本州縦断フットレース2021スペシャル(10)~敗北宣言
2021年5月1日(土)
※大会8日目
寺泊(新潟)~柏崎(新潟)
本日距離:48.0km
《総距離:522.7km》
本日、運命の日を迎えることになろうとは
・・。毎日必ずと言っていい程心身ともにグタグタになっているが、今日は朝から調子が悪かった。想像を絶する睡魔の嵐
、疲れ切って全く使い物にならない脚。ここまで何とか計画通りに進んではきたが、どうやらそれも終に限界のようだ。今日の行程(72.2㌔)ですら全く自信がないのに、仮に無理してこなせたとしても、明日以降も続けるなんてことはまず不可能だ。道中朦朧とした意識の中、僕はやめることばかり考えていた。今日明日も高澤さんが付き合ってくれるが、期待に応えることが出来ず本当に申し訳ない。さて、どこまで続けようか・・。死に場所を探し求めるように、リタイアする場所を頭の中で考える。そんな時、僕の方へと向って歩いてくる一人の男性がいた。涙を拭い、何事もなかったかのように挨拶を交わす。『青森を4/24にスタ-トし、これから下関へと向かいます!』と語った僕に対し、この男性は下関から青森へと向っているのだと言う。確か今日で19日目だと言っていたが、衝撃の事実はその先にあった。何とこの方、青森到着後、再び下関まで戻るのだと言う
。噂でしか聞いたことがなかった”本州縦断往復3100㌔”は本当に実在したのだ。そんな有り得ない行程の中でも前向きに進んでいるこの選手に対し、本州縦断(片道)如きで死にかけている僕。とても情けなく、恥かしく思った。

縦断如きで死にかけている自分が情けない ※本州縦断往復3100kmリバースの選手
今日はとにかく出だしから猛烈な睡魔に襲われていた。昨夜は22時過ぎに就寝し今朝は2時半に起床、睡眠時間は4時間半となる。宿を発つ時にはまだ誰も起きておらず、玄関をそっと開け、静かに一人チェックアウトした。本日先ず目指すは、20㌔先の出雲崎。まだ疲れのない出だしだということを考えれば、4時間もあれば充分着くだろうと見積もっていた。ちなみに本州縦断を決意した時点で、通常ランナ-が指標とする”㌔何分”という感覚は捨てた。どれだけの速さで走ったかはさほど重要ではなく、1時間で何㌔進んだかが関心の全てである。走れて時速6~7km、。調子良く歩けて時速5km超。これが僕の一つの目安だった。しかしこの時の僕は、出雲崎までの20㌔を進むのに結局5時間を要してしまった。

寺泊名物 黒蜜まんじゅう

お宿まつや(4:46)

満室御礼
何故出だしの20㌔に5時間もかかったのか・・。これは走れなかったことも大きいが、一番の要因は尋常でない程の睡魔の存在であった。この区間だけでも、5分仮眠を計4度取ることになった。ベンチやバス小屋を見かける度に吸い込まれるように近付き、そこに着くなり倒れ込む。とにかく眠いので、寝に落ちるのは早かった。そんなことを繰り返しながら、ようやく辿り着いた出雲崎の道の駅。ここで今日初めて高澤さんと会う。昨日は朝から晩まで終始一緒にいたが、今日はここまで姿を見せず、少し寂しくもあった。今日は全く進めていない旨を元気のない声で告げる。それは明らかに何かを思い詰めているかのような、覇気のない小さな声だった。その話しぶりから僕の最期を悟ったのか、高澤さんは慌ててランウェアに着替え、ここから少し併走してくれた。ここで驚きの情報が高澤さんの口から飛び出す。何故だか原選手が僕の後方にいるらしく、先程ここに来る時に車で見かけ、少し話をしてきたそうだ。原選手と言えば川の道のチャンピオンであり、今大会の優勝候補の一人でもある。そんな日本を代表する程の実力者が何故僕の後ろに・・。どうやら脚を故障したようで、新潟で停滞していたようだ。

