結局、笠鷲に(1)~笠五郎リベンジ成らず
8月15日、土曜日。先週のリベンジを晴らすべく、再び笠五郎を目指した。新穂高の登山指導センタ-を1時過ぎにスタ-ト。早起きは苦手だが、さすがに毎週のことで少しは慣れてきた。夜空を見上げると、満天の星が昨夜見た時と同じように輝いていた。先週が予定外の雨だっただけに、今日こそは期待出来そうだ。静まり返った左俣林道を淡々と走り、30分で笠新道入口に到着。入口には先週は見かけなかった笠ヶ岳山荘の立て看板が設置されていた。しかしここで、思いもよらぬ事態が発生。当てにしていたホ-スの水が出ておらず、ふいに選択を迫られることになる。手持ちの水500mlで、双六小屋まで進むか・・。しかし僅かペットボトル1本の水で笠新道を経て笠ヶ岳山頂、更にその後の長い稜線のことを思うと、この考えは賢明ではない。ならば、わさび平小屋まで汲みに行こうか・・。しかしどう考えたって水場まで戻った方が早い。仕方なしに新穂高方面へと逆走し、10分のロスで再び笠新道入口へと戻ってきた。笠ヶ岳を目指す登山者にとって、やはりここの水は当てにしない方が無難である。

新穂高登山指導センタ-

笠新道入口の水は出ていなかった

笠新道入口に現れた看板 ※先週は無かった
AMラジオを流しながら、笠新道を黙々と登る。途中登山者を2名各々追い越したが、おそらく昨日のうちの新穂高発だろう。手頃な木の杖も無事確保し、一気に杓子平まで登り上げた。杓子平の標高は実測で2370m、確か鏡平もこれくらいだった。ここまで来れば笠ヶ岳の雄姿が暗闇に浮かんで見えるだろうと期待していたが、生憎何も見えなかった。ここから稜線への登りも案外きついものだが、暗闇で稜線すら見えていない分、悲壮感は日中程は感じない。黙々と高度を上げ、難なく稜線へと這い上がる。稜線は濃い霧に覆われ、寒さも際立っていた。時間的に笠ヶ岳山頂での日の出を期待していたが、とにかく今日も眺望はなく、これでは先週の雨の山行とたいして変わらない。つい先程までずっと夜空に見えていた、あの満天の星は一体何だったのか。

杓子平 ※標高は実測で2370m

笠ヶ岳山荘

笠ヶ岳(標高2898m)

サンライズどころか何も見えない
2週連続の笠ヶ岳山頂は、またも外れてしまった。雨が降っていないだけ先週よりはマシだけど、先週と同じくらい寒い。今日こそは・・と意を決して来ているのに、これでは調子がくるってしまう。本来この笠の稜線からの眺望は大変素晴らしく、天候さえ合えば、並行する槍穂高連峰が常に右手に見えている。大ノマ岳に着く頃には、僕の考えも揺らぎつつあった。行程の長い笠五郎は結局今日も断念し、行程が短くエスケ-プル-トもある笠槍にしとこうかと。

笠新道分岐

抜戸岳へは縦走路からも行けるようだ

タカネヤハズハハコ

大ノマ岳(標高2662m)

大ノマ乗越

トリカブト ※有毒植物の一種

弓折岳(標高2592m)

双六小屋が見えてきた
今日のメインは高山植物かな・・。花の写真を撮りながら、一先ず双六小屋に到着。笠新道で稼いでいた時間的貯金は既に使い果たし、時間は予定以上に押している。しかし槍へと向かう苦肉の案は不思議と頭から離れ、取り敢えずこのまま双六、三俣蓮華へと向かってみようと思っていた。小屋外の水道で計1.5㍑の容器を満たし、直ぐに登りへと差し掛かる。霞む稜線に期待は持てないが、少しの頑張りで巻道分岐に到着。ふと反対方向から、颯爽とランナ-がやってきた。仲間のタッちゃんだった。最早、高天原温泉から戻ってきたようで、念願の露天風呂に浸かりながら、ビ-ルを3缶飲んできたのだと豪語する。山行途中の、しかも朝っぱらから3缶というのにも驚いたが、まさかこんな場所で会うとは全く想像していなかった。随分早いなと思っていたが、どうやら昨夜22時に新穂高を発っていたようだ。

