本州縦断フットレース2021スペシャル(26)~タイムアップ
2021年5月17日(月)
※大会24日目
江津(島根)~益田(島根)
本日距離:60.4km
《総距離:1396.0km》
4/24の午前10時に14名のランナ-によって青森駅を一斉スタ-トした本州縦断フットレ-ス2021スペシャルは、いよいよ本日午後10時をもってタイムアップを迎える。つまり、制限時間564時間(=23日半)がそこで切れることになる。未知なる距離であるが故、厳しい闘いになるだろうということは大会前から当然分かっていたし、それなりの覚悟もしていた。しかしその辛さは想像を遥かに上回り、やはり僕如きの力では到底太刀打ち出来なかった。故障して走れなくなったことは事実として確かにあるが、このレ-スにおいて故障は一切言い訳にならない。故障に屈するか、痛みに耐えて進み続けるか・・。この長い行程において故障は避けられないし、他の選手も皆、例外なく故障に苦しみながら闘っていた。スペシャルの完走は果たせなかったが、どうせリタイア扱いになるにしても、せめて順位だけはこだわりたかった。だから、タイムアップの夜10時までには、何が何でも次のCP33(1395.7㌔)だけは絶対に落としたかった。

朝食バイキング(6:46) ※朝カレ-が嬉しい
大雨注意報
発令、終日雨マ-ク。宿での朝食バイキングの最中、外の光景が憂鬱でしかなかった。コロナ感染予防の換気の為か、食堂の窓が少し開けてあり、その為嫌でも激しい雨音が耳に入ってくる。これまでも雨のスタ-トは幾度となく体験してきたが、激しい本降りは僕の闘争心をも奪い、今日の長い行程のことを思うと自分が可哀想にさえ思った。7:15、覚悟を決めてホテルの玄関に立つ。いつもの雨天時のようにカッパ上下、キャップ、フ-ドの井出達で、今まさに意を決して雨の中に飛び出そうとしていた。そんな時、フロント前にいた従業員のおばさんが、優しく僕に声をかけてきた。『傘持ってないの?その傘持ってっていいよ!』。傘立てに何本か差し込んであったホテルのビニ-ル傘を、親切にも僕に分け与えてくれたのだ。”ランニングに傘”という発想はなかったが、『どうせほぼ歩きだし、意外と役に立つかもな・・』と思い直し、有り難く傘を頂いた。

外は本降り(7:15) ※最後までいいホテルだった

歩きに傘は必須
雨の中、傘を差して歩く。いつものように雨ざらしの状態ではないので、本降りでもずぶ濡れになるようなことはなく、心理的に受けるダメ-ジも少なかった。時間的に地元小学生の通学と重なり、列を成し、傘を差して黙々と歩く子供らの姿に勇気をもらった。そもそもこんな雨の日に、外を歩く人間など今時小学生くらいしかいないだろう。日本の小学生は本当に逞しいと思う。今大会とは全く関係ない話だが、大雨警報が出る度に僕には思うことがある。我が家の小学生は大雨警報が発令された中、傘を差して元気に学校へと向かう。しかし高校の娘は警報による臨時休校で遅くまで起きてこない。この差は一体何なのか・・。どうも納得が出来ず、一度県の機関に苦情(意見)を言ったことがある。強まる雨に辟易しながらもそんなことを思い出し、擦れ違う小学生を前にギアを1段階上げた。

バス小屋に避難

避けられない水しぶき

浜田市(9:23)

