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塩見を経て蝙蝠へ~前編

百高山もいよいよ大詰めとなってきた。白峰南嶺以降、2週連続天候が読めず遠征断念。そして迎えた快晴の土曜、久々の出陣となった。塩見だけならともかく、その奥の蝙蝠まで行くのにテント行にしようか悩んだ。しかしこの時期稜線の朝晩はかなり冷え込むだろう、それに重荷を担ぐのも大変だ。蝙蝠往復21時間のコ-スタイムではあったが、これくらいなら何とかなるだろう。長らく通った南アルプスを今回で最後にすべく、僕達は暗闇の森へと足を踏み入れた。



【山域】三伏山(2615m)、本谷山(2658m)、塩見岳(3052m)、北俣岳(2920m)、蝙蝠岳(2865m)
【日時】平成23年10月29日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕


鳥倉林道ゲ-ト(2:00)  前夜国道41号、361号、152号線を経て4時間で登山口の鳥倉へ入る。国道152号線分杭峠を過ぎた辺りから、大鹿が時折車の前に出現。前回鳥倉に来た時は10匹目撃したが今回は6匹、さすが大鹿村だ。登山シ-ズンは既に終わっており、普段賑わうこの広い駐車場に車は他の2台のみ。満天の星空に期待を込め、到着後早々と短い眠りに就く。翌朝1時半起床、僅か3時間半の睡眠で今日の長丁場に挑まなければならない。ヘッドライトの明かりを頼りに、ラジオで怖さを紛らわし、ゲ-トを抜ける。  
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鳥倉林道ゲ-ト

鳥倉登山口(2:34)  ここまでは舗装の効いた林道歩き。そしてここからが深い森、一気に高度を稼ぎ高みの稜線を目指す。この鳥倉ル-トは登山口から三伏峠までが10の区間で区切られ、各々現在地を示す標識が木に取り付けられている。今夏、荒川三山に登った時一度来ているとは言え、暗闇で視界も狭く弱冠不安にある場面もあった。

位置標識3/10(3:10、3:17)  それにしてもこの暗黒の世界、かなり不気味だ。時折野生動物の鋭い眼光が闇に浮かび、その視線は明らかに僕等に向けられている。よせばいいのに岳登はわざわざその眼光を探し、自ら首を絞めている。静まり返る真暗な森の中、ラジオを流した僕等は心臓をバクバクさせ歩いている。ここに棲む動物達にとっては、この時間帯に浮かび上がる1点の明かり、聞き慣れないラジオの雑音・・、さぞかし驚いた事だろう。”ゴメンな、何もせんから通してな・・”、祈るように足を進める。この時期あまり喉は渇かないが、今日は4.5ℓの水を担っている。当てにしていなかったコ-ス上唯一の水場で荷を下ろし、更に1ℓ補給。水量は細いが充分汲めた。壊れかけの工作物を何度かかわすと、峠へと出る。
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位置標識 3/10
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水場  ※水は細いが一応汲める

三伏峠(4:31、4:42)  峠小屋は既に今期の営業を終えクロ-ズしている。代わりに冬期専用の避難小屋があるようだ。玄関前の板敷きに座り、朝食におりぎりを頬張る。腹が空いていたのでとても美味しい。出来れば日が昇る前に本谷山くらいまで進んでおきたい。三伏山を越え、更に暗闇を進む。東の空が次第に赤みを帯びてきた。
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三伏峠小屋  ※今期の営業は既に終了
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三伏山

本谷山(5:29、5:42)  本谷山に着くと単独行の中年男性が寛いでいた。先程から時折見かけた明かりは下山者のものではなく、塩見岳に向かうこの方のものだった。話によると昨夜の三伏峠冬期小屋の宿泊客は2名、もう一方の単独行は寝袋なしで備え付けのゴザに包まっていたらしい。峠直下で擦れ違った男性の事だろう。それにしても凄い荒業だ、寒がりの僕なら完全に凍死している。ここでヘッドライト撤収、予定通りだ。期待していた稜線からの日の出であったが、蝙蝠の尾根や周囲の樹木に隠れ何も見えない。先行する単独行を追うように足を運ぶ。
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本谷山

塩見新道分岐(6:40、6:48)  遅れ気味の岳登の到着を待つ。下りは強いくせに、登りは相変わらずヘボい。ここは三峰川林道への分岐となっているようだ。帰りに見落として直進してしまわないよう、充分注意しなければならない。その先、塩見小屋は近かった。ここも閉鎖しているのか、かなり閑散としている。塩見岳もついに視界に捉えた。西峰直下の岩場を登り、まずは塩見岳へと登頂。
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塩見新道分岐
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塩見小屋  ※後方に双耳峰の塩見岳を望む
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西峰への登り

塩見岳西峰(7:57、8:16)  本日快晴、眺望抜群。ここから見渡す高峰はだいたい登っており、その時の思い出が鮮明に脳裏に浮かぶ。高山裏に泊まった荒川三山、北岳から縦走した仙塩尾根、先日の白峰南嶺、麓から日帰りしたMt.Fuji、聖や兎・・、数え出したら切がない。先程の単独行の男性と写真を撮り合い、僕等は更に奥地を目指す。結局この日稜線で出会った登山者は、この方のみだった。塩見岳は三角点のある西峰と、標高が僅かに高い東峰とを持つ双耳峰となっている。そして東峰から仙塩尾根を下る。仙丈ヶ岳と塩見岳、それらを結ぶ静かな尾根は大変マニアックで実に玄人好み。分岐道標でその尾根とも分かれ、ついに蝙蝠の領域へと入った。
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塩見岳西峰  ※標柱後方に富士山
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西峰山頂の直ぐ先には東峰
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塩見岳東峰  ※仙塩尾根、白峰三山と続く
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仙塩尾根、蝙蝠尾根、白峰南嶺、富士山
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仙塩尾根を下る  ※後方左から甲斐駒、白峰三山、広河内岳
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北俣岳分岐  ※テント跡と岩峰

目の前に聳える急峻な岩峰を登り切る。ケルンが積まれたここが北俣岳かと思ったが、どうも違うようだ。視線の先には蝙蝠岳へと延びる長大な稜線が悠々と連なっている。南嶺のように、快適な稜線歩きとなりそうだ。この岩峰の先、痩せた岩稜を慎重に通過。開けた小高いピ-クに出た。どうもここが北俣岳のようである。余程先程の岩峰の方が迫力があるが、この蝙蝠尾根を通して眺めると、何故これが北俣岳というのか分かる気がした。それにしてもこの蝙蝠尾根、眺望はかなり良く、足取りは必然と軽くなっている。有名無名大抵の山が見え、富士山の姿は素晴らしいの一言に尽きる。目の前の蝙蝠を目指す。その距離もだんだんと近付いてきた。樹林帯を越え、ハイマツを潜る。振り返ると、塩見がもうあんなに遠くに見える。人間の足って凄いんだな・・。
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ケルン立つ岩峰(無名峰)  ※視線の先には羽根を広げた蝙蝠岳
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北俣岳  ※後方は塩見岳(左)と岩峰
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眺望抜群の縦走路  ※仙丈、甲斐駒、白峰三山・・
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富士山、蝙蝠・・
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荒川三山、赤石・・
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富士山もこの迫力
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ハイマツを漕ぐ  ※塩見(左端)から結構来たもんだ

蝙蝠岳(10:10)  先行する僕から遅れること数分、岳登もついに蝙蝠へと辿り着いた。百高山98座目となる。
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岳登、遅れて蝙蝠到着


つづく・・



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