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タツノオトシゴ(1)~待て、このエロ親父!

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お願い、たまには歩いてくれ!


・・前回の続き


昨夜は調子に乗って飲み過ぎ、日付が変わり本日未明1時に就寝。3時前後にアラ-ムを複数設定し眠りについたが、やはりその音に気付くことはなかった。突如携帯の音が車内で鳴り響き、しばらく鳴った後、音はパタッと止まった。間髪入れず再び鳴り出し、腕時計を見ると3時半を示している。きっと仲間からのモ-ニングコ-ルだろうと、のそのそとバックの奥底からガラケ-を取り出した。電源を切っていなくて幸いしたが、発信元は波ちゃんだった。僕は電話に出るなり『4時まで寝させて・・』と消えそうな声で一言呟き、その反応を待つでもなく、再び布団に倒れ込む。そして4時、再びモ-ニングコ-ルが鳴った。酒は抜けていないし、眠いし、余程今日の山行はドタキャンしようかと思った。勝手に2人で行ってくれ!と余程言いたかったが、そんな訳にもいかず嫌々起床。車から出て2人のもとへ行くと、既にやる気満々の顔つきで出発の支度をしていた。5時発を目指し、僕も早速準備にとりかかる。全員の準備が整った後、中尾まで各々の車で行き、そこから僕の車1台で新穂高の無料駐車場へと向かう。3連休の中日、混んでいることは承知していたが、1台くらいなら運が良ければ停めれるだろうと思っていた。しかし国道から駐車場入口へと入り、警備員の姿を目にした時点で新穂高発は諦めた。ここに警備員がいる時点で既にアウトで、たとえ空があったとしても中には通してもらえない。仕方なく中尾に戻り、5:15、中尾橋をスタ-トした。
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新穂高登山指導センタ-

中尾から新穂高へは2.5㌔の道のりとなる。きつい右俣林道の上りに備え、この事前ランは足慣らしには丁度いい。新穂高登山指導センタ-で登山届を提出し、右俣林道へと進む。この林道にいい思い出はないが、走れるようになった今では味わう苦しみは半分以下で済む。新穂高から林道終点となる白出までは標準コ-スタイム(CT)2時間。これまで何度も走っているが、おそらく一度も歩かず(当然休まず)走り切ったという経験はない。大概途中の穂高平辺りで休まないとしても歩きくらいは一度入れるが、今日はほっしゃんにかなりしごかれた。『穂高平で一旦歩くぞ!』と確かに僕は言ったはずなのに、その声が届いていなかったのか、或いは軽く無視されたのか、穂高平も完全スル-。おいおい、マジかよ・・。ほんと勘弁してほしかったが、僕は半べそをかきながら休憩代わりに写真を1枚撮り、直ぐにほっしゃんを追いかける。何だアイツ、昨夜のエロ親父とは全く別人じゃないか!待ってくれ、ほっしゃん。待ってくれ、ス-パ-エロ親父!
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穂高平

何とかほっしゃんのしごきに耐え、ようやく待望の白出沢に到着。新穂高からここまで46分だった。ほっしゃんにせよ、タッちゃんにせよ、先に行かせるとロクなことはない。しかしここからは完全に僕のテリトリ-。一切主導権を譲るつもりはない。等間隔の隊列を組み、僕、波ちゃん、ほっしゃんの順で黙々と進む。途中横切る滝谷は、大雨の際は注意しなければならない。過去には増水した川を渡ろうとして3人が流され死亡する事故が起きている。ちなみに僕は以前、白出沢の増水で川が渡れず、ストックが流された挙句、止む終えず撤退に追い込まれたことがあった。先程の林道は歩くことすら許されず、精神的にも肉体的にもかなり苦労したが、登山道では岩場は気兼ねなしに歩けるし、ランナ-からすればそこら中が休憩ポイントだ。ハイペ-スでじわじわと高度を詰め、新穂高から1時間55分で槍平に到着。
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ヒカリゴケ
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滝谷
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ハイペ-スで進む
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槍平小屋到着

槍平小屋で初めての休憩を取る。朝食におりぎりを食べ、水筒の水も満タンにしておく。この先稜線に上がると双六小屋まで水場はないので、僕は通常の750ml、500mlだけでなく、今日は1㍑の予備水筒も持ってきた。ここから始まる南岳新道は中々の急登だが、やはりこういう急登は下りで使うより登りで使う方が理にかなっていると思う。ガンガンと飛ばし、高度を上げていく。やがて笠ヶ岳の眺望が見えてきた。その右手前には飛騨の展望台・奥丸山も見える。その2つの山は当初同じ目線の高さに見えていたが、高度が上がるにつれ、その上下関係は明らかになってきた。しばらく頑張って登り、振り返る度にその見え方が変わってきて面白かった。
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笠ヶ岳(左)と奥丸山(手前)

樹林帯を抜けると、一気に高度感が増してくる。ほっしゃんが岩肌を登ってくる姿は、さながらTJARのワンシ-ンのようだった。太陽がもう少し高い位置にいれば、もう少しいい写真が撮れたのに残念だ。右の方向には穂高の峰々や、焼岳なんかもよく見える。大キレットは直ぐそこに迫り、中々見れない角度からその全貌を眺めては楽しんだ。南岳新道のこの辺りを歩いていると、左下に道筋が見えてくる。見るからに登山道のようだが、おそらくこれは旧道なのだろうなと思う。新道から取り付く箇所はないので、危うく迷い込むことはなさそうだ。今では使われていない旧道ではあるが、遠くからでも確認出来る道筋を見て、ナスカの地上絵(ペル-)を思い出した(見たことはないが)。
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樹林帯を抜け
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稜線を捉えた
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中腹をトラバ-ス
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笠ヶ岳
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目指せ、最強女子!
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大キレット全貌

そしてようやく稜線まで登り上げた。新穂高から約4時間、だいたいいつもこんな感じだ。波ちゃんは林道の上りランでも、登山道の急登でも少々離れてはいるが、大きく離れないのが本当に凄いと思う。あまりにも距離が離れたら僕ら男性陣は波ちゃんを待ちながら少し休んでいるが、彼女が合流するなり直ぐに再始動。その為、結局は波ちゃんだけ道中は全く休めていない。ここまで強い女性は僕は今まで見たことがないし、そうそういないだろうと思う。そしてこの”亀戦法”は距離が延びる程威力を発揮することを、僕らは先週の白山白川郷で散々思い知らされた。そして今回もまた、彼女の強さを目の当たりにすることになる。
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南岳小屋


つづく・・



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