日本一安い自動販売機

飛騨の冬(2021.12.26) ※終日零下は至って普通
飛騨の冬は寒い。”豪雪地帯”と言えば新潟県を思い描くが、僕の暮らす岐阜県飛騨地方も負けてはいない。僕が子供の頃体験した五六豪雪では、確か2階から出入りしていた。近年の異常気象は毎年大雪をもたらし、昨年も多かったが、今年もそれなりに多い。そしてこの日(2021.12.26)の雪上ランニングの際、冷えた体を暖めようと、その自販機の前に立った。そこで目にしたのは、俄に信じ難い”10円”の文字。これまで僕は48年間、昭和・平成・令和と生き抜いてきたが、初めて目にした自販機の10円は、おそらく最安の商品となる。ただしボタンは”100円”となっているので、未だ半信半疑で期待はしていない。そこでどちらが正しいのか確認すべく、試しに10円玉を入れてみる。すると、そこだけ緑色の明かりが灯った。『お~マジかよ、本当に10円だ!』と一人興奮し、帰宅後子供らに証拠の写真を見せて自慢した。

雪の自動販売機

ア-モンドミルク あるだけ10円 ※ボタンは100円となっている

ここまで自宅から10㌔弱
そして1月の半ばを過ぎたその日も、10円自販機を楽しみに25㌔程の雪上ランニングに出かけた。しかし生憎、”売切”ランプが点灯。先へ進む気力を失くし、不完全燃焼のままトボトボと折り返す。そしてその翌週(2022.1.29)、再びこの前を通りかかった。10円缶が無いことを知ってしまった以上、本来この自販機に用はない。しかし念の為、通り際自販機を覘いてみる。先週”売切”ランプが点灯していた箇所は、無惨にも缶自体が排除されていた。まぁ、そうだろうな・・。素直に納得したものの、僕の目は執拗に商品全体を追いかけていた。

楽しみにしていた10円缶(下段左から3本目)は空になっていた
別に110円出してまで何か飲みたい訳ではなかったし、ただ10円缶だけに興味があった。そして僕のしぶとさ(しつこさ)に奇跡が起きた。上部中央に”50円”のペットボトル(がぶ飲み)を発見。『おぉ~、これは俺の好きな奴だ!』と嬉しくなっていたところ、更にその右端に新たな”10円”の文字。何か運命染みた『津軽のりんご』を早速10円で買わせて頂き、一人ニヤニヤしながら有り難く飲み干した。たまたま通りかかった自販機のオ-ナ-夫人に感謝を告げ、少し談笑。どうやら消費期限が近い為、この破格の値段設定をしているようだ。しかし上蓋に示された期限を見てみたら、”2022.4.25”と、さほど切羽詰ってもいなかった。

がぶ飲み、50円
もし僕がこの自販機のオ-ナ-だったなら、期限が迫った商品をわざわざタダ同然の10円で売払うことはせず、自分や家族で飲んでしまうだろうと思う。このご主人の粋な計らいは、そうそう真似出来るものではない。ここは飛騨の中でも、更に輪をかけてひと気の少ない山奥の集落。車も通らなければ、人の姿もほとんど見かけない。果たしてこの10円缶の存在に気付いている人は、数少ない集落の人を含め如何ほどいるのだろうか・・。先のア-モンドミルクは僕が売り切れを出していない以上、他にライバルがいることは間違いない。新たな楽しみが出来たのは嬉しいが、今は週一くらいでしかここに来ないので、また無くなる可能性は極めて高い。ただ、期限の連鎖はあるだろうし、いずれは他の商品も10円になると僕は見ている。

津軽のりんご、10円
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