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中崎山

先週の穂高から白出沢への下り、笠ヶ岳の遥か下に標高にして半分くらいの低い藪山が見えた。東は焼岳、西穂高から槍ヶ岳へと連なる国内屈指の縦走路。西は笠ヶ岳から抜戸、双六、やがては鷲羽、水晶を経て日本海へと繋がる飛騨山脈の大稜線。この二つのスケ-ルの大きな稜線の間、中崎尾根にこの山は存在する。右俣谷と左俣谷の間に聳える峠尾根、そんな感じの低い稜線である。奥丸山は展望の山として知名度も人気も高く、登山道や標識も整備され訪れる登山者も多い。しかし中崎山に関しては、ほぼ無名でその扱いは随分違ってくる。以前岳登と右俣、奥丸山、左俣と周回した時も、中崎山への進入に躊躇し敬遠した覚えがある。
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前週見た中崎山と中崎尾根(写真中央)  ※その手前が右俣谷、右奥は笠ヶ岳



【山域】中崎山(1744m)
【日時】平成23年10月2日
【天候】曇り
【岳人】穂乃花(小4)、僕


新穂高(7:15)  早朝の登山者専用無料駐車場。シ-ズン終盤ともなったのに、先週にも負けず中々の盛況振りである。ざっと100台は下らないこれら登山者の多くは槍穂高、笠や双六方面に流れ、知名度のない中崎山に登る登山者はまず皆無である。バスタ-ミナルから橋を渡り左俣に入る。左俣林道ゲ-ト手前にある蒲田治山事業所、この道向いのゲ-トが中崎山の起点となる。
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登山者専用無料駐車場
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橋を渡り左俣へ入る  ※穴毛槍(左奥)、中崎山(右)
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笠ヶ岳(左)、緑ノ笠(右)
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蒲田治山事業所向いのゲ-ト

中崎山登山口(7:28)  登山口には立派な標識があり、川向はロ-プウェイの有料駐車場となる。軽い藪漕ぎや道迷いは少なからず想定していたが意外にも踏み跡は明確、一般登山道とたいして変わらない。古びた鉄板の案内標も要所に掲げられているがその文字は消えかけ、過去の反映だけが偲ばれる。急斜面を何度もトラバ-スしながら、九十九折りの急登で高度を稼ぐ。木製の梯子は既に朽ち果て、信用して足を載せでもしたら激しい濁音と共に痛い目に遭う事くらい容易に察しが付く。 
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中崎山登山口
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踏み均された登山道
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古びた標識も多い
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苔生し、折れ易い木梯子
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大岩の脇を通過

倒木(8:19、8:39)  崩れ気味の崖を慎重に通過すると、樹木の合間に眺望が開けた。倒木潜り手前の登山道に腰を下ろし、朝食とする。今日は登山道を塞いだって、こんな場所誰も来やしない。倒木や大岩、古びた木梯子を楽しく越えながら、目標の高度を気にかける。笠見平に近付くにつれ、木製梯子が多くなってきた。梯子は壊れ易いので、なるべく岩に頼った方がいい。 
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橋が見えた  ※中崎山荘(橋左下)、北電中崎発電所(橋右上)
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倒木を潜る
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木梯子が増え出すと、笠見平も近い

笠見平(9:25)  ここが”笠見平”という所なのかイマイチ定かではないが、一先ず登り切ると平らな地帯に出た。かなり年季の入った大木があり、確かに笠方面の眺望が僅かに開けている。この辺り弱冠ル-トを失いそうな箇所もあるが、慎重に挑めば何ら問題はない。頼みの笠ヶ岳の眺望は、上部に雲がかかり、穴毛槍くらいしか望む事は出来ない。樹木の切れ端から、左俣の林道が眼下に見えた。僕は今、中々渋い尾根を歩いている。
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笠見平
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トラロ-プは誤進入防止策
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倒木はまだ比較的新しい
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左俣林道が見えた

