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静粛たる秩父岩(1)~絶景、槍穂高連峰

先日の燕の余韻が僕の心に深く残り、どうしても今年もう一度稜線に上がりたいと思っていた。今年は本当に冬が遅く、運が良ければまだ稜線に上がれそうだ。・・ということで、ナナを初めてのテント行に連れ出した。行く先は飛騨の名峰、笠ヶ岳。飛騨山脈(北ア)の名峰は、そのほとんどが稜線を境に長野県とその雄姿を分け合っている。しかしこの笠ヶ岳に至っては、完全に飛騨(岐阜県高山市)の中に納まっている。少々きついがここは娘に頑張ってもらい、急登で有名な笠新道を登り切ってもらうとするか。本当は鏡平、弓折岳回りの方が眺望が勝り俄然お勧めなのだが、秩父沢が渡れるか心配だったので敢え無くこの案はボツ。山の季節は既に冬。一晩で状況が一変する危険性を、この時期の山は秘めている。登山届を自宅と入山口に出し、誰もいない(結局いた)静寂の山域へと足を踏み入れた。静まり返ったこの時期の山が、僕は一番好きなんだ。
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あれ、話が違うぞ


新穂高の登山口は、自宅から車で1時間。まるで近所を散策するかのようなこの手軽さは、飛騨人の特権だ。朝3時半自宅を出て、新穂高を5時過ぎに歩き始めた。僕自身も久々のテント行、4年前に岳登(当時小6)と南嶺を歩いた時以来となる。ナナは初めての1泊行で、初めて担ぐ重荷に出だしから相当苦しんでいた。小2には明らかに重いだろうと僕も分かっており、重みのある食料や水類は全て僕のザックに詰め込んでいる。しかしそれでもまだ充分重いらしく、最初の林道歩き1時間(上り勾配)で早くも泣きが入った。そうかナナは上半身が弱いのか・・。この先の事を色々と考えながら歩き、笠新道入口に着いた。水はチョロチョロ出ているが、以前涸れていたような記憶もあり、笠新道に入る場合ここは当てにしない方がいい。
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左俣林道ゲ-ト
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笠新道入口(水場あり)  ※泣きが入り直登断念、一先ず鏡平を目指すことに

笠新道はまず無理だろう・・。出だしの登りを見て、諦めは直ぐについた。それなら、①奥丸山を経て槍平でテント泊、そして次の日右俣で帰る。②秩父沢が渡れるか確信はないが鏡平でテント泊、軽身で弓折岳を往復するのもいい。③鏡平の時点で余力があれば何とか秩父平まで行き笠ヶ岳を目指す、当初理想の案だ。1年の営業を終え閑散としたわさび平小屋を通過。まだどうするか決めかねていたが、小池新道と奥丸山への分岐で僕はそのまま直進した。ここからは、小池新道。ここに来てナナはようやく重荷に慣れてきたようで、見るからに快調そのもの。さすがはナナ、恐るべし小学生。1時間半が呆気ないほど順調に過ぎ、秩父沢に到着。上部小屋の営業終了とともに橋は外されているが、飛び石でも充分に越えられそうだ。子供のナナでも足を濡らさず、無事渡渉クリア。安堵したとこで、腰を下ろしての休憩タイム。ここで単独行の男性が続けて3名。皆、三俣まで向かうそうだ。
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わさび平小屋(クロ-ズ)  ※水場は撤去されてないが、谷水は豊富
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青空に期待
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稜線も近い
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秩父沢の橋は撤去されたが、飛び石でクリア      ココは、チボ岩 
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槍ヶ岳                              穂高連峰

ここからは高度計との睨めっこが続いた。あと200m(↑)の辛抱だ・・。あと100mで休憩だぞ・・。あと50m、もう少しで小屋だ・・。鏡平は確か2300mくらいだったかなと、まずはその標高を念頭に娘を励ます。時間や距離感のない子供には、親のこうした助言が少なからず心の支えになってくる。目の前には稜線が広がり、娘の指標となっている。若干ガスが出てきたが、流れは速く、眺望は目まぐるしく変わっていた。名の付いたポイントを幾つか越え、シシウドガ原のベンチで少し休憩。ナナのここまでの頑張りを見る限り、僕の中では既に秩父平行きで固まっている。稜線が目の前に迫ってきた。最後の登りにも耐え、ついに鏡平に到着した。
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イタドリガ原                           泣いているのかい
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シシウドガ原                          熊の踊り場
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さぁ、頑張れ

鏡池からの眺望は飛騨随一と言っても過言ではない。しかし8月に来た時は今一だっただけに、今日の眺望はどうかなと不安もあった。しかし池の向こうに広がる絶景を見て、思わず絶叫した。久々に見た気がするぞ、こんな槍穂高。先程シシウドガ原で話した清見のご夫妻も、この景色に感激のようだ。互いに贅沢な情景を分かち合い、至福の時が流れていく。ただし、池に逆さ槍穂が映っていないのが残念だった。営業を終えた、鏡平山荘。二つ目の池に架かる橋は、上部が取り除かれていた。一瞬ドキッと焦ったが、よく見ると母体はそのまま残されている。その基礎部分を選んで歩き、何とか対岸へ渡り切った。
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鏡池  ※飛騨随一の絶景地、学校登山は絶対ここにすべき(持論)
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槍ヶ岳(左)、大喰岳、中岳(右)
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鏡平山荘(クロ-ズ)  ※橋の上部は外されているが、基礎部分が歩ける

よし、あと1時間で稜線だ。8月にトレランで来た時は軽く走って通過したが、今日の重荷はやけに堪える。一歩一歩ゆっくり前に進み、時折登山道脇の岩に荷物を載せ、肩を休め一呼吸。振り返れば、槍ヶ岳。なんて様になるんだ、コノヤロ-。今日ここまで見てきた景色は、全て高山市(旧上宝村)。山に登らない飛騨人は絶対に損をしている。山荘からやけに遠く感じたが、何とか稜線に登り出た。ナナも重荷を担ぎ、根性で稜線到着。お前、たいしたもんだな。凄いぞナナ!
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飽きない景色は全部、高山市  ※稜線の反対側は長野県
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最後の登りに耐える娘  ※荷物10㌔超
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親父(僕)も頑張る  ※荷物30㌔超
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あっぱれ、槍ヶ岳
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稜線到着  ※ナナもあっぱれ!


新穂高 5:08
笠新道入口 6:18、6:43
わさび平小屋 7:00
秩父沢 8:24、8:54
シシウドガ原 10:29、10:45
鏡平 11:41、11:57
弓折乗越 13:04、13:26
弓折岳 13:35
大ノマ乗越 14:13
大ノマ岳 15:22、15:35
秩父平 16:30


平成27年11月21日 天候晴れ ナナ(小2)、僕


つづく・・


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