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吹雪舞うアトラス山脈の先に~ジブラルタル海峡を越えて編(20)

2015年1月9日 [砂漠ツア-1日目]
マラケシュ~ワルザザ-ト



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緊迫したアトラス山脈越え  ※バスがスリップして動かなくなった
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世界遺産 アイト・ベン・ハッドゥのクサル
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現実離れした光景が続く


サハラ砂漠2泊3日のツア-が始まった。
ツア-会社Sahara Expeditionによる、1人750DHのツア-である。
モロッコ観光のハイライトとも言うべき砂漠ツア-に、1人わずか1万円程で行けるのだ。

ツア-初日の今日、7時15分にクトゥビア通りにあるオフィス前に集合と聞かされていた。
その場所に少し早めに到着したのだが、待てど、誰も集まる気配はない。
同宿だった日本人女性も含め3人でしばし困惑していると、大通りの方から男がやって来た。
男はこのツア-の関係者のようで、別の場所を指示すると、直ぐに走り去っていった。
オイオイ、どうなっているんだ・・。
初っ端からのこの嫌な展開に、この先が不安になってきた。
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7時チェックアウト

数少ない通行人に訊きながら、何とか指示された場所まで辿り着いた。
そこは、このツア-会社の別オフィスのようだった。
取りまとめ役の男にチケットを渡し、他のツア-客をしばし待つ。

そして8時になり、ようやく出発。
この多国籍ツア-は、ブラジル人男女ペアが2組(友人同士)、フランス人男女ペアが1組、イギリス人女性とオ-ストラリア人女性の友人ペア、それに日本人女性1人、僕等親子の総勢11人となる。
運転席の後ろの列に嶺花を中央に日本人3人並んで座り、その席がツア-中の定席となった。
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見晴ポイント  ※売り物の石が並んでいたが、寒くて見ていられない
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まるで絵のようだ


しばらく眠りにつき、ふと目が覚めると車窓から眺める景色に思わず釘付けになった。
先程まで高く聳えていたはずのアトラスの白い山脈が、みるみる目の前に迫ってくる。
標高1000mを越え、順調に1500mも越えた。
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高度を上げていく
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次第に吹雪いてきた

次第に雨はみぞれになり、やがてそれは白い吹雪きへと変わっていった。
道路はシャ-ベット状の雪面となり、大型トラックやバスが至る所で立ち往生している。
乗用車や僕等のミニバスまでもがその路面に飲み込まれ、走行は困難を極めた。
僕等の乗ったミニバスは速度を失くし、意に反し、その場に緊急停止。

しかし、ドライバ-に焦りはない。
慣れた手つきで沿道の砂や小石を両手に握り、タイヤの前後に振りまいた。
そんな子供騙しの方法では、脱出は不可能だろう・・。
あまりにも幼稚なこの手法に、僕は思わずこの運転手を疑った。
しかし意外なことに、いとも簡単に車は動き出した。
信じられない・・。

そして、ついに標高2000mを越えた。
そこは真っ白な雪の世界。
窓を開けると、とても寒くていられない。
最高地点は実測で2030m。
驚愕のアトラス山脈越えは、想定されたパプニングを軽く乗り越え、ここに幕を閉じた。
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標高2000mを越えた

アトラスを無事乗り越えたミニバスは、標高1500m前後の荒れた平原を颯爽と走っている。
白から茶色へと一気に周囲の色が変わり、まるで別世界へタイムスリップしたかのようである。
そして、いよいよ本日のハイライトに到着。

アイト・ベン・ハッドゥ。
数々の映画撮影にも使われており、赤茶けた岩山の裾に、古い集落が要塞化している。
これを、『クサル』という。

まるで砂の芸術でも見ているかのような不思議な家々は、とても現実のものとは思えない。
高台から望む一帯は、砂漠一色に染まっていた。
今では傷みが進み、ベルベル人の5、6家族のみがこのクサルで暮らしているのだという。
見学を終え、胡散臭いガイドに指定された一人20DHを支払う。
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本日のハイライト
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火で炙ると絵が
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クサル(要塞化した村)
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砂の芸術の正体は
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日干しレンガ造りの家々
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頂上
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ここで撮影された映画   ※1996年、インディ・ジョ-ンズ
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見学はツア-単位で