寝てくれベンチ

寝てくれ小屋

あの先端が出雲崎か ※遠そうだな・・

寝てくれ広場

良寛(1758~1831) ※越後出雲崎に生まれた江戸時代後期の禅僧

道の駅・越後出雲崎 天領の里 ※昨日はまったクリ-ムあんぱんを見つけ、即ゲット

柏崎刈羽原子力発電所 ※世界最大の原発
ネガティブな話をしながら5㌔程並んで走る。この時の僕はまさに地獄の淵を彷徨っているようなギリギリの精神状態で、涙ながらに今の思いを赤裸々に告げた。高澤さんは昨夜の時点で僕の限界を感じていたようで、優しい言葉でリタイアを勧めてくれた。3日目以降ここに至るまで、ほぼ毎日のようにリタイアのことばかり考えていた。しかしまだ時間はたっぷり残っている中で、それを許さない自分も確かに存在した。例外なく選手は皆、今を必死に闘っている。僕の苦労など比でないかもしれない。そんな中、自分一人が我先にと逃げ出すようなことだけは絶対にしたくなかった。何があっても最後まで諦めたくない。他の選手が皆この苦しみから解放されるまでは、僕も一緒に苦しみ抜こうとこの時心に誓った。
道の駅へと走って戻る高澤さんと別れ、長い坂道へと差し掛かると、再び猛烈な睡魔に襲われた。昨年のR8試走でもこの区間は通っているはずだが、あの時は夜だったからか、この辺りを通った記憶が全くない。ようやく長い坂道を上り切り、脇道の舗装路に横たわり、タイマ-をかけ5分仮眠。しかし5分眠ってもすっきりせず、再びタイマ-を起動させ、計10分の仮眠となった。長い坂道を下り切り、市内に入ってしばらく、再び高澤さんが現れた。町に車を停め、ここまで走ってきたらしい。顔を見れて少し復活。いつしか雨が降り出している。しばらく一緒に走り、その後アクアパ-クで別れてからは本日3度目の一人旅。雨風が強く、バイパス高架を走っている際、頭に乗せていたサングラスが吹き飛ばされた。そして16:19、CP11の柳橋町交差点(521.7㌔)に到着。奇しくも昨年走った人生最長の521㌔(R8ステ-ジ)と全く同じ距離にて、僕のスペシャルは終わった。今日はその1㌔先のドラッグストアまで進み、高澤さんの車で宿へと向かう。

猛烈な睡魔と闘っている

柏崎市(14:02)

CP11(柏崎市街・柳橋町交差点、521.7㌔)

今日はここまで(16:32) ※この後高澤さんに宿まで送ってもらう
予約していたホテルは明後日以降全てキャンセルした。スペシャル制限23日半に対し、22日間でのゴ-ルを目指し、それに合せたプランを練っていた。しかし本日をもって僕の挑戦は儚くも終わってしまう。実際この不本意なスト-リ-は、自分でも頭の片隅で予想していたのかもしれない。ただ昨夜の時点ではまだ当然続ける気でいたし、やはり朝方の出雲崎20㌔5時間が僕の心にとどめを刺したのだろうと思う。まだ日数は充分残っているし、後半復活することだって有り得るのかも知れない。しかし1日70㌔以上という距離は僕にはもう無理だと思った。福井で待つマサさん、西舞鶴で待つ西田神様にメッセ-ジを送り、宿を全てキャンセルした旨、スペシャル断念の旨を告げる。自分自身にもこの先の方向性は全く見えていない。取りあえず明日の宿はキャンセルせずに残してあるので、明日一日ゆっくり考えたいと思う。

玉屋旅館(17:31) ※1泊2食付き6000円

是非また泊まりたい
こんなに早い時間に宿に着くことは当然今までなかった。哀れな兵士を労わるように、女将さんが何かと世話を焼いてくれた。先ずゆっくり入浴を済ませ、その後部屋で夕食を頂く。その豪華さは目を見張るものがあり、おひつのご飯に思わず失笑。ご飯のお代わりは予め要望していたが、その応え方が凄過ぎる。大喰らいの僕でもさすがにここまでは食べ切れない。おかずの品数も多く、どれも美味しかった。昔長男とよく通った中央アルプス(伊那)の信濃路のカツ丼もかなりヤバかったが、ここも負けてない。酒を飲みながら、キャンセル作業に忙しい。ここまで溜めこんでいた葛藤、抱えていたプレッシャ-が一気に弾け、若干開き直っている。プランB。僕の新たな闘いがここに始まった。