今日の仮眠はここだけ

立派な淡竹はちょうど食べ頃

国府小学校3年生 ※大志と同じ
最後の行程となる明後日の徹夜走に向け、スマホバッテリ-を買うことにした。スペシャル版(制限時間23.5日)から通常版(同30日)に切り替えた今、通常版完走に向けての日数はまだ充分に残っている。明日の行程を終えると、残りは100㌔。ここ最近のぺ-スで考えれば、これを2日で辿っても良かった。しかし僕にだって意地はある。その意思を貫く為の買い物でもあった。僕はスマホ主体のデジタル人間ではないので、これまでスマホはCP通過報告(コンビニでのフリ-Wi-fi利用)と、音楽を聴く時くらいしか使っていなかった。電池温存の為に午前中はぎりぎりまで電源を落とし、音楽のないこの無音状態が僕の中で最も辛い時間帯(睡魔との闘い)となっていた。バッテリ-は僕が想像していたより小さく軽く、その上思ったよりも手頃な値段で買えた。最近ではグ-グルマップの経路機能を覚えたことで活躍の場も広がっているし、これならスタ-ト時から持っておけば良かったと今更ながら後悔している。

エディオン(12:11) ※明後日の徹夜走を決心し、スマホバッテリ-を購入

ゴ-ルまで200㌔を切った

すき家で牛丼並ランチ(13:31)
後半30㌔くらいから、ペ-スを気にするようになってきた。日本海とは今日でお別れとなり、明日からは下関に向けて内陸を南下する。本州縦断は日本海とともにあった。海沿いは大概強い風が吹き、寒さを覚えることもあった。どこまでも続く代わり映えのない風景は、時に僕を苦しめ、絶望感を植え付けることもあった。しかしそんな中にも綺麗な夕焼け空や心癒される波の音には、多大な活力をもらった。海の存在は否(いや)が応にも偉大なものだった。残り20㌔を切った辺りからは、下りを中心に走りも交える。道路標識には先日来”下関”の文字が常に上にあり、その距離は着実に縮まってきている。しかしここは欲張らず、手前の町だけに集中。先ずは益田、今日はそのことしか考えていない。

さようなら日本海

下関171㌔(17:14)

使わない傘はバックに差し込む
今日は日中、後続の猛追に怯えながら進んでいた。息を吹き返したゼッケン1番いちあし選手。僕が本州縦断スペシャルの存在を知ったのは、いちあし選手のブログ記事をたまたま見つけたからだった。そしてその翌日には、何も考えず半ば勢いだけでエントリ-。本大会では糸魚川手前で一緒になり、その後奇遇にも糸魚川で似たような致命傷を負い、ともに生死の淵に立たされた。そんないちあし選手だったが、ここに来て連日有り得ない距離
を進んでいる。追い着かれるのは時間の問題だろうと思いながらも、何とか最後まで逃げ切りたいとも思っていた。たまに後ろを振り返り、姿が見えないと心から安堵した。彼に追い着かれた時点で、僕には抜き返す余力は残っていない。だからこそ絶対に追い着かれる訳にはいかなかった。レ-スをしているという感覚が、この頃になって初めて僕の中に芽生えてきた。そして21:20、CP33の中吉田交差点(1395.7㌔)に到着。何とかタイムアップの22時に間に合った。いちあし選手はまだ僕の後ろにいる。

下関153㌔(21:14)

CP33(益田市街・中吉田交差点、1395.7㌔) ※何とかタイムアップに間に合った
ホテルは若干分かり難い場所にあり、行き着くのに少し無駄足を踏んだ。チェックイン後には夕食を買いにコンビニへと向ったが、最寄でもこれが意外と遠く、またもや無駄足となった。本日5/17の22時をもって、本州縦断フットレス2021スペシャルは幕を閉じた。ゼッケン8番僕、敢え無くここでタイムアップとなる。記録はCP33、1395.7㌔。スペシャル終了を湯舟に浸かりながらエビスで祝い、”敗北”の余韻に浸った。敗北の余韻とは随分おかしな話だが、闘いに敗れたとは言え、多少の満足感は得られている。駄目なりにも、ここまで必死に頑張ってきた。一切妥協することなく、自分の持てる力を全て出し切ってきた。順位は努力に比例する。前を行く選手は僕が想像出来ないくらい頑張ってきたのだろう。しかし僕の闘いはまだ終わっていない。泣いても笑っても、後2行程。悔いを残さないよう、最後まで苦しみ抜きたいと思う。

