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中尾から奥穂を越え上高地へ(3)~焼岳を経て飛騨へ


・・前回の続き


初めて訪れたこの界隈、池の背後に聳える焼岳のシ-ンを楽しみにしていたが、コ-ス上には池すら現れなかった。これから始まる第2ステ-ジに備え、しばし栄養を補給する。外国人(白人)のアベックが、軽く微笑み登山道へと進んでいった。手ぶらで服装も極めて軽装、とても登山をする井出達ではなかった。僕もそろそろ腰を上げ、再スタ-トを切る。小走りでペ-スを上げて進んでいたが、先行する彼らに追い着いたのは意外と先だった。まずは彼女の方が現れた。見るからに軽装で、とても登頂を目指しているとは思えない。彼の方にはそこからしばらくして追い着いたが、彼は本気で登頂を狙っているのだろうか。それにしても彼女との差はかなり開いている。さすがに彼一人でこのまま進み続けることはないだろう。彼女はきっと不安に思っているだろうし、彼もどこかで諦め戻ってくれればいいのだが。
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焼岳上高地側登山口
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霞沢岳

出だし勢いづいていたペ-スは、次第に乱れ始めてくる。時間的に下りてくる登山者がほとんどで、これから登ろうとする者はほとんどいない。ここ数年は中の湯ル-トばかり使っていたので、初めて使うこの上高地ル-トは距離的に長く感じた。ハシゴの架かった箇所が随所で現れるが、難所という程ではない。相対する霞沢岳の見え方も、標高の上昇とともに変わってきた。やがて焼岳の姿を確認。通常であれば一気に山頂まで行きたいところだが、疲れ気味の僕には果てしなく遠く思えた。垂直に架かる長い連結ハシゴは、このル-トの代名詞。ふと雰囲気が変わり、草むらを乗り越えた先が焼岳小屋だった。休憩する登山者が多かったが、僕は直ぐに先へと向かう。焼岳は先日微々たる噴気を起こし、新聞で細々と伝えられていた。焼岳は後数年で二度と登れなくなるかもな・・。内心そう思っていたが、心配はなさそうだ。
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水平ハシゴ  ※ハシゴがないと対岩へは渡れない
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ようやく焼岳が見えた
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垂直ハシゴ
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焼岳小屋
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注意  ※実際、焼岳は御嶽以上に危ない

小屋を過ぎると中尾、焼岳山頂、西穂方面への分岐がある。ここは当然山頂方面へと進むと、少しの登りで見晴らし台に出た。ここは結構なパノラマ展望台で、奥穂や上高地、焼岳、更には中尾の集落まで今日の全てが一望出来た。焼岳は直ぐ目の前に聳えているが、山頂までの行程が辛そうなことは見れば分かる。この時点で僕の脚にはほぼ限界が来ていた。時間が押していることを言い訳にして、山頂を諦め、このまま中尾へ下ろうかと半ば本気で考えていた。しかしそれでは折角ここまで頑張ってきたことが、全て台無しになってしまう。中尾峠まで下りると、脚は迷わず山頂方面へと向いていた。しかしその先でやはり疲れがピ-クに達し、草むらに座り込んでは足を延ばす。やはり戻るべきかな・・、まだそんなことを考えている。しかし山頂を目指す子供の姿が見えた。下山してくる子供の姿にも刺激をもらい、何とか思い留まる。
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中尾遠望
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山頂を捉えるも、既に脚は限界