今夜は飲むぞ(ヤケ酒)

おかずが凄い ※メイン級が3品、しかも美味しい

おひつがヤバイ(茶碗山盛り4~5杯分) ※せいぜい山盛り3杯で限界

ついに抜けたか
玉屋旅館(上越市)泊
ファミマ(おにぎりシ-チキンマヨネ-ズ124円、おにぎり梅120円) 天領の里(おにぎりシ-チキン124円、おにぎり梅125円、天領あんぱん160円) セブン(ポテチ108円) ウェルシア(ザバス151円、富良野生165円、ポテチ95円、地酒菊水辛口418円、バ-リアルリッチ121円、袋2円) 宿(1泊2食付き6000円) 計7713円


寺泊(新潟)~柏崎(新潟)
本日距離:48.0km

本日、運命の日を迎えることになろうとは




縦断如きで死にかけている自分が情けない ※本州縦断往復3100kmリバースの選手
今日はとにかく出だしから猛烈な睡魔に襲われていた。昨夜は22時過ぎに就寝し今朝は2時半に起床、睡眠時間は4時間半となる。宿を発つ時にはまだ誰も起きておらず、玄関をそっと開け、静かに一人チェックアウトした。本日先ず目指すは、20㌔先の出雲崎。まだ疲れのない出だしだということを考えれば、4時間もあれば充分着くだろうと見積もっていた。ちなみに本州縦断を決意した時点で、通常ランナ-が指標とする”㌔何分”という感覚は捨てた。どれだけの速さで走ったかはさほど重要ではなく、1時間で何㌔進んだかが関心の全てである。走れて時速6~7km、。調子良く歩けて時速5km超。これが僕の一つの目安だった。しかしこの時の僕は、出雲崎までの20㌔を進むのに結局5時間を要してしまった。

寺泊名物 黒蜜まんじゅう

お宿まつや(4:46)

満室御礼
何故出だしの20㌔に5時間もかかったのか・・。これは走れなかったことも大きいが、一番の要因は尋常でない程の睡魔の存在であった。この区間だけでも、5分仮眠を計4度取ることになった。ベンチやバス小屋を見かける度に吸い込まれるように近付き、そこに着くなり倒れ込む。とにかく眠いので、寝に落ちるのは早かった。そんなことを繰り返しながら、ようやく辿り着いた出雲崎の道の駅。ここで今日初めて高澤さんと会う。昨日は朝から晩まで終始一緒にいたが、今日はここまで姿を見せず、少し寂しくもあった。今日は全く進めていない旨を元気のない声で告げる。それは明らかに何かを思い詰めているかのような、覇気のない小さな声だった。その話しぶりから僕の最期を悟ったのか、高澤さんは慌ててランウェアに着替え、ここから少し併走してくれた。ここで驚きの情報が高澤さんの口から飛び出す。何故だか原選手が僕の後方にいるらしく、先程ここに来る時に車で見かけ、少し話をしてきたそうだ。原選手と言えば川の道のチャンピオンであり、今大会の優勝候補の一人でもある。そんな日本を代表する程の実力者が何故僕の後ろに・・。どうやら脚を故障したようで、新潟で停滞していたようだ。

