天竺へ
寒さと暑さと 飢えと渇えと 風と太陽の熱と 虻と蛇と
これらすべてのものにうち勝って 犀の角のように ただ独り歩め
有名なブッタのことば(スッタニパータ)である。
1995年のインドには首都デリ-でさえ、マクドナルドすら無かった。
神の如く威張り腐った牛は通りを塞ぎ、駱駝は行儀良く踏切で列車の通過待ち。
結婚式に参列する象は派手な化粧をし、運転の荒いリキシャは足を轢きやがる。
人間と動物とが妙に共存している摩訶不思議国家、インド。
西遊記の中で三蔵法師が孫悟空と目指した先が、この天竺(てんじく)となる。
人口は中国についで、世界第2位となる11億人。
いずれ中国をも追い抜くというデ-タもあり、この2国で世界の人口の4割弱を占めている。
そんなインドの地に15年程前、当時23歳の僕は彼女(今では妻)を道連れに降り立った。
アメリカ大陸横断の旅を終え、そこそこ度胸も着いていた頃。
乗継地マレ-シアの首都クアラルンプ-ルを発った飛行機は、デリ-に無事着陸。
しかしチェックインの際預けたバックパックは、タ-ンテ-ブルに姿を現さなかった。
厳し過ぎるインドの洗礼を真向から受け、デイパックひとつで旅は始まる。
デリ-の有名な安宿街メインバザ-ルに佇む寂れた安宿、ナブラング。
ダブル1泊80ルピ-のその部屋には、汚いベットと裸電球が一つ。
トイレには用を足す穴があり、脇には水の入った手桶が置かれている。
シャワ-でお湯を浴びたければ、受付までバケツを持って買いに行かなければならない。
1杯のバケツのお湯で、2人体を洗った。
連日受けるあまりにものカルチャ-ショックに荷物の件も重なり、
僕と彼女はついにダウン、高熱を発してしまう。
外出もせず汚いベットで一日中横たわるが、一向に体調は良くならない。
こんな環境では無理も無い。
ホテルを1泊190ルピ-のアヌ-プに移し、精神的にも回復傾向に向かった。
そして1週間を過ぎた頃、完全に諦めていた僕のバックパックが戻ってきた。
有るもの無いもの洗いざらい思い出し、航空会社に賠償請求するリスト作りに入った矢先、
航空会社としては弁済義務が生じるリミット直前の出来事であった。
僕の荷物は1週間以上もの長きに渡り、香港の地を旅していたようだ。
マレ-シア航空のオフィスで散々怒鳴ってはみたものの、
返って旅の免疫が着いて良かったのかも知れない。
これでようやくデリ-から出られる。
僕等は特急列車に飛び乗り、タ-ジマハルのあるアグラを目指した。
・・あれから15年。
37歳になった三蔵法師は息子の悟空を引き連れ、再び天竺を目指す旅に出る。
目的は一つ、
『ガンジス河でバタフライ』
挑むのは勿論、水泳の得意な岳登。
彼のスイミングに40万円近くも継ぎ込んだのだから、これくらいやってもらおう。
息は吸うなよ!
絶対水は飲むなよ!
間違いなく、病院送りだゾ。
聖なるガンジス河で身を清め、
右手(浄)、左手(不浄)を自由に使えるようになった時、
また一つ自由になれる気がする・・
そんな旅にしたい。

ブログランキングに参加中。『子連れ旅行』バナ-のクリックをお願いします。→
にほんブログ村
これらすべてのものにうち勝って 犀の角のように ただ独り歩め
![]() | ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫) (1958/01) 中村 元 商品詳細を見る |
有名なブッタのことば(スッタニパータ)である。
1995年のインドには首都デリ-でさえ、マクドナルドすら無かった。
神の如く威張り腐った牛は通りを塞ぎ、駱駝は行儀良く踏切で列車の通過待ち。
結婚式に参列する象は派手な化粧をし、運転の荒いリキシャは足を轢きやがる。
人間と動物とが妙に共存している摩訶不思議国家、インド。
西遊記の中で三蔵法師が孫悟空と目指した先が、この天竺(てんじく)となる。
人口は中国についで、世界第2位となる11億人。
いずれ中国をも追い抜くというデ-タもあり、この2国で世界の人口の4割弱を占めている。
そんなインドの地に15年程前、当時23歳の僕は彼女(今では妻)を道連れに降り立った。
アメリカ大陸横断の旅を終え、そこそこ度胸も着いていた頃。
乗継地マレ-シアの首都クアラルンプ-ルを発った飛行機は、デリ-に無事着陸。
しかしチェックインの際預けたバックパックは、タ-ンテ-ブルに姿を現さなかった。
厳し過ぎるインドの洗礼を真向から受け、デイパックひとつで旅は始まる。
デリ-の有名な安宿街メインバザ-ルに佇む寂れた安宿、ナブラング。
ダブル1泊80ルピ-のその部屋には、汚いベットと裸電球が一つ。
トイレには用を足す穴があり、脇には水の入った手桶が置かれている。
シャワ-でお湯を浴びたければ、受付までバケツを持って買いに行かなければならない。
1杯のバケツのお湯で、2人体を洗った。
連日受けるあまりにものカルチャ-ショックに荷物の件も重なり、
僕と彼女はついにダウン、高熱を発してしまう。
外出もせず汚いベットで一日中横たわるが、一向に体調は良くならない。
こんな環境では無理も無い。
ホテルを1泊190ルピ-のアヌ-プに移し、精神的にも回復傾向に向かった。
そして1週間を過ぎた頃、完全に諦めていた僕のバックパックが戻ってきた。
有るもの無いもの洗いざらい思い出し、航空会社に賠償請求するリスト作りに入った矢先、
航空会社としては弁済義務が生じるリミット直前の出来事であった。
僕の荷物は1週間以上もの長きに渡り、香港の地を旅していたようだ。
マレ-シア航空のオフィスで散々怒鳴ってはみたものの、
返って旅の免疫が着いて良かったのかも知れない。
これでようやくデリ-から出られる。
僕等は特急列車に飛び乗り、タ-ジマハルのあるアグラを目指した。
・・あれから15年。
37歳になった三蔵法師は息子の悟空を引き連れ、再び天竺を目指す旅に出る。
目的は一つ、
『ガンジス河でバタフライ』
挑むのは勿論、水泳の得意な岳登。
彼のスイミングに40万円近くも継ぎ込んだのだから、これくらいやってもらおう。
息は吸うなよ!
絶対水は飲むなよ!
間違いなく、病院送りだゾ。
聖なるガンジス河で身を清め、
右手(浄)、左手(不浄)を自由に使えるようになった時、
また一つ自由になれる気がする・・
そんな旅にしたい。

ブログランキングに参加中。『子連れ旅行』バナ-のクリックをお願いします。→

にほんブログ村
スポンサーサイト
| '11インド編 | 08:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