客室(21:50) ※チェックイン時に500円のクオカ-ドを貰った

浴室トイレ

スペシャル終了をエビスで祝う(22:01) ※記録:CP33(1395.7㌔)

勝負ゼッケン登場(24:07) ※康介よ、最後に力を貸してくれ!
ホテルダイエ-益田(益田市)泊
セブン(ホットコ-ヒ-100円) エディオン(スマホバッテリ-990円) すき家(牛丼並ランチ500円) セブン(おにぎり梅124円、味付海苔サ-モンわさびマヨネ-ズ130円、ホットコ-ヒ-100円) ロ-ソン(ストロングドライ128円、エビスビ-ル333円、厚切りポテチ108円、カップ麺129円) 宿(朝食バイキング付き7600円) 計10242円

江津(島根)~益田(島根)
本日距離:60.4km

4/24の午前10時に14名のランナ-によって青森駅を一斉スタ-トした本州縦断フットレ-ス2021スペシャルは、いよいよ本日午後10時をもってタイムアップを迎える。つまり、制限時間564時間(=23日半)がそこで切れることになる。未知なる距離であるが故、厳しい闘いになるだろうということは大会前から当然分かっていたし、それなりの覚悟もしていた。しかしその辛さは想像を遥かに上回り、やはり僕如きの力では到底太刀打ち出来なかった。故障して走れなくなったことは事実として確かにあるが、このレ-スにおいて故障は一切言い訳にならない。故障に屈するか、痛みに耐えて進み続けるか・・。この長い行程において故障は避けられないし、他の選手も皆、例外なく故障に苦しみながら闘っていた。スペシャルの完走は果たせなかったが、どうせリタイア扱いになるにしても、せめて順位だけはこだわりたかった。だから、タイムアップの夜10時までには、何が何でも次のCP33(1395.7㌔)だけは絶対に落としたかった。


朝食バイキング(6:46) ※朝カレ-が嬉しい
大雨注意報


外は本降り(7:15) ※最後までいいホテルだった

歩きに傘は必須
雨の中、傘を差して歩く。いつものように雨ざらしの状態ではないので、本降りでもずぶ濡れになるようなことはなく、心理的に受けるダメ-ジも少なかった。時間的に地元小学生の通学と重なり、列を成し、傘を差して黙々と歩く子供らの姿に勇気をもらった。そもそもこんな雨の日に、外を歩く人間など今時小学生くらいしかいないだろう。日本の小学生は本当に逞しいと思う。今大会とは全く関係ない話だが、大雨警報が出る度に僕には思うことがある。我が家の小学生は大雨警報が発令された中、傘を差して元気に学校へと向かう。しかし高校の娘は警報による臨時休校で遅くまで起きてこない。この差は一体何なのか・・。どうも納得が出来ず、一度県の機関に苦情(意見)を言ったことがある。強まる雨に辟易しながらもそんなことを思い出し、擦れ違う小学生を前にギアを1段階上げた。

バス小屋に避難

避けられない水しぶき

浜田市(9:23)

今日の仮眠はここだけ

立派な淡竹はちょうど食べ頃

国府小学校3年生 ※大志と同じ
最後の行程となる明後日の徹夜走に向け、スマホバッテリ-を買うことにした。スペシャル版(制限時間23.5日)から通常版(同30日)に切り替えた今、通常版完走に向けての日数はまだ充分に残っている。明日の行程を終えると、残りは100㌔。ここ最近のぺ-スで考えれば、これを2日で辿っても良かった。しかし僕にだって意地はある。その意思を貫く為の買い物でもあった。僕はスマホ主体のデジタル人間ではないので、これまでスマホはCP通過報告(コンビニでのフリ-Wi-fi利用)と、音楽を聴く時くらいしか使っていなかった。電池温存の為に午前中はぎりぎりまで電源を落とし、音楽のないこの無音状態が僕の中で最も辛い時間帯(睡魔との闘い)となっていた。バッテリ-は僕が想像していたより小さく軽く、その上思ったよりも手頃な値段で買えた。最近ではグ-グルマップの経路機能を覚えたことで活躍の場も広がっているし、これならスタ-ト時から持っておけば良かったと今更ながら後悔している。

