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第4回能登半島すずウルトラマラソン(4)~魂のゴ-ル


・・前回の続き


無事、狼煙を通過した。ここまで80km以上もの長い道のりを共に走ってきたランナ-達。しかしこの狼煙関門で、44名のランナ-が落とされた。『関門』はランナ-の前に厳しく立ちはだかり、どれだけまだ余力が残っていても、関門時刻を過ぎた者はその先には進めない。それどころか、時間を越え関門に辿り着いても、その計測すらしてもらえない。ちなみに第1関門の千枚田(45㌔)で落とされたランナ-は4名、第2関門の曽々木(58㌔)では13名、第3関門の自然休養村(73㌔)では48名のランナ-が関門時刻に間に合わず、リタイヤを余儀なくされた。

狼煙を通過した僕は、次の関門を目指し最後の踏ん張りを続けている。ここまで未知の領域を進んできて、自分でも驚くほど脚は動いてくれている。足裏のマメは若干痛むが、気合いが勝りそれ程気にはならない。脚は全般的に疲労しているが、ロキソニンの効果があるようで致命的な痛みはまだ現れていない。ふくらはぎは順調だし、故障中の右足甲、左足中指の痛みも今のところ出ていない。大会直前に患った風邪の症状も僕の意気込みに吹き飛ばされたようだ。次の本エイドの関門には、まず間に合うだろう。それについて疑いはない。ここで肝心なのが、何時にそこに着くか・・だ。

本エイドを越えた先、ゴ-ルへは19時までに入らなければならない。従って本エイドに門限ぎりぎり(18:10)で入っていたようでは、その先余程真剣に走らないとゴ-ル制限には間に合わない。本エイドには最悪18時、出来ればその10分前くらいには何とか着いておきたい。そうすれば10分弱で1km走り、最後の1時間で残り5km。全て歩いても、充分間に合う安全圏だ。92㌔地点の第22エイド(寺家)に着いた。温かい豚汁は疲れ果てた心身の奥底に染みわたり、美味しく2杯頂いた。 時間はあまりない。誰もがそれは承知するところで、皆長居することなく直ぐにエイドを発っていく。17時半を過ぎると、辺りは闇に包まれた。ヘッドライトとタスキは、狼煙エイドで受け取っている。ランナ-は前後に点々とし、ヘッドライトの明かりが自分の足元を照らしている。第5関門の本エイド(96㌔)の関門に到着。問題は、その到着時が何時か・・だ。到着は17:53。何とか狙い通りの展開に持ってこれた。狼煙からこの本エイドまでの走りが、今回一番の勝負どころだった。
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90㌔通過(16:55)  ※上段は102kmの部、下段は62kmの部
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第22エイド(寺家)  ※豚汁が最高でした
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可愛いワンちゃん
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95㌔通過(17:43)
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第5関門 本エイド(96㌔)  ※12時間52分で根性の通過、関門閉鎖まで残り18分

夜のエイドはとても寒い。こうして夜半まで携わってくれるボランティア、関係者の方々には本当に感謝しかない。せめてその報いに応える為にも、選手としては精一杯最後まで奮闘するだけだ。長い旅もようやく終焉に近づいている。闇の街道を、荒い息を立て走る。ただ『走る』という単純な行為でも、これだけ長距離になると、何とも神聖な気分になってくる。これが”ランナ-ズハイ”なのだろうか。僕の頭の中では、残りの㌔数と残り時間が互いに連動している。後何㌔を何分で・・。並走するランナ-は『もう歩いても間に合いますよ・・』と言っていたが、僕は歩かない。周りのランナ-もそれは同じようで、ここから歩いたとしてもゴ-ルはほぼ確実なのだが誰も最後まで手を抜かない。皆ゴ-ルの瞬間まで、走る姿勢を貫いている。結局は完走出来る者とそうでない者の違いはここなんだろうと思う。ウルトラランナ-は最後まで絶対に諦めないし、手を抜かない。今ある最善の力を尽くし、ゴ-ルの扉を自力でこじ開ける。歩きたいな・・、でも歩かない。ちょっとくらいいいだろう・・、いやもう少しの辛抱だ。僕も心の葛藤を繰り返す。そして終に、嬉しい掛け声が響いてきた。ラスト150m!初めて挑んだ、僕のウルトラマラソン。今こうして長い旅は静かに終わった。
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ラスト5km(17:59)                      ラスト3km(18:16)
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第24最終エイド(正院)                    ラスト1km(18:34)

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旅の終わり
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魂のゴ-ル! 

