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本州縦断フットレース2021スペシャル(3)~闇の世界

2021年4月24日(土)   ※大会初日
青森(青森)~大館(秋田)

本日距離:81.2km 《総距離:81.2km》


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ホテルの朝食バイキング  ※アルファホテル青森
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昭和の珈琲『太宰ブレンド』

2021年4月24日(土)。本日ここに『本州縦断・青森~下関1550kmフットレース2021〈SPECIAL〉』が開幕した。『世界最長の1ステ-ジレ-ス』というこの上ない称号を備えた、正真正銘史上最長の大舞台。参加出来る者は自ずと限られ、参加者14名という少なさがその過酷さを物語っている。それ相応の覚悟がないとスタ-ト地点にすら立つことは出来ず、僕に至ってはこの大会で死んでも悔いはないと思っていた。人並外れた体力気力は勿論のこと、様々な難題(悪天、宿手配、ケガ対処、ル-ト判断)に対応する適応力も求められ、ある程度の財力(結構お金がかかる上、自営業の場合はその間収入がない)も必要となる。3週間ないし4週間仕事を休む訳だから、自営でない選手は日程調整からして大変だろうと思う。青森駅前の広場にて9時から開会式が始まった。大会長挨拶の後、ゼッケン1番から順に前に出て抱負を語る。賑やかな踊りで場が盛り上がった後、ついに10時、晴れやかなファンファーレの下、選手一同は一斉に青森駅を発った。
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カニの皆さん
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大会長挨拶
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舘山大会長とスタッフの皆さん
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スタッフを含め記念撮影  ※画像クリックで拡大
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間もなくスタ-ト

僕以外は皆、とにかく凄い選手ばかりだった。見た目からしてそんな気はしていたが、それは直ぐに明確となった。スタ-トして15㌔程は一部を除く大概の選手と併走し、色々な話をしながら楽しく進んだ。56時間寝ずに走れると語った濱田選手。初日から徹夜で180㌔進むのだと言う。その理由に一同衝撃を受けたが、なんと180㌔先に2000円のお得な宿泊施設があるらしい。僅か2000円の為に180㌔。走力が有るが故の大胆な戦略なのだろうが、やはりその力は超越しており、見事3位でゴ-ルしていた。『疲れは想定していない・・』とさりげなく語った倉井選手の一言には本大会一番の衝撃を受けた。『これだけの長距離を走るのに疲れは想定していないとは、す、凄過ぎる!』。結局はそういう人達が集まる舞台だったのかと今更気付いたものの、既に時遅し。倉井選手はさすが見事2位でゴ-ルしていた。
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青森市街で信号待ち

どう見てもランナ-に見えない服装の高品選手も衝撃的だった。スタ-ト前青森駅で最初見た時は、その服装からして間違いなくスタッフの方だろうと思っていた。まるで今からキャンプか山登りにでも行くかのようなラフな格好は、やはり何度見てもランナ-には見えなかった。あまりにも気になったので併走時本人に直接尋ねたところ、普段からそのような格好で走っているらしい。しかし6位で悠々ゴ-ルしたのだから、やはり凄いとしか言いようがない。ランニングに服装は関係ないことがこうして証明され、機能性を備えた有名メ-カ-の高額ランニングウェアは結局はただの気休めだと僕の中で結論付けられた。そして全体的に感じたのが、やはりこのクラスになるとザックや服装など身に付ける物は別にどうでもいいのだろうと思ったこと。おそらくサプリ類も摂っていないようだったし、頼るべきは自分の脚だけ。『川の道に3回しか出ていません・・』と遠慮がちに語っていた松本選手の一言が全てを物語っているように、結局はこの大会は”川の道フットレ-ス”の上の上の舞台。数あるウルトラマラソンの中の最終ステ-ジ、つまり長距離走者が最後に行き着く大舞台なのだろうと思った。そう考えるとやはり、僕だけ明らかに不相応である。
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衝撃的なスタイル(マット+見たことのない靴)の野田選手  ※これで本州縦断したのだからカッコいい
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束の間の集団
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満開の桜
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先ずはR7
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まさかのエイドでりんごジュ-スを頂く

