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雨の天生峠を越え白川郷へ

2週間後に迫った、第4回白山白川郷ウルトラマラソン。制限時間が15時間(通常の大会は14時間)ということからも、最難関のコ-ス設定であることが伺える。昨年初マラソン(=初ウルトラ)としてここの50kmを走ってみたが、確かにキツかった。これを往復するだなんて到底無理な話だ。その時は心底そう思っていた。あれから1年が経ち、僕も一応100kmを走れるまでにはなった(遅いけど)。富士五湖を走り通せたことで、エイドさえ上手く切り上げれば、11時間半くらいまでならタイムを縮めれそうだとも分かった(平坦なら)。しかし飛騨高山のように歩きを交えてしまえば、タイムはいとも簡単に落ちてしまう。そこで迎えるのが白山白川郷。果たして僕の脚は、この鬼の上り返しに耐えられるのだろうか・・。予行練習も兼ね、僕は天生峠へと向かった。

国道360号の河合側ゲ-ト手前、そのカ-ブの奥に適当な空地を見つけ、ここに駐車。既に尾張小牧ナンバ-が1台停まっていたが、釣り人だろうか。今日の天気予報は曇りだが、ここに来る途中、雨が降り出してきた。しかし運よく走り始める頃には雨も上がってくれ、涼しげな中、ゆっくりと走り始めた。この峠は昨年一度走ったことがある。その時は籾糠山往復が目的で、峠に辿り着く前に歩きが入ってしまった。そんな苦い経験が脳裏に蘇り、今回こそは何としても峠まで走り切ろうと心に誓う。上りの標高差は事前に把握していたので、腕時計の標高を頻繁に確認し、現在地を把握。目の前の舗装路と腕時計を交互に見やり、只々黙々と走り続けた。
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国道360号 河合側ゲ-ト
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延々と続く辛い上り

時折立ち止まっては気休めに写真を撮り、着実に高度を上げていく。そうして幾つもの急なカ-ブを乗り越え、標高も充分な程になってきた。周りの景色からしても峠っぽいし、平坦になりかけた勾配からも、いよいよ峠かと期待した。しかしいずれも期待外れで、何度か騙され続けた。それでも根負けしないよう奮闘を続け、ついに天生峠に到着。ペ-スは遅いながらも、何とか最後まで走り切った。しかし今日はまだ、序章に過ぎない。トイレ前のベンチに座り、栄養補給。今日はおにぎり(通常サイズ)2つにバナナ4本、それにコロッケパンと大福1袋、チョコレ-ト等をランバックに忍ばせている。大学生らしき自転車乗りと言葉を少し交わし、白川郷に向け長い下りへと入った。
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天生峠  ※この赤い三角屋根の建物がトイレ棟
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いざ白川郷へ

峠以降、小雨が降り出している。しかし今日の雨は想定の範囲内。本番では雨が降ろうと100km走らなければならないし、雨は中止の理由にはならない。それにこの暑い時期、雨降りの方が涼しくて快適だ。幻想的な森の中を息を切らせ、黙々と走る。雨は冷たさを帯び、夏だというのに寒さを伴ってきた。ウィンドジャケットを出そうか迷ったが、雨の中濡れながら走ることを選択。展望所の看板が出てきた。しかし残念ながら、今日の眺望はない。この下り区間、想定はしていたが相当長かった。ということは、帰りがかなり心配だ。こんな長い坂を果たして上り切れるのだろうか・・。いや、まず無理だな。1時間以上走って下り続け、白川側の林道ゲ-トが見えてきた。そのカ-ブの先左手に、河原に出られる場所を発見。帰りはここで水を汲むとする。
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雨のダウンヒル
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白山連峰の眺望はお預け  ※画像クリックで拡大
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ここは、白川村天生

やがて建物が現れ、天守閣展望台への道標も現れた。当然まだまだ余裕で、気分よく走れている。帰りの不安は大きいが、一先ず今日の折り返し地点に到着。天守閣展望台・・、ここが本番でも折り返しポイントとなる。しかし本番と今回とでは距離が倍以上に違う。展望台からは荻町の合掌集落が一面に見渡せた。観光客はいつもより気持ち少な目だ。今日は僕一人浮いた格好をしていたが、2週間後にはこの辺り一帯ランナ-で埋め尽くされるはずだ。手持ちの小銭は380円。350円のソフトクリ-ムが食べたかったけど、手持ち金が無くなることを案じ、敢え無く我慢。しかし結局は意味がなかった。今回の道中に自販機すら1台もなく、お金を持っていること自体意味がない。食べとくべきだったな・・と後悔が残った。しばしの休憩を経て、いざ復路へと向かう。
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観光客で賑わう、天守閣展望台
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世界遺産 白川郷の合掌造り集落  ※1995年世界文化遺産登録
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さるぼぼ(白川郷Ver.)と
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その仲間達

