第12回佐渡島一周エコ・ジャ-ニ-208km(4)~仮眠所(約93km)迄
・・前回の続き
佐渡最北端の第2エイドで20分程休憩し、14:53にエイドを出た。ここからひたすら南下となるが、左手に海が見える光景は変わらない。アップダウンを超えると、『両津港24.4km』の看板が目に付いた。この先25㌔弱をもし2時間半で走れれば、日没にはぎりぎり間に合う計算になる。しかしこの段階で、㌔6分のペ-スは僕にはまずもって無理だ。そんな余力が残っている脚力があれば、とっくにサブテンランナ-になっている。内海府トンネル(全長1760m)は、長くて暗い。しかし幸いこの佐渡一周線、車の通行量は少ないので、通常は白線上を走っていても危なくはない。そして車の音が聞こえたら、歩道に上がればいい。車がトンネルに進入すると爆音が轟くので、その辺の駆け引きは実に容易い。

両津港24.4km(15:32)

内海府トンネル ※歩道は狭いので、車が来なければ白線沿いを走る

全長1760m

『佐渡一周線』の表示は街灯にも
両津港まで、後14km。普段なら1時間半もあれば充分に走り切れる距離だが、仮に死に物狂いで1時間半で走ったとしても、既に夜突入は確定している。先程から海の向こうに島のラインが見えているが、あのどこかがきっと両津なのだろう。問題は突き当たってから、どれだけ左へ進むかだ。両津港まで、後10km。いよいよ射程圏内に入った。だが日没の18時まで後数分しかない。早めにヘッドライトを頭に付け、反射材(家族のメッセ-ジ入り)を両足首に巻き、反射タスキもザック背面に付けておく。両津港まで、後5.6km。既に辺りは闇の中。点々と街灯はあるが存在は薄い。看板には『登山道入口』とある。一体どんな山なのだろう。

両津港14km(17:15)

あのどこかが両津だろう

いよいよ射程圏内に入った(17:53)

両津港5.6km(18:27) ※日没には間に合わなかった

およそ90㌔(19:02)
両津の商店街に入ってきた。佐渡の主要道である国道350号線は、この商店街を貫いている。商店街の店はほとんど閉まっているのか、全く活気がないように感じた。それに附随して人通りもほとんどなく、前後にランナ-もいない。夜になり視界も狭まってきたこともあり、ついに僕はザックから地図を取り出した。地図の凡例記号を頼りに現在地を探る。地図を見ながら走るなんて、何だかオリエンテ-リングをしている気分だ。この先には注意箇所がある為、慎重にならざるを得ない。無事、注意箇所を特定。90.4㌔地点の信号『両津支所前』は、斜め左方面へ本町通りへと進む。地図にはそう記してある。しかしこの箇所にはコ-ス誘導がなく、不安な状態で脇道へと入る。仮眠所は町外れにあるという事前情報は得ており、分かり難いということも念頭にあった。この道でまず間違いないのだろうが、100%確信が持てない以上、安心は出来ない。警戒しながらゆっくり進んでいると、後ろからランナ-がやって来た。その男性は佐渡エコの経験者らしく、一緒について走った。会話しながら走っていると、時間が経つのは早いものだ。既に限界に来ていた僕の脚も、何とか苦しまず動いてくれた。この男性、驚くことに先週白山白川郷(100㌔)を走ってきたそうだ。それは凄い!僕はその大会を止めて佐渡を選んだのに、この男性にはどちらかを削るという選択はなかったのだ。

閑散とした商店街(19:18) ※前後にランナ-もいない
仮眠所となる寿月館は、やはり遠かった。矢印が出てきてからが異様に長かった。まだかまだかと期待外れの連続の果ての、ようやくの到着であった。ここを見逃したら悲惨も悲惨、それは確実にリタイヤ街道に近付くことになる。『食事にしますか・・お風呂にしますか・・』。宿に入るなり、少年にそう訊かれた。まるで出来過ぎた女房みたいな、粋なセリフが初々しかった。じゃあ風呂にしようかな・・と偉そうに少年に告げ、風呂場へと案内してもらう。そこは脱衣場と小さな浴室があるだけの、至ってシンプルな風呂場だった。疲れた脚を目一杯伸ばし、体全体が楽になるのが分かった。しかし浴室を出て脱衣場でクラッときて、一瞬倒れそうになる。直ぐに持ち堪えて大事には至らなかったが、扇風機くらい欲しかった。

住吉温泉寿月館(19:48) ※かなり分かり難かったが、経験者のお蔭で無事到着

先ずは入浴
次に夕食。食欲はないので、食べ物にはあまり興味がない。とにかく僕はビ-ルが早く飲みたかった。冷えたビ-ル


夕食場所で横になる姿も ※出発時撮影

夕食弁当、豚汁、ビ-ル(仮眠者のみ) ※食事は無理やり完食、

2階に上がり、仮眠部屋に入る。部屋は暗く、しばらく目が慣れない。布団を敷いたランナ-が2人、そのままゴロ寝するランナ-が2、3人いた。何故彼らはゴロ寝なのか・・と考えつつも、押入れを開けると敷布団と掛布団があった。敷いた布団の上に横たわり、思いっきり足を延ばす。この時点で仮眠所に到着して、既に1時間が経過している。このまま3時間眠り、日付が変わる前には出発する予定でいた。3時間も眠れば脳はリセットされると聞いたことがあるし、登山でも前夜それくらいの睡眠で翌日長い行動をしたこともある。しかしいつまで経っても、眠りには落ちなかった。夢の世界は途方もなく遠く、眠れない・・というプレッシャ-が余計に睡眠を遠ざけていった。

仮眠部屋は男女別で布団で雑魚寝(要予約、事前に1500円) ※出発時撮影
つづく・・
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| 2017 | 09:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