最後まで走る姿勢を貫けた。感動的なゴ-ルシ-ンのはずが、不思議と涙は出なかった。嬉しさもあまりなく、安堵感の方が大きい。一つ大きな仕事を片付けたような、そんな気分だった。しかし今も尚、闘っているランナ-はまだ大勢いる。続々とランナ-が晴れてゴ-ルに辿り着き、最高の余韻に浸っていた。そして制限時間7分前、最高齢のゼッケン1番が昨年に引き続き見事ゴ-ル。御年77歳。凄すぎて、言葉もない。この大会は年齢順にゼッケン番号が割り振られているのが特徴だ。35年後、第39回能登半島すずウルトラマラソンで、僕はゼッケン1番でこの場所に立っていたい。カウントダウンが始まり、制限時間を迎えた。第4回能登半島すずウルトラマラソンは、こうして幕を閉じた。本エイドを関門時刻ぎりぎりで通過した後、ゴ-ルに間に合わなかったランナ-が2名。同じ距離を走ってきた者として、その無念は人ごとではない。僕自身もこの最悪のシナリオが常に頭の片隅にあり、最後まで気を抜けなかった。全ての関門を突破しゴ-ルに辿り着いたとしても、14時間を超えたということで記録すら出ない。完走証も完走メダルも貰えず、結局はリタイヤ扱いされてしまう。何とも無情な気もするが、努力に比例することも確かだろう。
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ゴ-ル後のソバが嬉しい                   足裏は悲惨なことに
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肩や脚は汗が塩になった


第4回能登半島すずウルトラマラソン

距離:102km
時間:13時間42分52秒
順位:235位/403人(男子) 
完走率:68.9%(278人)
経過:上黒丸26km(2:33:58)、千枚田42km(4:43:56)、曽々木58km(6:35:57)、自然休養村73km(9:06:06)、狼煙灯台86km(11:14:47)、本エイド95km(12:52:58)、100km(13:26:28)




ゴ-ル直後、疲労が一気に襲ってきた。脚はほぼ動かず、目の前の体育館までが歩けない。床にしゃがみ込むと、立ち上がるのに時間がかかる。突然悪寒を感じ、体の震えが止まらない。その上、手にしびれまで出てきた。体は随所にダメ-ジを受け、そこら中が悲鳴を上げている。よくもまぁ、こんな体で100㌔も走ったものだ。少しは自分を褒めてあげたい。今日はとても帰れそうにない。昨夜に続き海辺あみだ湯で汗を流し、道の駅で一人宴を挙げた。早々に狭い車内横になるも、脚が痛くてまともに眠れなかった。恐るべし100㌔、でもとても楽しかった。

翌朝、折角なので和倉温泉に立寄り、朝風呂に入ってくる。今日も歩くことはほぼ不可能。周りの人にかなり不思議な目で見られていた。帰宅途中眠気も襲ってきて、仮眠をとりながら何とか地元まで辿り着く。しかしこれでは終わらせてもらえないのが、今回のスト-リ-。どこに隠れていたのか、お巡りさんに呼び止められ、交通違反切符を切られてしまう。運転しながら電話していた自分が馬鹿だった。しかしお巡りさん、その場所はないでしょう。この足の痛みはそれ以降も2、3日続き、1週間経った今でも脚のどこかしこが痛む。これで一応100㌔の免疫は付いたことだし、自信にもなった。来年は4月の富士五湖を皮切りに、5月の東尋坊(?)、6月の飛騨高山、9月の白山白川郷、10月の能登すずと年4、5本に出てみたい。100㌔なんて鼻くそ。そう思えるようにならないと、さくら道はとても走れない。
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和倉温泉 総湯
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珠洲焼の完走メダルと違反切符
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| 2015 | 15:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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