13:08、最初のチェックポイント(CP1)を通過する頃には、選手はかなりばらけていた。チェックポイントと言っても、そこにスタッフがいる訳でもなく、特別何かが設けられている訳でもない。大抵名前の付いた交差点であることが多く、後は県境峠だったりする。一応全てのCPで写真を撮ってはいるが、主催者から写真の提出を求められる訳でもない。別に通らなくても100%バレないが、そんなセコイ考えを持つような人は、そもそもこんな辛いだけの大会に出るはずがない。これだけの辛さは仮に100万、200万円貰っても割に合わない。しかしそれをわざわざ高いお金を出してまで(エントリ-費は安い)自ら行うのだから、傍から変態と言われても仕方ない。昨日飛行機から見下ろしていた岩木山が、今日は同じ目線で姿を見せた。その山容から”津軽富士”とも呼ばれるこの山は、昔走って一周した利尻島の利尻山にもどことなく似ている。幾つもの町を通過し、しばらく行った所で再びスタッフの方が簡易エイドを出して待っていてくれた。僕の後ろには後一人しかいないらしく、この位置が結局最後まで僕の定位置となった。本日最終コンビニとなる碇ヶ関で日が暮れ、夜の部に突入。この先25㌔、大館まで店はない。
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CP1(浪岡・県道13号線分岐点、23.0㌔)
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岩木山(標高1625 m)  ※日本百名山
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黒石市
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激安の大判焼き屋を発見!
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熱々の粒あんがぎっしり詰まって美味しかった
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平川市
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大館まで22㌔(20:00)

20:26、CP2の矢立峠(61.8㌔)を通過。既に辺りは真暗で、闇の坂道をトボトボ歩き、ようやくここまで辿り着いた。明るい時間にここを通過していれば、道路標識に可愛い秋田犬が見えたらしい。しかしこの時そんなことは知る由もなく、秋田犬の存在は後で知った。無事秋田県に入った旨を電話で家族に伝える。色も音もない闇の世界で、家族の声を聞くと心からホッとした。もう2県目に入ったことを子供は『パパ凄い!』と褒めてくれ、その一言が無性に嬉しかった。峠以降一気に走って下るつもりでいたが、何故だか急に走れなくなった。この調子では何時に宿に着くか分からない。初日から泣きそうになってきたが、さすがにここで諦める訳にはいかない。しばらく我慢の時間帯が続いたが、ラスト4㌔で復活。そこからは走れ、道に迷いながらも何とか大館市内へと入る。久々に見かけたコンビニと信号機くらいしか色の付いたものはない。
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CP2(矢立峠、61.8㌔)  ※看板に秋田犬が映っていたらしい
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東北の夜は寒かったが、これは想定済

既に日付は変わり、完全にロックダウンした大館市街。夕食すら買う気にはなれず、コンビニでザバスだけ買う。0:14、無事CP3(大館市役所前交差点)をクリア。今夜の宿はその直ぐ近くにあった。誰もいない無人のホテルにセルフチェックイン。門限の23時を過ぎることは矢立峠からの電話で予め告げていた。受け付けカウンタ-に部屋の鍵を置いてもらっていたが、その下には心温まるメモ書きが添えられていた。遠いところ、大変お疲れ様でした・・。その心遣いがとても嬉しく、疲れ果てた心と体の奥底へとその思いが染み込んでいった。昨夜青森のホテルが寒くて散々だっただけに、今回は事前に煖房と毛布を頼んでいた。部屋に入ると煖房が程良く効き、結局毛布は使わずに済んだ。湯舟に浸かりながら夕食代わりのザバスをチビチビ飲み、その後水でアイシング。荷物を広げることもなく、倒れ込むようにベットに横たわると一瞬で眠りに落ちた。
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CP3(大館市役所前交差点、81.2㌔)
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ビジネスホテル秀山荘(0:15)


ビジネスホテル秀山荘(大館市)泊


セブン(モンスタ-206円) 大判焼き(粒あん67円、クリ-ム67円) デイリ-(おにぎりシ-チキン124円、おにぎり梅125円) ロ-ソン(モンスタ-205円、おにぎり昆布120円、おにぎり焼鮭150円) セブン(ザバス167円) 宿(朝食付き5005円)  計6236円

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| 本州縦断レ-ス2021 | 22:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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