中崎山(10:10)  しばらく歩いていたら、右手に刈り払われた道を見つけた。穂乃花を稜線に残し偵察がてら様子を見に行くと、想像通りその終点広場の中央に三角点が鎮座していた。穂乃花を大声で呼び寄せ、目的地到着を祝った。それにしても、これだけ丁寧に伐採してくれた人は一体誰だろう・・。営林署の人だろうか。
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中崎山
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三等三角点


中崎山(10:40)  山頂の先は、緩やかで長閑な尾根歩きとなる。益々渋い稜線だ、思わず虜になりそうである。道は変わらず明確で、ほとんど迷う事はない。今日は登山口より穂乃花を先頭に歩いているが、子供でも充分選別出来る具合だ。時折見かける標識は古く見づらいが、道が合っている証拠と捉えている。過去の繁栄が鮮明に脳裏に浮かび、現在の待遇に少し寂しさを感じた。今でもたまには利用者がいるのだろうか・・。そんな事を考えながら歩いていると、先頭の穂乃花が重要な右俣分岐を発見。もしこの分岐を見落としてしまったら、この先の左俣(わさび平)分岐まで行かなければならなくなる為、彼女も必死に目で追っていたのだろう。
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山頂分岐  ※三角点はここから右の刈り払いに入る
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距離標識は有り難い
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大木も生きている

右俣分岐(11:15)  ここまでは実に分かり易い登山道だったが、右俣への下りから様子は激変。最初の内こそ刈り払いもされ安堵していたが、直ぐに踏み跡すら分からなくなってきた。だが沢筋に落ち込めばいいようで、ひたすら窪みの中を下りて行く。やがて筋には水が流れ、それを跨ぐように簡易な橋が架けてあった。橋は相当古く、足を載せるとここも折れそうである。沢沿いに踏み跡も現れ始め、橋も多くなってきた。穂高平も近いのか・・。やがて沢筋から離れ、左にトラバ-スを切る。何となく分かりづらい踏み跡を慎重に追って行くと、待望の沢に出た。ここが右俣谷のようである。 
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右俣分岐  ※穂高平を経て新穂高 1時間半
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勘で沢筋を下る
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工作物が出てきてホッ
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踏み跡にホッ

右俣谷(12:13、12:33)  稜線分岐の古びた標識では”穂高平を経て・・”と書いてあったが、穂高平は一体どこだ・・。昼食を食べながら作戦を練る。このまま谷を下ればどこか記憶のある場所に辿り着くかも知れないが、少し上流に見える砂防堰堤の施設目指して谷を渡る。構造物があるという事は、工事に利用した林道もある筈だ。堰堤脇の構造物基部には”右俣谷第5号砂防ダム”のプレ-トが埋め込まれていた。ウロウロ河川敷を探し回り、施設への登り口を発見。期待を込め上部に這い上がると、ここに繋がる小道を見つけた。穂乃花を呼び寄せその先を辿ると、ついに林道に出た。『喜べ穂乃花、これで無事帰れるゾ!』。林道はやはり工事用のもので、やがて歩き慣れた右俣林道に合流。結局穂高平は経由せず、嬉しい林道ゲ-トが先に目に飛び込んできた。
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ようやく右俣谷に出た
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さてと、この先どうしよう
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林道に出た
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右俣ゲ-トだ

新穂高(13:23)  右俣林道に下りてきてようやく登山者の姿を目撃したが、中崎山では結局最後まで誰一人姿を目にする事はなかった。僕は何だかこの静かな山が好きになった。新穂高から中崎山へ登り、奥丸山、西鎌尾根を経て槍ヶ岳の日帰り・・。近いうちに岳登とチャレンジしてみたい、実にナイスなコ-スの誕生だ。
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ロ-プウェイ乗り場の温泉卵  ※茹で上がり過ぎ
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駐車場手前の遊歩道



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