復路の滑り出しは、脚はよく動いてくれた。それにそうでないと困る。最後の建物を過ぎ、林道ゲ-ト手前で右に入り、河原へと立ち寄る。ここで水を補充し、腕や脚、首裏や顔などを何度も冷やしておいた。峠までは標高差750m弱。とても一度で走り切れるような距離(標高差)ではない。先ずは300m上ろうと目標を定め、ひたすら脚を動かし続ける。山登りでも峠走でも距離に意味はなく、求めるべきは標高差。目指すは高度の稼ぎであり、それこそが進捗に結びつく。何とか標高1000mまで上り切ったところで堪らず休憩とする。車はたまにしか見かけない。高速道路は飛騨の山奥にも網を成し、天生峠を通るドライバ-は稀である。
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再度峠へ向け、地獄の上り返し
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唯一のオアシス(水場)
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国道360号 白川側ゲ-ト

休憩を終え、再び急坂へと立ち向かう。『立ち向かう』という表現がこれ程しっくりくる場所はない。脚は次第に重くなってきて、標高1100m以降とうとう歩きが入ってしまう。しかし、たまに見かける車くらいにはいい格好を見せようと、エンジン音が聞こえたら無理してラン再開。そんなこんなで、何とか標高1200mを越えた。この辺り半分は歩いてしまったが、どうせ走っても速度はたいして変わらない。いよいよ峠が近くなってきた。この上り返し区間、1時間半くらいを見込んでいたが、時間は随分と押している。最後くらいは走り抜けたいと思う気持ちとは裏腹に、脚は重くて動かない。頂上直下、緩やかな坂道が延々と続く。平坦な道が現れ、ついに峠かと期待する。しかし、その都度希望は失望へと変わる。こんな勾配が走れない自分が情けなかったが、それでも走る姿勢だけは終始持ち続けた。そして、ついに天生峠到着。想像はしていたが、かなり辛かった。
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今日は歩かないと決めている  ※結局、終盤歩いてしまった
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涼しげな滝や
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工事規制
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今日は終日涼しかった
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ここは、河合町(旧河合村)天生  ※峠が町村境
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天生峠(標高1290m)  ※正面の道は籾糠山方面

やはり上り返しは相当なものだったが、いい練習にはなった。大会直前に経験出来た意味合いは大きい。トイレ前のベンチで靴下を脱ぎ、しばしの休憩タイム。今回のコ-ス、休憩の多さからもキツさが現れている。自転車の下りは労力皆無だろうが、ランナ-の下りは拷問に近い。脚に疲労が蓄積された後半、それでもひたすら脚を動かさなければ前には進めない。顔をしかめながらも、腕時計と睨めっこを繰り返す。白川側に比べ、こちら河合側の方は勾配がキツい。だから下りには好都合で、標高の落ち込みが早いのが嬉しくもある。
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我慢の下り

そして、高低差が±0の数値に近付いてきた。最後乏しきカ-ブを曲がると、そこに林道ゲ-トがあった。疲れたぞ、天生峠。お前中々手ごわいな。来年以降も、ここを本番前の総仕上げに走ろうと思う。そして来年こそはソフトクリ-ムを買おうと思う。そして今度こそは絶対に、最後まで走り切ってやる。自宅から駐車地までは片道30km、すなわち往復60km。今回走った約40kmと合わせると、皮肉にも100kmとなった。この距離、僕にはとても走れません。家から走って白川郷往復だなんて、とてもじゃないけど無理だ。だけどこれが大会となれば簡単に走れてしまうのだから、人間って、やっぱすごい。2週間後に迎える、第4回白山白川郷ウルトラマラソン。最低でも12時間半、出来れば12時間を切りたいと思う。いずれにしても、後半の上り返しに全てがかかっている。
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ゲ-ト手前カ-ブにある駐車地
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天生(あもう)


2016年8月27日 雨後曇り

国道360号河合側ゲ-ト 9:32
天生峠(7.7km) 10:35、10:44
白川郷天守閣展望台(19.4km) 11:54、12:19
標高1000m 13:24、13:33
天生峠(31.2km) 14:27、14:42
国道360号河合側ゲ-ト(38.8km) 15:30




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