感慨深いものもあったが、まだ30㌔近く残っているので油断は出来ない。坂道を下り海を目指していると、左手にスイ-ツ屋を見つけた。ここは迷うことなく、Mさんと店へ直行。カップソフト(340円)を買い、小雨舞う外のベンチで食べてみる。とても濃厚で、最高に美味い。既に固形物はほとんど受け付けない胃袋だが、ソフトクリ-ムはやはり別格だった。
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倉谷の大わらじ(15:05)
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説明書き
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あの先か・・
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スイ-ツ屋の自家製ソフトクリ-ム(340円)

坂道を下り切り海沿いに出たら、一気に風が強くなってきた。慌てるように防寒の上着を羽織る。先程追い越していた年配の男性ランナ-。僕らが呑気にソフトクリ-ムを食べている間に先に行っていたようだが、ここで再び追い越した。Mさんはこの方と『ホテルめおと』で同室のようだったが、その歳でのこの素晴らしい走りにとても感銘を受けた。きっと長いキャリアをお持ちなのだろう。16時を回り、残り20数㌔。日没はほぼ確定だが、明るいうちにどれだけでも進んでおきたい。取りあえず今目指しているのは、この直線の突き当り。カタカナの『コ』の字の左上を目指し、今は左下から右下にかけての直線を進んでいる。相川18km。確かゴ-ルの『ホテルめおと』も相川にあったような。そして今度こそ本物の、人面岩。それにしても横顔がモアイ像にそっくりだ。
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突き当りまでが遠い  ※寒くなってきたので防寒具(兼雨具)着用
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近いようで遠い
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相川18km(16:15)  ※両津港21㌔だが、これは島を横断した場合
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人面岩(立岩)  ※モアイが右を向いている
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説明書き  ※画像クリックで拡大

この先2時間以上、写真をパタリ撮らなくなった。それ程僕も必死だった。まだかまだかと思い続けた突き当りは、異様に遠かった。実際は近かったのかも知れないが、この時の僕には何十㌔先にも思えていた。ここでおよそ190㌔地点、僕の限界はこの辺りだった。走り慣れた100㌔を越え、未知の領域である160㌔以降も意外と脚は動いてくれた。このまま最後まで行ければ、36時間切りの目標も叶うかも知れない。しかし確実に距離は踏んでおり、その疲れが一気にドッと現れた。『コ』の字の右下から右上にかけての直線は、ほとんど歩いてしまった。しかもその歩きの遅いこと。残り20㌔を切り、走れば2時間でゴ-ル出来るが、歩けば1時間4㌔として4時間以上かかる。しかしこのペ-スでは、5時間かかってもおかしくない。そう考えると、5時間だけは勘弁してほしい。Mさんには迷惑をかけて、本当に申し訳なかった。ただ、歩くにしてもフラフラで、車道に出る度にMさんに促されていた。

遅いながらもせめて前だけを向き、懸命に進み続けていた。賑わう町を抜け、海岸沿いに出た。先程歩き始めた頃から、同じく疲れ気味のランナ-も仲間に加わっている。昨日から何度か見かけていたこの男性、小木のス-パ-でも見かけたランナ-だ。尚も限界と闘っている、非力な僕。先に行ってくれ・・とMさんに申し出るが、Mさんは決して僕を見捨てなかった。歩いてばかりでは申し訳ないので、しばらく歩いては、時折意を決してランニングポ-ズを取る。既に辺りは闇の中。しばらくして目の前に動く明かりが見え、やがてその明かりに追い着いた。あ、ど~も、コンニチワ。この黒シャツの男性は、昨夜仮眠所まで一緒に走った高岡のTさんだった。1週間前に白山白川郷100㌔を走っていたこの方、昨夜の話では、台風直撃が心配なので仮眠はとらず、そのまま進むと言っていた。確かに僕もその時、そうしようかと悩んではいた。しかし結果として、休憩なしでの徹夜ランと、休憩してのラン再開とではやはりその後の走りに違いが出ていたようだ。Tさんもフラフラになりながら、必死に前に進んでいる。『ランニングポ-ズ』という表現は、実は昨夜Tさんとの会話から学んでいた。例え遅くても、ランニングポ-ズさえとっていれば、いつかはゴ-ルに辿り着く。さすがにTさんのランニングポ-ズには、ゴ-ルへの強い執念を感じた。