双六小屋 ※結局槍案は捨て、予定通り五郎へと向かう
久々の双六岳は全く視界がなく、ただ寒いだけだった。風が猛烈に強く、カッパ上下を着ていても、容赦なしに体温が奪われてしまう。居合わせた単独行の男性は、これから黒部五郎小屋まで行き、そこに泊まるのだと言う。あまりにも厳しい現状に、僕の中で既に進む気力は失せていた。この先長い稜線を奥へと進み、その後再び新穂高まで戻らなければならないと思うと、五郎へ向かうことは憂鬱でしかなかった。本日の目的を急遽”岩茸山行”に切り替え、ここで沢山採ってから引き返そうと思った。しかし精を出した割には思った程採れず、その上風が強過ぎて、せっかく採った岩茸が袋ごと飛んでいきそうになった。仕方なく岩茸採りも適当に切り上げ、一足先に黒部五郎方面へと向かった単独行を追いかける。あまり気は乗らないが、一先ず三俣蓮華まで行き、そこで最終判断を下そうと思った。

双六岳(標高2860m) ※とにかく風が強く、余程引き返そうと思った
右下眼下に見渡せるはずの巻道の高原も、濃い霧に覆われ何も望むことは出来ない。先行する単独行の男性には、思ったよりも先でようやく追い着いた。富山県の天気予報は午後から雨だと、この男性に先程双六山頂で聞かされていた。予定より遅れており、時間との闘いもあった。そして黒部五郎を示す石のペンキ表示が出てきたら、その直ぐ先が三俣蓮華の山頂となる。時間的にはまだ許容範囲であり、これから黒部五郎へ向かったとしても、急げば何とか明るいうちには下山出来そうだ。体力的にも全く疲れてはいないが、とにかく一向に天候の回復が見込めなかった。眺望のない中進んでも全く楽しくはないし、それにそこまで無理をしようとも思わなかった。既に僕の心は鷲羽に決めている。鷲羽であれば稜線滞在がまだ少なくて済む。今回の山行、『笠五郎』というネ-ミング(勝手に命名)に魅かれた部分が大きいが、『笠鷲』も満更悪くない。リベンジ断念を肯定させる為、無理に自分にそう言い聞かせるしかなかった。

三俣蓮華岳(標高2841m) ※予定を変え、急遽鷲羽に向かうことに

今日も五郎は遠かった
つづく・・

新穂高登山指導センタ-

笠新道入口の水は出ていなかった

笠新道入口に現れた看板 ※先週は無かった
AMラジオを流しながら、笠新道を黙々と登る。途中登山者を2名各々追い越したが、おそらく昨日のうちの新穂高発だろう。手頃な木の杖も無事確保し、一気に杓子平まで登り上げた。杓子平の標高は実測で2370m、確か鏡平もこれくらいだった。ここまで来れば笠ヶ岳の雄姿が暗闇に浮かんで見えるだろうと期待していたが、生憎何も見えなかった。ここから稜線への登りも案外きついものだが、暗闇で稜線すら見えていない分、悲壮感は日中程は感じない。黙々と高度を上げ、難なく稜線へと這い上がる。稜線は濃い霧に覆われ、寒さも際立っていた。時間的に笠ヶ岳山頂での日の出を期待していたが、とにかく今日も眺望はなく、これでは先週の雨の山行とたいして変わらない。つい先程までずっと夜空に見えていた、あの満天の星は一体何だったのか。

杓子平 ※標高は実測で2370m

笠ヶ岳山荘

笠ヶ岳(標高2898m)

