倉井選手の現地応援（1）～ドッキリ大成功！

5月1日に本州最南端下関駅をスタ－トし、強靭な体力と精神力のみで本州最北端青森駅まで1550㌔もの長い道程を登り詰めた超人倉井克幸選手。見事日本記録を大幅に更新する大記録を打ち立て、名実ともに日本一のランナ－になった。驚くべきはその平均ペ－ス。1日平均120㌔で進んだのだから、もう全く想像も付かない。これは当然バイクや自転車ではなく、自分の脚だけで走っての話である。そして休む間もなく引き続き復路へと発ち、20日目にして富山県まで下ってきた。僕は一応岐阜県民だが、飛騨で暮らす者にとっての生活圏は完全に富山。そんな半分地元とも言うべき富山県を、スペシャル仲間の倉井選手が頑張って走っている。これは何としても応援に駆けつけなければならないと、当初予定通り現地へと出向いた。

朝6時過ぎに家を出て、約2時間で目的地周辺に到着。予定ではR8沿いの富山東パ－キングに駐車し、そこから高岡までの31㌔を並走させてもらうつもりだった。しかし富山に向かっている途中、倉井選手のFBを見てみると、まさかのル－トチェンジ。R8は通らず、復路はR135を辿るのだと言う。慌てて作戦を練り直す。R135に乗り、倉井選手の捜索を開始。進んでも進んでも中々見当たらなかったが、程なくトボトボ歩く倉井選手を発見。ここでは声を掛けず、その先で折り返し、今度は後ろからその姿を撮影し、ここも素通り。しばらく進んだ先に車を停め、倉井選手が近付いてくるのを見計らって作戦開始。バフ（ネックゲイター）とサングラスで顔を完全に覆い、気付かれないよう注意しながら倉井選手に近寄っていく。そして擦れ違いざまに声をかけた。

倉井選手発見！　　※しかしここは素通りし、先回りして待機

この時点で気付かれて写真を撮られたと思っていたが、ただ『富山市』の看板を被写体としただけだった

僕）　すみません、道を尋ねても宜しいでしょうか？
倉）　アッ、僕この辺の人間じゃないんで・・

下手に怪しまれないよう、丁寧な言葉遣いで道を尋ねる僕。倉井選手は当然とも言える返答で、僕にゼッケンを見せ、レ－スに参加中であることを訴えていた。そんなことは知ってるよ・・。どこまでも性格の悪い僕は、たたみ掛けるよう次の一声を投げかけた。実はこれ、以前仲間にしかけられたそのパクリ。その時、僕は本州縦断スペシャルに向けた試走でR8（新潟～舞鶴521㌔）を走っていた。そしてその日80㌔以上先の魚津を目指していた僕に対し、市民ランナ－に扮した仲間は夜明け前の暗闇の中、とぼけた顔でこう尋ねてきた。『すみません、魚津はどっちですか？』と。

僕）　下関って、こっちで良かったですか？
倉）　いや、下関はこっちですけど・・

明らかに怪しげなランナ－が、明らかに有り得ない行き先を尋ねている。そんな無礼極まりないランナ－（僕）に対し、倉井選手は真面目に答えてくれた。まだ全く気付かれていないようだ。『あっ、そうですか、有難うございます！』。御礼を言い、正しい方向（南方面）へと走り去ろうとする僕。しかしそれではドッキリが成り立たないので、再び倉井選手の前へ出戻り、執拗に声を掛ける。何だ、コイツ・・。間違いなしに倉井選手はそう思っていただろう。

僕）　本当にこっちでいいんですか？

親切に教えてくれた倉井選手にそう尋ね返し、敢えて反対方向（北方面）に走り去ろうとする僕。この辺りで倉井選手もようやく気付いてくれたようだ。

倉）　もしかして中畑さんですか・・、絶対中畑さんですよね！
僕）　エッ、誰ですかそれ？下関は結局どっちなんですか？

僕のわざとらしさも相まって、完全に倉井選手も僕の存在に気付いてくれた。まんまと僕の罠にはまった倉井選手。ここは僕に軍配が上がったようだ。ただ、若干悔いは残っている。もう少し絡めば良かったかな・・、あの言葉も投げかけとくべきだったかな・・。結局このドッキリは僕のオリジナルではなかっただけに、自分の持ち味が存分に発揮出来なかった。

ドッキリに引っかかったことを、早速FBに投稿している