そして終に、『コ』の字の右上に到着。これから『コ』の字の左上目掛け、最後の直線に入る(実際はまだそこから4㌔の北上があった)。2時間以上ぶりに写真を撮ったが、少しは正気が戻ってきたのだろう。4人で進む、闇の行軍。辛いながらも、上り坂以外は極力走った。人通りはなく、車もほとんど通らない。街灯すらない真暗闇を、4人必死に進んでいる。しかし必死という表現は僕だけのもので、他のメンバ-は話をする余裕すらあった。相変らず弱気な僕は、『先に言ってくれ・・』と又もやMさんに泣き言を放つ。しかしMさんは、ここでも僕を見捨てなかった。こんな僕で申し訳ないが、何とか僕もMさんとゴ-ルしたいと強く思うようになってきた。
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ここを左折し、ようやく最後の区間  ※実際はその後更に4㌔の北上があった 
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走りたい2人に迷惑かけっぱなし
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ファンタピ-チ

ここは米郷。ようやく『コ』の字の左上に着いたようだ。明るいうちに見えていたあの半島の先だ。地図を見て現在地を確認。後はラスト4㌔、北上を残すのみとなった。ようやく残りの距離をつかみ、僕も少し元気になった。前の2人(Tさん、Mさん)について行くのにやっとだったが、僕も最後のド根性を見せる。ここまで10㌔近く一緒に踏ん張っていたもう一人の男性ランナ-は、相当疲れていたようで、既に姿はなくなっていた。ゴ-ルに向けて、最後の3人旅。いつしか風が強くなり、台風の直撃はもう時間の問題だ。道路脇の大木は大きく揺れ、不気味な轟音をなびかせている。坂道の上りで腰を『く』の字に折った年配の男性ランナ-がいた。通常であれば、誰がどう見ても歩くことすら不可能な状態。救急車を呼んでもおかしくはない状況だ。しかしこの男性は、必死に『く』の字で進んでいた。ウルトラランナ-は本当に凄い人ばかりだとつくづく思う。どんな状況であれ、決して折れない強い心。そんな場面を、今日ここまで何度も見てきた。とは言え、あんな状態で果たして最後まで辿り着けるのだろうか・・。
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米郷(19:37)  ※残すは4㌔
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既に脚は限界で、歩くのもやっと

ゴ-ルはまだか・・。時間的にもう着いてもいい頃だ。何度か偽ゴ-ルに騙されながらも、終に僕らは『ホテルめおと』まで帰ってきた。昨日の朝6時にこの場所を発ち、佐渡を一周してきた。本当にそんなことが出来たんだ。階段下に姿を現すと、建物の中から歓声と拍手が僕ら3人に向けられた。階段を上がり、写真撮影。ここに、208㌔の旅は幕を閉じた。ロビ-ではIさんが美味しそうにハヤシライスを食べていた。さすがに胃袋が違う。Iさんは結局、僕らより1時間程早かったようだ。それも15㌔余計に走ったのに。そしてMさん。小木手前からゴ-ルまでの70㌔近くを一緒に走ってきた。Mさんがいなければ、僕は確実に後2、3時間は遅かったに違いない。Mさんとの出会いが、完走以上に、佐渡での一番の収穫となった。Mさん、本当に有難うございました。
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まだか、まだか・・
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そして、ついに佐渡一周を終えた(20:18)
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ゴ~ル!  ※1週間前に白山白川郷100㌔も完走したTさん(左)、僕(中)、最後の70㌔を共にしたMさん(右)

初めての超ウルトラへの挑戦は、何とか完走という最良の形で終えることが出来た。目標の36時間切りは叶わなかったが、今の僕にはこれが精一杯だった。ゴ-ル後、直ぐに食事を勧められたが、先に風呂に入ることにした。風呂ではMさんにも会えたし、最後に遅れた男性にも会えた。本当は皆とたくさん思い出話をしたかった。しかし僕は入浴後、脱衣所で倒れそうになっていた。イスに座り、辛うじて気絶だけは逃れたが、僕の体はこれまで体験したことがない程の悲鳴を上げていた。入浴を終えロビ-に戻るが、食事どころではなかった。丁度その頃、例の『く』の字のランナ-も到着した。凄い!あの状況でよくここまで辿り着いたもんだ。普通の人間なら、間違いなくリタイヤしていただろう。辛い階段を手摺を頼りに上り切り、部屋に戻ると倒れ込むように布団の上に仰向けになった。そして21時には就寝。今日はゆっくり眠り、明日朝の宴会に期待する。・・しかし今大会最大の試練は、ゴ-ル後に待っていた。まさか自分の体がこんなにも悲鳴を上げていたとは、この時は夢にも思わなかった。
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25枚のA4地図  ※2日目以降頼りになった
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後日送られてきた完走証


第12回佐渡島一周エコ・ジャ-ニ-ウルトラ遠足208km


距離:208km
時間:38時間19分00秒
順位:42位/156人
完走率:80.7%(125人)
経過:スタ-ト(16日6:00)、第1エイド29.5km(9:29)、第2エイド57.9km(14:35)、仮眠所93.5km(19:49)、第3エイド127.6km(17日5:25)、第4エイド159.6km(11:00)、ゴ-ル208.0km(20:19)





つづく・・


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| 2017 | 23:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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