そして、レストランにてランチタイム。
ツア-一行は、準備されたテ-ブルに迷いなく腰を下ろしていたが、僕等はここはパス。
別料金を徴収されるし、高い店で食べる気は更々ない。
持参している1.5DHの激安丸パンで空腹を満たし、近くを少し散歩した。
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ツア-ランチはパス

ようやく一行の食事が終わり、ミニバスは再び走り出した。
突如砂漠の中に町が現れると、そこがサハラ砂漠への入り口ワルザザ-トとなる。
映画の町らしく、映画関連のモニュメントを随所で目にする。
映画博物館や撮影スタジオなども、この町の観光名所のようだった。
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アクション!

町外れにあるタウリルトのカスバ、その道向かいの駐車場で少し休憩となる。
何の為の休憩なのかよく分からないが、このカスバを遠越しに見せたいのだろう。
その趣旨に僕も応え、望むカスバの全貌は迫力があり、僕も思わず見入ってしまった。
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タウリルトのカスバ
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荒野を突き進む
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日没

カスバでの休憩を終え、更に1時間半程、黙々と走る。
そして今度はバラの店で、静かにエンジンを止めた。
ブレイク!
しかしここはただの小さな土産屋、興味をそそるような店ではなかった。
きっと、お約束の立ち寄りスポットなのだろう。
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ナチュラルロ-ズ(土産屋)

僕等を乗せたミニバスは更に先へと走行を進め、夜の真っ暗な街道を黙々と走り続けた。
そして、とあるホテルの前で停車した。
どうやら、今夜の宿泊ホテルのようである。
何もない街道沿いにポツンと一軒たたずむ、そんな寂しいロケ-ション。

18時50分、チェックイン。
ツア-客にはシングルル-ム、ダブルル-ムと、各々人数にあった部屋があてがわれた。
僕等の部屋には、大きなベットと小さなベット、実質トリプルル-ムのようである。
室内にはトイレや洗面台、ホットシャワ-があり、石鹸やタオル、トイレットペ-パ-までもが備え付けられている。
いつも泊まっているレベルの安宿より、明らかにランクは高い。
テ-ブルとイスが置かれたベランダもあるが、時間も遅く、外に出ると冷たい風が身に染みた。
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☆☆ホテル

夕食は19時半から、レストランで。
ツア-客総勢が2つのテ-ブルに分かれ、次々と運ばれてくる大皿を遠慮がちに取り合った。
メニュ-はモロッコ料理のフルコ-スで、ハリラ、クスクス、チキン、ブレッド、バナナ、みかん・・。
味はとても良く、いつも僕等が通う安食堂以上であった。
残り物も全て二人で平らげたい気分だったが、気の利かないウェイタ-に皿を下げられた。

ヤバい!歯が痛い。

この日から突然、歯が痛み出した。
外国での歯痛ほど、避けたいものはない。
何せ歯医者では、海外保険が使えない。
もう耐えられなくて抜いた・・という話や、已む無く緊急帰国した・・という話も聞いたことがある。

この夜、歯が痛くてよく眠れなかった。
歯が痛む夢にうなされ目を覚ますと、痛いのは現実で、更にショックを受ける。
夢であってほしかった。
歯医者で貰っていた痛み止めも多めに持っているが、残された日数を考えるととても足りない。
せめて、もう少し後に痛くなっていれば・・。

これは久々の大ピンチである。
なんでこんないい時にこうなるんだよ、神様はいないのか。
もう砂漠はどうでもいい。
果たして僕は、この先どうなってしまうのだろうか・・。


ワルザザ-ト近郊・ホテルKASBAH DELA VALLEE泊


アイト・ベン・ハッドゥ(ガイド20DH×2)  計40DH
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