子供と何度も通った、中尾ル-ト。我が子の初登山は焼岳であることが多い。昔よくこの噴気孔で硫黄卵を作っていた。網に卵とソ-セ-ジを入れ、木の枝に引っかけて、噴気孔に置く。山頂を経て下山する頃には、丁度良いゆで卵が出来ていた。卵は殻があるから問題ないだろうが、僕らは硫黄を浴びたソ-セ-ジですら、そのまま美味しく食べていた。そんな懐かしい思い出に浸りつつも、一向に脚は軽くなっていない。少し歩いては、直ぐに岩場に座り込む。その繰り返しで、山頂との距離は中々縮まらない。外国人の若者が5、6人下りてきた。上高地からの日帰りだろうか。本日ずっと良かった眺望はこれで見納めのようで、岐阜県側は次第に雲に覆われてきた。中尾と奥穂、そして上高地を一つの目で同時に望み、結構歩いたものだなと感心する。しかしよく考えれば、これは全然たいしたことはないことの裏返しだった。例え遠くに見えたとしても、所詮は目に見える範囲。結局は近いということだ。
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昔この噴気孔でよく硫黄卵を作った
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奥穂高岳(最奥)と上高地(右下)  ※ここを周回したと思うと感慨深い

かなり疲れていたが、何とか無事焼岳の山頂に辿り着いた。多少の寒さも伴ってきたが、まだノ-スリ-ブでいけそうだ。残念ながら眺望は無くなってしまったが、もう眺望なんてどうでもいい。山頂はほぼ外国人が占めていた。少し休み、直ぐに下山にかかる。ここまで登り上げるのにかなり苦しめられたが、下りに対しての悲壮感は不思議とない。先程見晴らし台でのこと。見晴らし台への登りは苦しかったのに、見晴らし台から中尾峠への下りは異様に足が軽かったことが微かな望みでもある。
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焼岳北峰(標高2444m)
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火口湖と噴火口
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山頂は外人ばかり

まずは中尾峠を目指す。後ろから外国人の単独行(トレラン)に颯爽と抜かれた。普段抜かれることはまずないが、おそらくピストンであるその男性は気分良さそうに下っていった。そして中尾峠から、いよいよ飛騨側へと下る。下りの脚はまだ充分に残っており、休むことなく、一気に進んでいけた。何人か抜き去り、ペ-スも取り戻しつつある。秀綱神社やヒカリゴケ、鍋助横手など順調に要所を通過し、腕時計の標高を気にしながら、登山道終点の標高を探る。登山道終点からはしばらく林道があるし、その先には中尾集落の車道も待っている。そう考えると、後何m下ればいいのか自ずと予想が付いた。
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下山開始  ※左手に中尾の集落が見える
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中尾峠  ※ここが飛騨から信州(上高地)への最短路
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秀綱神社

そして無事、登山道終点(登山口)へと下りてきた。ここは広場になっており、林道終点でもある。ショ-トカットする登山道の近道も用意されているが、僕は迷わず、走れる林道の方へと進んだ。砂利道は多少脚にくるが、右俣左俣よりは余程マシだ。意外と長く感じたが、ようやく林道ゲ-トに到着。その先にある堰堤前の空き地、以前はよくここに停めていた。登山ポストも直ぐ下の空き地にあったはずだが、ポストは無くなり、この辺りの空き地には全てバリケ-ドがされていた。それではどこから登ればいいんだ・・と思いながら走っていたが、かなり下の方に登山者駐車場が新たに設けられていた。登山ポストもここに移設。今後この中尾ル-トを使うとなると、昔と比べ実質数十分行程が延びたことになる。下山届を出し、中尾集落を駆け下りる。舗装された車道は大変走り易く、気持ち良く走ることが出来た。そして最後の大きなカ-ブを曲がり、次の長い直線の先に緑の暖簾が見えてきた。その裏には『新穂高温泉 中尾 ゆ』。終わってみれば、結構楽しい山行だった。だけど焼岳の登り返しの辛さは全くの予想外。結局は自分の力の無さだけが示され、来週の笠槍はやめようと思った。
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昔はここに駐車していたが
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今ではこんな下に登山者駐車場が設けられていた  ※トイレくらい置いてほしい
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ゴ~ル!
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新穂高温泉 中尾  ※これまで『中尾温泉』だと思っていたが、結局は『新穂高温泉』だったのか

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