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赤牛(2)~赤牛岳とレッドブル

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赤牛でレッドブル  ※これがやりたかった


・・前回の続き


賑わい始めた水晶を発ち、本日の折り返し地点、赤牛へと向かう。水晶からの標準コ-スタイムで2時間40分もかかるが、途中大したピ-クも無さそうだし、走って行けば直ぐ着くだろうと甘く見積もっていた。滅多に来ることはない北ア最深部の稜線。とにかくここからの眺めが大変素晴らしく、正面には赤牛や剱、左手には薬師や黒部五郎、振り返れば鷲羽や槍穂高、そして笠や乗鞍までもが確認出来る。右手には野口五郎など裏銀座の峰々。ここまで眺望の良い稜線は他にあったかなと思えるくらい、数多くの名峰が見えていた。温泉沢ノ頭を通過する。計画当初、赤牛往復だけでは若干物足りないので、高天原も日帰りの行程に含めようかとも思っていた。高天原を目指す登山者も何人かいたが、いずれも三俣起点のようだ。”日本最後の秘境”と呼ばれる『雲ノ平』、そこから更に奥にある『高天原』は、秘境中の大秘境。何日も歩かないと辿り着けない、熟練した登山者が最後に求める桃源郷なのかも知れない。
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この先進む稜線
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槍穂高、笠、鷲羽など
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黒部五郎岳
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赤牛岳と剱岳(奥)
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赤牛は見た目以上に遠かった
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温泉沢ノ頭
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薬師岳(左)と赤牛岳(右)は一見似ている  ※場所によっては見間違えた箇所があった
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軽快に下る

稜線を辿っていると、草むらから何かが勢いよく飛び出した。一瞬何かの動物だと思っていたが、バタバタと宙を数m移動したその光景を見て、その正体は直ぐに分かった。雷鳥が気持ち良さそうに空を飛ぶ姿こそ見たことはないが、このように羽をバタつかせ数m移動する姿は何度か見たことがある。是非とも今日は雷鳥に会いたいと思っていただけに、この遭遇はとても嬉しかった。雷鳥を見て真っ先に思い出すのは、第5子ナナ(当時小2)と11月下旬に歩いた笠の稜線でのこと。他に登山者などいるはずのない静まり返った初冬の高峰で、白雷鳥が僕らの道先案内人をしてくれた。僕はこれを雷鳥ウォ-クと名付けた。雷鳥は僕らのことを特に警戒するでもなく、滅多に人間が訪れないこの時期だからこそ、彼らの棲みかに僕らを迎え入れてくれたのだろう。
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雷鳥

いざ赤牛へ

ふいに僕は右腕を負傷した。先程からハイマツが煩くて、カ-フタイツに穴を開けてしまった矢先だった。血がタラタラと垂れ落ちている。これはヤバい!とザックを広げ、絆創膏で血を止める。そして絆創膏を考えた人に心から感謝した。無事応急処置が終わり、ザックの背面ポケットに差し込んでいたキュウリの存在を思い出す。そしてキュウリを手にした次の瞬間、何故か僕は笑われていた。しかし何がおかしいのか、僕にはさっぱり分からない。これまで23年の登山歴の中で僕は大概キュウリを持って山に登っているが、そのことを突っ込まれたこともこの時が初めてだった。彼女曰く、『みんな(トレイルランナ-のこと)、少しでも荷物を軽くする為に苦労しているのに、キュウリなんてカロリ-もないしパワ-も出ん。重くて嵩張るだけだし、もうやめた方がいいよ!』 。まさか登山歴2年の小娘に小馬鹿にされるとは夢にも思っていなかったが、そもそも僕はトレイルランナ-ではない。今日は3本持ってきたことを正直に告げると更に笑われたが、僕はこれからも我が道をゆく。
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キュウリの何が悪い
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牛の正体が中々掴めない  ※杖が折れてかなり使い難い
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雷鳥

そして10時ぴったしに赤牛岳に到着した。意識はしていなかったが、正に計画通りの時刻だった。新穂高からここまで9時間。水晶から2時間弱もかかっており、ケガの手当てやル-トミスなども相まって、この区間には多少てこづった。ここに来るのは10年ぶり2回目となる。当時小5の岳登(第2子)と黒部源流の峰々を2泊3日のテント行で巡った。三俣のテント場は僕が好きな場所の一つであり、ここで息子と対した三俣の戦い(将棋)は永遠に僕の記憶から消え去ることはないだろう。そしてお決まりのレッドブル。お決まりかどうかは実のとこ知らないが、赤牛の山頂でレッドブル(赤牛)を飲むという発想くらい誰でも思いつきそうだ。ここでも相方曰く、レッドブルはキュウリと違ってパワ-が出るのでお勧めらしい。本気で日本一を目指している、新進気鋭のトレイルランナ-。かたや、”山行も結局は旅の延長・・”と捉えている、ただの旅人。山に求めるものは多少違えど、より遠くへ・・という思惑だけは一致する。
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赤牛岳(標高2864m)
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レッドブルで乾杯!

赤牛岳で少し休憩し、いよいよ帰路に発つ。この長い道をまた戻るのかと思うと精神的に堪えるが、進む方角が変わるだけで当然景色も変わり、同じ道を歩いているという感覚はなかった。稜線上には、幻の高級食材として知る人ぞ知る岩茸が随所で見られた。これが食べれる高級食材だと知っている人は、登山者の中でもまずいないだろう。採り出したら確実に何時間でもかかってしまいそうなので、今日は相方波の経験程度に抑えておく。三俣から水晶まではそれなりに登山者もいたが、水晶から赤牛の稜線では1人か2人と擦れ違っただけだった。薬師岳から目を下に逸らすと、高天原が目に入る。そしてその中央部に赤屋根の山荘も確認出来た。日帰り山行だと忙し過ぎるので、いつかテントを担いで子供とのんびり訪れてみたいと思った。  
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岩茸
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稜線
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赤牛を振り返る
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薬師岳と高天原山荘(中央の赤屋根)  ※画像クリックで拡大
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雲ノ平と雲ノ平山荘(右端)  ※画像クリックで拡大
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再び水晶岳


つづく・・

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