金剛堂山、白木峰(2)~水切れに泣く
・・前回の続き
先ずは金剛堂山を無難にクリアし、続けて白木峰へと向かう。発電所からR471に出て、次の登山口となる取水口までは下りかと思っていた。しかしここが想定外の上りで、時間配分も狂ってくる。金剛堂山で使っていた木の杖をそのまま突きながら、R471を黙々と南下。やがて路肩駐車が目に付き始めた。きっとこの辺りが登山口なのだろうと思いきや、登山口が中々出てこない。この山はかなり人気のようで、登山口付近を中心に、その前後数100mの路肩は白木峰登山者の路上駐車で溢れていた。先程登った金剛堂山では2組(3人)としか出会わなかっただけに、白木峰はまるで比にならないと舌を巻く。

R471 ※登山口の付近一帯には登山者の車がずらり並び、この状態が延々と続く

登山口(11:10) ※入口が分かりにくいが、橋手前で左へと入る
入山して直ぐに涼しげな沢水に出合う。持参の水容器(500ml×2)は先程下山終盤の休憩で満タンにしていたので、ここでは軽く喉を潤し、顔や腕を冷やすだけとした。辛い登りが延々と続く。登山口から山頂までの標高差は把握していないが、プロトレックが示す標高で、山頂までの標高差は常に把握出来ている。黙々と早足で歩を進め、大量の汗をかく。同時刻に登山口を発った単独行の健脚男性を多少意識していたが、完全に振り切れたようだ。ふいに空が開け、見晴らしの良い場所に出た。池塘が青空や雲を映し出し、ニッコウキスゲが鮮やかに咲き乱れている。そして間もなく、小白木峰に到着。ペットボトルの水はザックにしまい込み、胸元に差したソフトフラスクの水だけでチビチビ凌いでいる。この夏の暑さにも参り、やはりこれくらいの標高では涼しげな別世界は期待出来ない。

出だしにある沢水 ※以降、一切水場はない

池塘

ニッコウキスゲ

小白木峰(標高1436m)
とは言えこの暑さは想定内だが、とにかく水の持ち込み換算を誤った。まだまだ続く山行に対し、持参する水の量が明らかに少ない。いっそのこと白木峰は諦め、万波経由で下山しようかとも思った。しかし万波、打保経由だと下山後のロ-ドが長くなり、あまり現実的ではない。折角ここまで来たのだから・・という良くない感情も加わり、そのまま先へと進む。小白木峰以降は爽快な天空の縦走路が続くものと期待したが、現実は甘くなく、アップダウンが多く見晴らしもない。僕の一番苦手な縦走路だった。暑さにやられ、休憩がてら草むらの日影に倒れ込む。擦れ違う登山者からは『大丈夫ですか?』と心配して声を掛けられた。正直、この時あまり大丈夫ではなかったし、山頂を目前にしてここでも余程引き返そうかと思っていた。

山頂が遠い ※手持ちの水と残行程を考え、余程引き返そうかと思った

ついに終点
しかし何とか気を取り直し、ようやく本日の最終目的地・白木峰に到着した。実際この山は誰でも気軽に登れる里山ではあるのだが、この暑さと発汗量に比例した水分を持ち込まなかったことで、僕の体は悲鳴を上げた。万が一に備え、ザックにしまい込んだペットボトルには、ゴ-ル(下山終了)直前まで手を付けなかった。その結果、ソフトフラスクの僅か500mlの水だけで、全行程のほとんどをやり過ごしたことになる。人より喉は乾かない方なので、普段のランニングの際も水分はほとんど摂らない。しかしそれは、結局ただの驕りであり、実際僕の体はそれを歓迎してはいなかった。

白木峰(標高1596m) ※来たはいいが、無事帰れるか

高山植物を楽しむ余裕すらない ※原因は脱水症状

白木峰の高山植物たち ※画像クリックで拡大
下りも終盤へと差し掛かり、これでもう大丈夫だとザックのペットボトルを取り出し、存分に水を飲む。やがて沢の音が遠くに響いてきた。無事沢まで下り切り、荷物を下ろし、ここで沢水を1㍑以上がぶ飲み。何とか生きて帰って来れた。これは決して大袈裟な表現などではなく、偽りのないその時の心境だ。僕の体はどれだけでも水を求め、どれだけでも水が喉を通った。夏バテからくるエネルギ-切れも若干感じていたので、おにぎりを水とともに流し込む。ちょうど小雨がポツポツと落ちてきた。直ぐに雨は本降りになり、先程までの快晴は瞬時にして影をひそめた。

YMAPのダウンロ-ド地図(無料)は利用価値大 ※圏外でも現在地は動くので居場所が掴める

無事生還(15:03) ※水をたらふく飲み生き返った
山岳区間での雨だけは泥々になるので避けたかった。しかし一度ロ-ドに出てしまえば雨は大歓迎。暑苦しいだけのレインウェアを敢えて着る必要もなく、心地良いシャワ-ランで火照った体の冷却に努めた。岐阜県(飛騨市河合町)へと入り、長い上り坂を詰め、待望の楢峠。白木峰への登りではかなりくたばっていたが、この峠への長い上りでは普通に脚は動いてくれた。やはり先程の苦行の要因は明らかに水切れによる脱水症状だったのだ。ここまで来ればもう上りはないので、精神的にも楽になった。

富山県から岐阜県へ ※下山直後から本降り

R471、R472重複区間

ウマぶどう ※生食より、焼酎漬けがお勧め

ほぼ種だが、多少甘さは味わえる

楢峠の祠 ※金剛堂山下山以降、ここまでR471は全て上りだった
長い下り坂を何とか走り切り、無事角川まで戻ってきた。ここまで来れば残り10kmのカウントダウンが始まる。日暮れ前のゴ-ルは厳しくなってきたが、薄明りの残っているうちに、限りなくゴ-ルには近付けるだろう。R360の途中でヘッドライト装着。角川以降大半を歩くことになったが、何とか無事全ての行程を終えることが出来た。距離76.5km、獲得標高3515m。距離は思ったより延びなかったが、獲得標高は思った以上に蓄積された。3週間後に迎える、本州横断ゼロフジゼロ。その4日目最終日を意識したのが、今回のトレ-ニングだった。富士登山では金さえ払えば水の心配はないが、余計な出費は極力抑えたい。今回の反省を充分活かし、持ち込む水の量は念入りに決めていきたいと思う。

ようやくR360(18:13)

政井みね生誕の地 ※『あゝ野麦峠』のモデルになった女工

袈裟丸パ-キング(20:13)

本日のデ-タ ※隔週で週末150km走っても筋肉痛にならないが、今回は3日間筋肉痛だった
袈裟丸パ-キング 3:00
JR角川駅 4:00
R471 4:23
楢峠 5:58
R34ゲート 6:25
東俣登山口 7:32
林道口 8:14
奥金剛(1616m) 8:51
中金剛(1650m) 9:05
前金剛(1637m) 9:15
沢水 10:01、10:12
大長谷第四発電所 10:36
登山口(取水口) 11:10
小白木峰(1436m) 12:06
白木峰(1596m) 13:18、13:27
登山口(取水口) 15:03、15:17
楢峠 16:39
R360 18:13
袈裟丸パ-キング 20:13
令和4年7月2日 天候晴れ、時々雨
標準コ-スタイム:金剛堂山(5時間10分)、白木峰(7時間40分) ※YMAP地図
所要時間:17時間13分 ※ロード含む全区間
距離:76.5km (△3515) ※ロード含む全区間
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| 山 | 19:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