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天空尾根(1)~自宅から5時間、気軽に来れる雲の上

梅雨明けして最初の週末、娘と白馬岳へと向かう予定だったが、天候不順の為断念。急遽近場の山へと一人向かった。『近場』と言っても、ここは日本を代表する山域『飛騨山脈(北アルプス)』。目指すは3000mの稜線。そして最終目的地は、誰もが知る名峰・槍ヶ岳。6年前、当時小5だった長男と巡ったコ-スを、今回逆回りで巡る。思いつきで気軽に来れるのも、麓で暮らす地元民の特権だろう。前夜、新穂高の無料駐車場に入る。当日朝に自宅発でもいいのだけど、駐車場は土曜は満杯の可能性が高い。従って、避けた方が無難だ。自宅から1時間で駐車場着。一番上の段に僅かに空きがあり、ここで爽やかな朝を迎えた。

翌日、夜明けとともにスタ-ト。新しくなった新穂高センタ-は、規模こそ小さいが、登山基地にふさわしい立派な施設だ。出だしから急な坂道が続く。先週痛めた左臀部(久々のロ-ラ-ブレ-ドで転倒)が完治しておらず、すごく痛む。しかし毎朝のジョギングの際、走り始めこそ痛みはあるが、次第に痛みは消えている。まだ筋肉が温まっていないからだろうと察し、しばらく我慢して歩いていた。片足を引きづりながら、この先の不安が頭をよぎる。最悪の場合、林道の往復で終わっても仕方ないな。行けそうなら、取りあえず槍平までは行こう。そこで奥丸山へ向かうか、槍往復で済ますか、計画通り南岳新道へと進むか決めよう。斜度は次第に落ち着き、何とか走れるようになってきた。不思議なことに歩くとまだ痛むが、走っている分には痛みはない。30分で穂高平。そこから21分で白出沢出合に到着。不調な割にはここまでそこそこ走って来れた。水で脚や顔などを冷やし、心と体をリフレッシュ。槍平までのこのコ-ス、水が随所に現れ、軽装登山には何かと都合がいい。
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白出沢  ※沢水はないが、人工の水場あり

白出で未舗装林道は終わり、ここから山へと入っていく。緩やかな石付きの登山道を、息を切らしながら駆けて行く。やっぱ山はいいな~。この暑い中、町や峠を走るより、余程こっちの方が楽しいや。倒木を杖代わりに、黙々と目の前の石から次の石へと忙しく足を運んでいく。集中して行うこの一連の動作は、時間が経つのを忘れさせ、比例して疲れや嫌気も忘れさせてくれた。幾つか沢を越え、やがて木道が見えてくると槍平も近い。槍平までは新穂高から2時間とかからない。ここで初めての休憩とする。腰を下ろし、朝食におにぎりを頬張る。アミノ酸や塩熱サプリも一応腹に入れておいた。キャンプ場手前の水場(流し台)は健在で、ここで水(ゼリ-飲料容器6個分)を満タンにして、きつい南岳新道へと迷わず取り付いた。  
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滝谷  ※沢水豊富
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幻想的な滝谷ド-ム
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槍平小屋の熊さん

当初どっち回りで進もうか迷っていた。得意の登りは急な程時間を縮めるチャンスだし、長い下りは緩やかな方が走れると思う。従って自ずと南岳新道IN、飛騨沢OUTという選択となった。出だしに痛かった臀部の筋肉は既に馴染んできたようで、辛い登りでも痛みは感じなかった。勾配がきつければきつい程、頑張り甲斐はある。無我夢中でしばらく登り、ふと腕時計の高度計を見ると直ぐに100mは稼いでいる。さすがは南新道だ。笠新道にも増して登り応えがあるゾ。標高を上げるのにたいして時間は要せず、直ぐに槍平が遥か眼下に見えてきた。やがて背に笠ヶ岳の姿を確認。雲は上がってきているが、笠の稜線がその上に連なって見えた。まだ奥丸山と同じくらいの標高か・・。天空の稜線へは、もうしばらくの辛抱だ。
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対峙する西向かいの稜線  ※笠ヶ岳(奥左)、抜戸岳(奥中)、奥丸山(手前)
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いつしか森林限界を越え、一気に眺望が開けてきた。行く先右手に急峻な穂高連峰が見えてきた。手前の北穂から最果てには馬の背、ジャンダルムの雄姿も確認出来る。振り返れば、双六、鷲羽方面の静かな山域もよく見える。そして目指す方向に、南沢源頭部の姿を捉えた。稜線は近い。俄然元気が湧いてきた。そして目標通り4時間で稜線へと這い上がる。しかしここは踏ん張りどころ、直ぐに南岳へと足を進めた。山頂から下ってくる登山者と擦れ違いながら、ついに南岳へと到着。
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強い陽射しも心地良い  ※下界だったら地獄だが
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急峻な穂高連峰
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鷲羽岳(右端)
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南沢源頭部  ※南岳(左)、大キレット(右)
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登山道を振り返る  ※背後には常に笠ヶ岳
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穂高連峰へは大キレット(手前)から
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標高2900mまで来れば稜線は近い
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槍がお出迎え  ※その左に中岳
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南岳小屋

久々にやって来たこの稜線。近いんだから、もう少し頻繁に来るべきだと反省にも似た感情を抱く。眺望は相変わらず抜群で、南へ続くは大キレットを切り出しとする穂高への縦走路。北へ延びるは、槍へと続く緩やかな天空ロ-ド。この飛騨山脈南部の稜線は、岐阜県とお隣長野県とを隔てる県界尾根なのだ。こうやって雄大な山脈を眺めていると、一つ想うことがあった。この日本の屋根・北アルプスは、槍ヶ岳が中心に据えられているのではなかろうか。どの山からでもその飛び抜けた雄姿は確認出来るし、槍に引き込まれるかのように東西南北に尾根が延びている。北ア登山に限らず、近傍の里山登りでも槍の雄姿を見つけて喜んでいるのは、きっと僕だけではないだろう。しかし、やはり一番の醍醐味は槍を目指すコ-スにあると思う。これから僕は槍の穂先目指し、磁石のように山脈の懐へと導かれていく。3000mの稜線に連なるこの縦走路、ここは正に天空の遊歩道である。
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南岳(標高3032m)  ※新穂高からここまで4時間、自宅から5時間と気軽に来れるのが嬉しい
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信州の名峰、常念岳(中央)
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進路方向  ※この県界尾根の左(西)側は岐阜県高山市
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南岳小屋を見下ろす  ※前穂高岳(左)、北穂高岳(中央)、奥穂高岳(右奥)
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飛騨の名峰、笠ヶ岳  


つづく・・

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