エディオン(12:11) ※明後日の徹夜走を決心し、スマホバッテリ-を購入

ゴ-ルまで200㌔を切った

すき家で牛丼並ランチ(13:31)
後半30㌔くらいから、ペ-スを気にするようになってきた。日本海とは今日でお別れとなり、明日からは下関に向けて内陸を南下する。本州縦断は日本海とともにあった。海沿いは大概強い風が吹き、寒さを覚えることもあった。どこまでも続く代わり映えのない風景は、時に僕を苦しめ、絶望感を植え付けることもあった。しかしそんな中にも綺麗な夕焼け空や心癒される波の音には、多大な活力をもらった。海の存在は否(いや)が応にも偉大なものだった。残り20㌔を切った辺りからは、下りを中心に走りも交える。道路標識には先日来”下関”の文字が常に上にあり、その距離は着実に縮まってきている。しかしここは欲張らず、手前の町だけに集中。先ずは益田、今日はそのことしか考えていない。

さようなら日本海

下関171㌔(17:14)

使わない傘はバックに差し込む
今日は日中、後続の猛追に怯えながら進んでいた。息を吹き返したゼッケン1番いちあし選手。僕が本州縦断スペシャルの存在を知ったのは、いちあし選手のブログ記事をたまたま見つけたからだった。そしてその翌日には、何も考えず半ば勢いだけでエントリ-。本大会では糸魚川手前で一緒になり、その後奇遇にも糸魚川で似たような致命傷を負い、ともに生死の淵に立たされた。そんないちあし選手だったが、ここに来て連日有り得ない距離


下関153㌔(21:14)

CP33(益田市街・中吉田交差点、1395.7㌔) ※何とかタイムアップに間に合った
ホテルは若干分かり難い場所にあり、行き着くのに少し無駄足を踏んだ。チェックイン後には夕食を買いにコンビニへと向ったが、最寄でもこれが意外と遠く、またもや無駄足となった。本日5/17の22時をもって、本州縦断フットレス2021スペシャルは幕を閉じた。ゼッケン8番僕、敢え無くここでタイムアップとなる。記録はCP33、1395.7㌔。スペシャル終了を湯舟に浸かりながらエビスで祝い、”敗北”の余韻に浸った。敗北の余韻とは随分おかしな話だが、闘いに敗れたとは言え、多少の満足感は得られている。駄目なりにも、ここまで必死に頑張ってきた。一切妥協することなく、自分の持てる力を全て出し切ってきた。順位は努力に比例する。前を行く選手は僕が想像出来ないくらい頑張ってきたのだろう。しかし僕の闘いはまだ終わっていない。泣いても笑っても、後2行程。悔いを残さないよう、最後まで苦しみ抜きたいと思う。


客室(21:50) ※チェックイン時に500円のクオカ-ドを貰った

浴室トイレ

スペシャル終了をエビスで祝う(22:01) ※記録:CP33(1395.7㌔)

勝負ゼッケン登場(24:07) ※康介よ、最後に力を貸してくれ!
ホテルダイエ-益田(益田市)泊
セブン(ホットコ-ヒ-100円) エディオン(スマホバッテリ-990円) すき家(牛丼並ランチ500円) セブン(おにぎり梅124円、味付海苔サ-モンわさびマヨネ-ズ130円、ホットコ-ヒ-100円) ロ-ソン(ストロングドライ128円、エビスビ-ル333円、厚切りポテチ108円、カップ麺129円) 宿(朝食バイキング付き7600円) 計10242円
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| 本州縦断レ-ス2021 | 12:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