サンライズどころか何も見えない
2週連続の笠ヶ岳山頂は、またも外れてしまった。雨が降っていないだけ先週よりはマシだけど、先週と同じくらい寒い。今日こそは・・と意を決して来ているのに、これでは調子がくるってしまう。本来この笠の稜線からの眺望は大変素晴らしく、天候さえ合えば、並行する槍穂高連峰が常に右手に見えている。大ノマ岳に着く頃には、僕の考えも揺らぎつつあった。行程の長い笠五郎は結局今日も断念し、行程が短くエスケ-プル-トもある笠槍にしとこうかと。

笠新道分岐

抜戸岳へは縦走路からも行けるようだ

タカネヤハズハハコ

大ノマ岳(標高2662m)

大ノマ乗越

トリカブト ※有毒植物の一種

弓折岳(標高2592m)

双六小屋が見えてきた
今日のメインは高山植物かな・・。花の写真を撮りながら、一先ず双六小屋に到着。笠新道で稼いでいた時間的貯金は既に使い果たし、時間は予定以上に押している。しかし槍へと向かう苦肉の案は不思議と頭から離れ、取り敢えずこのまま双六、三俣蓮華へと向かってみようと思っていた。小屋外の水道で計1.5㍑の容器を満たし、直ぐに登りへと差し掛かる。霞む稜線に期待は持てないが、少しの頑張りで巻道分岐に到着。ふと反対方向から、颯爽とランナ-がやってきた。仲間のタッちゃんだった。最早、高天原温泉から戻ってきたようで、念願の露天風呂に浸かりながら、ビ-ルを3缶飲んできたのだと豪語する。山行途中の、しかも朝っぱらから3缶というのにも驚いたが、まさかこんな場所で会うとは全く想像していなかった。随分早いなと思っていたが、どうやら昨夜22時に新穂高を発っていたようだ。

双六小屋 ※結局槍案は捨て、予定通り五郎へと向かう
久々の双六岳は全く視界がなく、ただ寒いだけだった。風が猛烈に強く、カッパ上下を着ていても、容赦なしに体温が奪われてしまう。居合わせた単独行の男性は、これから黒部五郎小屋まで行き、そこに泊まるのだと言う。あまりにも厳しい現状に、僕の中で既に進む気力は失せていた。この先長い稜線を奥へと進み、その後再び新穂高まで戻らなければならないと思うと、五郎へ向かうことは憂鬱でしかなかった。本日の目的を急遽”岩茸山行”に切り替え、ここで沢山採ってから引き返そうと思った。しかし精を出した割には思った程採れず、その上風が強過ぎて、せっかく採った岩茸が袋ごと飛んでいきそうになった。仕方なく岩茸採りも適当に切り上げ、一足先に黒部五郎方面へと向かった単独行を追いかける。あまり気は乗らないが、一先ず三俣蓮華まで行き、そこで最終判断を下そうと思った。

双六岳(標高2860m) ※とにかく風が強く、余程引き返そうと思った
右下眼下に見渡せるはずの巻道の高原も、濃い霧に覆われ何も望むことは出来ない。先行する単独行の男性には、思ったよりも先でようやく追い着いた。富山県の天気予報は午後から雨だと、この男性に先程双六山頂で聞かされていた。予定より遅れており、時間との闘いもあった。そして黒部五郎を示す石のペンキ表示が出てきたら、その直ぐ先が三俣蓮華の山頂となる。時間的にはまだ許容範囲であり、これから黒部五郎へ向かったとしても、急げば何とか明るいうちには下山出来そうだ。体力的にも全く疲れてはいないが、とにかく一向に天候の回復が見込めなかった。眺望のない中進んでも全く楽しくはないし、それにそこまで無理をしようとも思わなかった。既に僕の心は鷲羽に決めている。鷲羽であれば稜線滞在がまだ少なくて済む。今回の山行、『笠五郎』というネ-ミング(勝手に命名)に魅かれた部分が大きいが、『笠鷲』も満更悪くない。リベンジ断念を肯定させる為、無理に自分にそう言い聞かせるしかなかった。

三俣蓮華岳(標高2841m) ※予定を変え、急遽鷲羽に向かうことに

今日も五郎は遠かった
つづく・・
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