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初めて捕ったホタルイカ

ホタルイカ捕り。昨年くらいから、一度やってみたいと思っていた。しかし素人が思い切って行動に移すにはあまりにも不安要素が多過ぎて、これまで行動に移せずにいた。そして今年3月末、部落(班)の慰労会。近所の先輩(海の師匠)が、こんな僕の非力さを察してか、有り難くも声を掛けてくれた。ここは二つ返事でお誘いを受け、約束の4月8日(金)の夜を迎えた。前日の大雨の影響で、今夜は捕れないかもな・・。師匠からはこんな弱気な発言も飛び出し、初陣としては厳しい出発となった。

ホタルイカは富山湾沿岸(特に滑川市)の名産であり、春の風物詩となっている。富山湾の常願寺川の河口左岸から魚津港までの約15km、満潮時の沖合1260mまでの海域は、1922年(大正11年)に国の天然記念物に指定され、1952年(昭和27年)には『ホタルイカ群遊海面』の名称で特別天然記念物に格上げされている。この時期の富山湾沿岸では、大量のホタルイカが波によって浜に打ち寄せられる『ホタルイカの身投げ』と呼ばれる幻想的な光景が、夜明け前の海岸で見ることが出来る。(参考:ウィキペディア)

夜8時、師匠の車に乗せてもらい、寄り道することなく一目散に海へと向かった。道中は海関連の話ばかりで、海に縁がない僕としては、好奇心をそそられる内容の話ばかりだった。1時間半で現場に到着。どこか身覚えのあるその場所には、既にびっしりと車が停まっていた。まずは海岸に出て先客の捕れ具合を探ってみる。そしてこの偵察の結果、まずまず捕れているという最良の判断が下された。早速、腰長靴に着替え、ク-ラ-ボックスを持って海岸に出た。
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聖地 富山湾  ※ホタルイカ以前に、まずこの光景に驚いた 

海岸沿いでは時折波が高く踊り、僕の腰長靴では波を完全に防ぎ切れなかった。おまけに登山用のヘッドライトは照度に乏しく、海面を鮮明に捉えることが出来ていない。100均で買っていたザルで捕ろうとしていた僕だったが、それに見かねた師匠が手網(タモ)を一つ貸してくれた。海に入って数分。師匠は既に50匹程のホタルイカを捕まえていたが、僕は未だ1匹さえも目にしていない。ホタルイカはどんなふうに泳いでいるのか全く検討がつかず、暗闇の海で光るホタルイカを捕まえるのだと思っていた。

僕としては今日は勉強のつもりで来ているので、捕れなくても仕方ないとは思っている。しかし折角なので数匹くらいは自分の手で捕まえ、土産に持って帰りたい。師匠は『海岸沿いの浅瀬にどれだけでもいるぞ!』と一人興奮気味に言うが、その言葉がにわかに信じ難い。乏しい明かりを海面に近付け、キョロキョロ目を動かし何かを探す。そしてふと、その何かを見つけた。1匹のホタルイカが、暗い海面にプカプカ浮いていたのだ。しかし何かがおかしい。アレ、光っていない・・。

そして次の瞬間、僕は衝撃を受けた。逃げる気がない鈍足なホタルイカをタモに収めた瞬間、愛嬌のある鳴き声(音)を発し、青い光を放した。お~すげぇ~、これぞホタルイカだ!僕は静かに興奮した。知らなかったが、ホタルイカは普段から光っているのではなく、捕まえられた瞬間にだけ光を放すのだ。これは敵を脅す為のものらしく、確かに捕まえた瞬間の音と光、イカ墨の噴出は、必死の抵抗のようにも見えた。
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初めて捕ったホタルイカ

ホタルイカのことが少しは分かってきて、僕の目もホタルイカに慣れてきた。これは、”笹薮での笹の子採り”に通ずるものがある。こんな僕でも着実に捕獲を重ね、左手に持ったザルにホタルイカがみるみる溜まっていった。捕れ出すと楽しくなってきたのは、当たり前の感情だろう。ライトは相変わらず暗いが、一応これでも何とかなっている。100匹以上捕れたことを確信し、次は200、300匹を目指していた。深夜0時を過ぎた頃から人が急に増え始め、小さな子供連れの家族には驚いた。この時期、富山では最もメジャ-な遊びなんだなと感じた。
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ゴム手袋も必須

このまま海にさえ入っていれば、どれだけでも捕れそうな勢いだ。しかし下半身が寒く、上半身も寒い。これだけ冷え込むなんて想像もしておらず、水に濡れたことで余計に寒さが身に染みている。海にはこれ以上入っていられず、車に戻るが当然鍵がかかっていて中には入れない。仕方なく道端にしゃがみ込み時間を潰すが、一向に師匠は戻ってこない。寒さに耐え切れなくなり、海岸で師匠を探すがどこにもいない。防寒対策をしてこなかったことに後悔し、着替えを持ってこなかったこと(更に車外に出しておく必要もあったが)に後悔し、他人の車に乗ってきたことに後悔した。これは試練だと震えながら、1時間以上必死に耐えていた。
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焚火が羨ましい
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道路脇には車がずらり

師匠はやはり奥の方まで行っており、軽くク-ラ-ボックス一杯は捕っていた。やはり明るいヘッドライトとまともな胴付長靴、それに立派なタモは必須だな。その上で防寒対策まで完璧に施していれば、素人の僕だって今日の状況なら1000や2000匹は容易いと思う。師匠は帰り際、もう一つの港にも連れて行ってくれた。こちらは投光器が必要な場所で、海に入って捕る手法ではない。それに成果は皆無のようだった。朝3時半、無事帰宅。久々の夜更かしだったが、目は不思議と冴えていた。


次の日、子供達に手伝ってもらい、庭でホタルイカを洗った。僕の捕獲高は177匹。200超えを期待したが、これだけでも十分だろう。師匠に頂いた分は268匹。総計のほんの数分の1だが、それでも僕の数を遥かに上回っている。妻が台所で茹で上げてくれたホタルイカを、外で食してみた。とても美味い。自分らで捕って洗って調理しているだけに、感慨も深い。今度は私も捕りに行きたい・・、早速娘も申し出てきた。そりゃそうだろ、俺だって今直ぐにでも行きたいさ。しかしここは焦らず、まずは道具一式を揃え、ホタルイカについて学び、時を見極めて向かいたいと思う。自然相手とはいえ、遠路遥々向かうのだからゼロだけは避けたい。狙うは5月の新月、その前後の夜である。
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初収穫は177匹  ※道具、服装が不十分にしては上等だろう
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捕獲用(タモ代わり)に買ったザルは、何かと重宝した
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見るからにイカ
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こんな感じで泳いでいる  ※捕った瞬間に声を出し、青く光る
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茹でて醤油で頂く
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くり坊主や                            ナナもお手伝い
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皆、大興奮!                          茹でると半分に縮む
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師匠から頂いた268匹

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