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テルチの山小屋風ロッジ~中欧周遊編(30)

2019年1月16日
ブルノ~テルチ



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世界遺産 テルチ歴史地区 (1992年登録)


長閑過ぎる町、テルチ。
テルチ城東に広がる大きな池の畔にあるベンチに座り、凍りついた池をぼんやりと眺めている。
この池は果たしてどれくらい凍りついているのだろうか。
先程からナナは雪玉を遠くへ投げ飛ばし、凍りついた氷面に穴を開けようとたくらんでいる。
しかし雪玉は軽く、表面に落ちるなり直ぐに弾き飛ばされ、まるで相手にされていない。
ならばと、大きな石を投げていたが、やはり結果は同じだった。

氷の上は歩けるかもしれないが、歩けないかもしれない。
池の鑑賞にも飽きてきたので、畔に設けられた遊歩道を、靴を濡らしながら歩いてみる。
この町の中心となるのが、ザハリア-シュ広場。
ここに整然と並ぶカラフルな建物を見ていると、自分がおとぎの国へと紛れ込んでしまったかのような錯覚に陥る。

元々このような町並みが出来たのは、1530年の大火まで遡る。
この時テルチの町は全焼してしまったが、領主ザハリア-シュの意向により、建替える家は全てルネッサンス様式と初期バロック様式に基づいて建てられた。
災難を逆手にとった逆転の発想で見事世界遺産の称号を勝ち取り、今では『モラヴィアの真珠』とまで呼ばれるようになった。


これから帰国日まで毎日移動の連続となり、精神的にも体力的にもハ-ドな日々が続く。
予定通り8:15に宿をチェックアウトし、急いでバスタ-ミナルへと向かう。
そして24番の乗り場にてテルチ行きのバスを待つ。
やがてバスが到着し、荷物置き場にメインのバックを預け、車内に乗り込む。
車内には刻印機が設置されており、一見路線バスかなと思った。
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朝から贅沢に

2時間弱の移動なので当然途中休憩はなく、10:35にテルチ到着。
バスを降りると、そこはバスタ-ミナルというよりは、ただのバス停だった。
窓口が無いので明日の切符は買えず、バス停の時刻表で運行時刻の確認だけしておく。
そして町方面へと歩き出し、早速宿探しに取りかかる。
バスの中にツ-リストはいなかったので、町にもツ-リストはいないだろうと思っていた。
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テルチ到着  ※結局明日もこのバスに乗ることになる
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隣にはハイカラな鉄道駅

1軒目の宿を見つけた。
玄関のブザ-を押すが、応答がない。
2軒目は地球の歩き方に載っていた本命の宿だが、あっさり『満室だ!』と断られる。
町には僕ら以外誰一人旅行者はおらず、どう見ても満室な訳はないのだが、おそらくオフシ-ズンの為、受け入れたくないのだろう。
これは今回の旅でも何度か経験したことで、結局はよくあるパタ-ンだ。
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旧市街の入口、ホルニ-門

しかしその後の3軒目も応答なし。
これはヤバイ展開になってきたかもしれない。
そもそも宿すらあまり見当たらないことで、次第に焦りは大きくなってきた。
次に訪れた4軒目、事前に調べていた宿だったが、全く場所が分からない。
半分諦め、ダメもとで通行人に尋ねてみる。
しかし幸いにも宿は見つかり、その上快く泊めてもらえることになった。
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苦労した末、無事投宿

この宿がとても感じの良い宿で、木面が随所に表れ、山小屋風ロッジのような造りとなっていた。
共有スペ-スは1階2階に及び、他に宿泊客さえいなければ、まるで貸し切りコテ-ジである。
キッチンに置かれたフリ-のティ-も嬉しかった。
ソファ-にどっぷり腰を落とし、テレビを観ながら優雅に紅茶を頂いた。
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部屋
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2階が各客室やリビング、1階が食堂とキッチン
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リビングのソファ-でテレビを観ながら昼食