寝てくれベンチ

寝てくれ小屋

あの先端が出雲崎か ※遠そうだな・・

寝てくれ広場

良寛(1758~1831) ※越後出雲崎に生まれた江戸時代後期の禅僧

道の駅・越後出雲崎 天領の里 ※昨日はまったクリ-ムあんぱんを見つけ、即ゲット

柏崎刈羽原子力発電所 ※世界最大の原発
ネガティブな話をしながら5㌔程並んで走る。この時の僕はまさに地獄の淵を彷徨っているようなギリギリの精神状態で、涙ながらに今の思いを赤裸々に告げた。高澤さんは昨夜の時点で僕の限界を感じていたようで、優しい言葉でリタイアを勧めてくれた。3日目以降ここに至るまで、ほぼ毎日のようにリタイアのことばかり考えていた。しかしまだ時間はたっぷり残っている中で、それを許さない自分も確かに存在した。例外なく選手は皆、今を必死に闘っている。僕の苦労など比でないかもしれない。そんな中、自分一人が我先にと逃げ出すようなことだけは絶対にしたくなかった。何があっても最後まで諦めたくない。他の選手が皆この苦しみから解放されるまでは、僕も一緒に苦しみ抜こうとこの時心に誓った。
道の駅へと走って戻る高澤さんと別れ、長い坂道へと差し掛かると、再び猛烈な睡魔に襲われた。昨年のR8試走でもこの区間は通っているはずだが、あの時は夜だったからか、この辺りを通った記憶が全くない。ようやく長い坂道を上り切り、脇道の舗装路に横たわり、タイマ-をかけ5分仮眠。しかし5分眠ってもすっきりせず、再びタイマ-を起動させ、計10分の仮眠となった。長い坂道を下り切り、市内に入ってしばらく、再び高澤さんが現れた。町に車を停め、ここまで走ってきたらしい。顔を見れて少し復活。いつしか雨が降り出している。しばらく一緒に走り、その後アクアパ-クで別れてからは本日3度目の一人旅。雨風が強く、バイパス高架を走っている際、頭に乗せていたサングラスが吹き飛ばされた。そして16:19、CP11の柳橋町交差点(521.7㌔)に到着。奇しくも昨年走った人生最長の521㌔(R8ステ-ジ)と全く同じ距離にて、僕のスペシャルは終わった。今日はその1㌔先のドラッグストアまで進み、高澤さんの車で宿へと向かう。

猛烈な睡魔と闘っている

柏崎市(14:02)

CP11(柏崎市街・柳橋町交差点、521.7㌔)

今日はここまで(16:32) ※この後高澤さんに宿まで送ってもらう
予約していたホテルは明後日以降全てキャンセルした。スペシャル制限23日半に対し、22日間でのゴ-ルを目指し、それに合せたプランを練っていた。しかし本日をもって僕の挑戦は儚くも終わってしまう。実際この不本意なスト-リ-は、自分でも頭の片隅で予想していたのかもしれない。ただ昨夜の時点ではまだ当然続ける気でいたし、やはり朝方の出雲崎20㌔5時間が僕の心にとどめを刺したのだろうと思う。まだ日数は充分残っているし、後半復活することだって有り得るのかも知れない。しかし1日70㌔以上という距離は僕にはもう無理だと思った。福井で待つマサさん、西舞鶴で待つ西田神様にメッセ-ジを送り、宿を全てキャンセルした旨、スペシャル断念の旨を告げる。自分自身にもこの先の方向性は全く見えていない。取りあえず明日の宿はキャンセルせずに残してあるので、明日一日ゆっくり考えたいと思う。

玉屋旅館(17:31) ※1泊2食付き6000円

是非また泊まりたい
こんなに早い時間に宿に着くことは当然今までなかった。哀れな兵士を労わるように、女将さんが何かと世話を焼いてくれた。先ずゆっくり入浴を済ませ、その後部屋で夕食を頂く。その豪華さは目を見張るものがあり、おひつのご飯に思わず失笑。ご飯のお代わりは予め要望していたが、その応え方が凄過ぎる。大喰らいの僕でもさすがにここまでは食べ切れない。おかずの品数も多く、どれも美味しかった。昔長男とよく通った中央アルプス(伊那)の信濃路のカツ丼もかなりヤバかったが、ここも負けてない。酒を飲みながら、キャンセル作業に忙しい。ここまで溜めこんでいた葛藤、抱えていたプレッシャ-が一気に弾け、若干開き直っている。プランB。僕の新たな闘いがここに始まった。

今夜は飲むぞ(ヤケ酒)

おかずが凄い ※メイン級が3品、しかも美味しい

おひつがヤバイ(茶碗山盛り4~5杯分) ※せいぜい山盛り3杯で限界

ついに抜けたか
玉屋旅館(上越市)泊
ファミマ(おにぎりシ-チキンマヨネ-ズ124円、おにぎり梅120円) 天領の里(おにぎりシ-チキン124円、おにぎり梅125円、天領あんぱん160円) セブン(ポテチ108円) ウェルシア(ザバス151円、富良野生165円、ポテチ95円、地酒菊水辛口418円、バ-リアルリッチ121円、袋2円) 宿(1泊2食付き6000円) 計7713円
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| 本州縦断レ-ス2021 | 22:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