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与茂助とがんごろう

むかし、むかし・・
こう始まる言い伝えが、僕の血筋にも残っている。
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今年の初胡瓜

むかし、むかし、川の渕にがんごろうが住んでいたそうな。『河童』のことをこの地方では『ガオロ』とか『がんごろう』と呼んでいた。このがんごろうは夜になると与茂助の川原畑の胡瓜をとりに来た。それも毎晩のことであり、不思議に思った爺さんは、ある夜こっそり畑に隠れて見ることにした。すると、がんごろうが川から上がって来ては、勝手に胡瓜を取り食べているではないか。爺さんは必死に胡瓜を食べているがんごろうの後からそ~っと忍び寄り、難なくがんごろうを捕まえた。がんごろうは、許してくれるよう泣いて爺さんに頼みこんだとさ。

爺さんはがんごろうに向い、こう言った。『お前は人の物を盗ったり、子供を川へ引き込んだり悪い事ばかりする。今後このような事を絶対にしないのなら助けてやろう』。すると、がんごろうは言った。『これからは子供や馬にもいたずらはしません、物も絶対に盗りません。ただ私は胡瓜が大好物なので、いつ悪心が起こるかもしれません。これから毎年初なりの胡瓜を一本でよいから川に流してくれませんか。そしたら必ず約束を守ります』。がんごろうはそう言い、川に帰って行った。

爺さんは約束通り毎年初物の胡瓜一本を川に流し、それからでないと家で食べなかった。それからは子供の事故もなく平穏に過ぎ、いつの頃からか川に流した胡瓜をがんごろうが取りに来なくなっていた。爺さんは、きっとがんごろうは死んでしまったのだと思い、川から石を拾って来て川原畑の隅に墓を建て、胡瓜を供え松の木を一本植えた。

母や祖母から何度かこの言い伝えは聞いていた。僕も胡瓜を作った時は必ず初物は川に流している。それは毎年ご先祖様の墓参りの後に、必ず立ち寄る場所が僕ら子孫にはあるからだ。与茂助爺さんの血を引く者として、大切にこの昔話を我が子に伝え、一本の大木の下に佇むただの石ころを、子孫の大切な守り神としていつまでも崇めていきたいと思っている。
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河童さん、食べてね!

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