そして世界遺産の広場へと再度繰り出す。
先程も宿探しの際に広場には行っていたが、荷物を担いで必死に宿探しをしている時だったので、呑気に見とれている余裕はなかった。
しかし結局は荷物を担いでいようがいまいが、目の前に広がる光景は別段心躍るようなものではなかった。
その上残念なことに、数少ない名所であるテルチ城や各教会等、全て冬期の為閉まっていた。
従ってこの町で見るべきは、カラフルな建物が並ぶザハリア-シュ広場のみとなる。
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カラフルな建物が並ぶ  ※もう少し濃い原色の方が絵になると思う

こここそが『モラヴィアの真珠』とも称される、美しい町テルチの象徴である。
しかし一応カラフルではあるものの、眩しいまでの鮮やかさには欠け、どうせ世界遺産として売り込むなら、もっと原色を使った濃い色にした方が見栄えもいいだろうなと思った。
それに実際は広場を囲う建物はウナギの寝床のような縦長の建物で、広場に面した前面にだけ天を突き刺すような特徴的な壁が張り付けられているに過ぎない。
歴史もあまり感じないし、内心これくらいどこの町でも造れそうだと思った。
この広場のどこに価値があるのか、綺麗なのか、終始疑問を感じていた。
それに、訪れた時期も悪かったのだと思う。
夏の晴れた日にでも来れば、この光景も今とは違ったものに見えたのかもしれない。
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土産物屋の操り人形

観光案内所で地図をもらい、ついでに明日乗るバスの時刻を確認する。
乗り継げば他にも多くあるようだが、直通便はやはり10:43発の1便だけのようだ。
結局は今日乗ってきたバスに、この町から途中乗車するしかないということ。
案内所を出た後は、城の周辺を散策した。
雪道は凍りつき、滑って危なかった。
カモの群れをぼんやりと眺めたり、雪玉を飛ばして遊んだりして、この町らしい長閑な思い出にはなった。
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カモ
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テルチ城
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凍りつく池
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雪玉を飛ばす

観光案内所で教わったス-パ-マ-ケットまで遠く足を延ばし、大量に食材を買い込む。
欧州のように物価の高い国を旅していると、僕らにとって自ずとス-パ-の存在が絶大となってくる。
TESCOは昨日の町でも買い物をしており、売られている商品も値段も心得ている。
宿に戻り、1階のキッチンで早速夕食を作る。
鍋で米を炊き、塩おにぎりを作り、その付け合せとして、安売りされていたサラダで塩の即席漬物を作ってみた。
勿論いつもの具材を入れ、僕らの定番トマトソ-ス味のペンネも作る。
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ス-パ-マ-ケット
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キッチンで自炊

米がいい感じに炊き上がる頃、噴き上がる煙に反応し、突如火災報知機が鳴り響いた。
慌てて換気扇を回そうとするが、肝心の換気扇がどこにも見当たらない。
何故キッチンに換気扇がないんだ!と一瞬パニックになったが、急いで玄関のドアを全開にしたら、しばらくして警報機はピタリと鳴り止んだ。
ペンネは今回の旅で何度も作ってきたが、これまでで一番の出来だった。
これなら店で食べるのとたいして変わらないな・・、そう自画自賛する程美味しかった。
貸し切りの山小屋風ロッジを自由に1階2階と行き来し、何だか自分の別荘にいるような満ちた感情に包まれていた。
やはり結局は、町の印象は宿の印象なんだな・・。
改めてそう感じた。
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豪華メニュ-が完成  ※ペンネ、おにぎり、即席漬物・・
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ライトアップされた聖母マリアの柱像
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夜のテルチは寂し過ぎ
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一日の締め


テルチ・podoli U krizku泊-630Kč


宿代(630Kč) ポストカ-ド(5Kč) ス-パ-マ-ケット(ポテトチップス225㌘23.9Kč、ミカン15個20.45Kč、パン1.9Kč×4、パプリカ赤大1個10.78Kč、サラダ袋入り24.9Kč→6.23Kč、ヨ-グルト6.9Kč×2、ビ-ル1.5㍑17.9Kč、ソ-セ-ジ400㌘24.9Kč、トマトソ-ス500㌘22.9Kč、白米400㌘11.9Kč、ペンネ500㌘8.9Kč、グミ9.9Kč×4、グミ13.5Kč、棒キャンディ-2.9Kč×7)  計877.66Kč

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