しかし恐るべしは、ドイ。
昨夜食べたドイはお腹の中をぐるぐる循環し、信じられない程大量の排泄物を送り出してきた。
体重が数キロ減ったと思えるくらい、かなりの凄まじい量。
それも一度や二度では治まらず、岳登はバスの発車間際、何とか全てを出し切る事が出来た。
移動日前日のドイ、これだけは絶対に避けなければならない。
チャル・マタから乗った近郊バスは、1時間半でジョエプルハットに到着。
降り過ごしを心配していたがここで乗客は一斉に下車、更にはバスもエンジンを停止した。
何だ、ここが終点か。
話しかけてきた親切な男性は別れ際、リキシャに行き先を細かく指示してくれた。
分かり易い町並みは、一本の大通りを中心に形成されている。
その大通りであるタナ通りを、僕等はリキシャに乗り西へと進んだ。
警察車両を先導に賑やかな集団が、道路を占領しこちらへと近付いてきた。
リキシャは端に寄り、身動きが取れないでいる。
元日のパレ-ドかと思って見ていたが、どうもこの国で度々目にするデモのようであった。
何人乗る気だい
激しいデモ道路と交差する線路を越えた先が町の中心部となる。
ホテル正面でリキシャを降り、分かりづらいホテルのフロントをようやく見つけ交渉に入る。
フロントの男性は嫌な顔一つ見せず、外国人の僕等を温かく迎えてくれた。
この国での宿の交渉、最初の一言にはかなりの緊張が付きまとう。
このホテル、値段は安いがTVもありそこそこ快適に過せそうだ。
階段にはバングラの情景を描いた絵画が随所にかけられ、センスの良さも感じられる。
運悪く僕等の部屋だけ裸電球一つで薄暗いのが気になるが、これくらい我慢するさ。
薄暗い部屋
ホテル・ショウロヴ・インタ-ナショナル線路の上を歩き、鉄道駅を目指す。
線路上やその脇には果物や中古の服が並べられ、マ-ケットとして賑わいを見せている。
列車は運行している筈だが、きっと本数が少ないのだろう。
エッグカレ-にはライスが合う
これでも現役の線路”鉄道駅の切符売場”という名の戦場に立ち、ディナジプ-ル行き列車の予約を試みる。
長い行列に並び、ようやく自分の出番。
両脇から入り込んでくる図々しい男達を払いのけ、大声で日時と行き先を告げる。
『夕方発の一便しかないゾ!』、返答は予想外だった。
これでは話にならない、またもや計画が狂ってきたゾ。
果たしてディナジプ-ルには行く事が出来るのだろうか、目的地から削れば楽なのに・・。
バスは恐ろしいので極力避けたいが、結局は今回もバスに頼るしかなさそうである。
線路脇のコンクリ-トの上に座り、ピ-ナッツをかじりしばし休むとする。
直ぐに僕等の前に人が集まってきた。
彼等は何も発せず、一定間隔の距離を置き、じっと僕等の一挙手一挙手を見つめている。
”おいおい、俺達は見世モンじゃないぞ!”
直ぐに人が集まってくる片言の英語を話す男性が長い沈黙を破り、『ユアカントリ-?』と僕等に尋ねてきた。
『ジャパニ!』、僕はいつもと同じお決まりの回答を返す。
尋ねた男性は周囲の人々にその内容を伝え、伝え聞いた人達は皆納得したように相槌を打つ。
”あの親子日本人だってさ、やっぱ俺もそう思ったんだよな・・”
めでたく一つの謎は解けたようだが、再び僕等親子をじっと見つめてきた。
まだ何か知りたい事があるようだ。
バングラの旅、イコ-ルこの繰り返しとなる。
一旦ホテルに戻り、少し昼寝をする。
そして夕刻、再び町へと繰り出した。
さとうきびジュ-ス(10Tk)
これは有名な遺跡、ではなく建物の基礎のようだモスクでは決起集会が行なわれ、指導者による熱い演説が会場を更に盛り上げている。
岳登はボグラでドイを食して以来、腹の調子が宜しくないようだ。
その為、果物ばかり食べたがっている。
せめてものこの町での思い出作りにと、町の小さな映画館に入ってみた。
館内は剥き出しの地面の上に、椅子が並べられただけの非常に質素な造り。
上映されていたバングラ映画は、インド映画にも似たものだった。
美男美女を主人公とした恋愛、アクションム-ビ-で、時折主役二人の歌と踊りが入り混じる。
確かにインド映画程の華やかさはなく、目を疑うような美女でもない。
脇役のルンギ姿のお手伝いやリキシャマンは役者とは到底思えないが、
ベンガル語やCNGの登場によりバングラ食はにわかに読み取った。
もう充分だ。
上映の繋ぎ目に外に出た。
すると係員の男に奥に呼び込まれ、更に一言こう言われた。
『エニ、プロブレム?』
つまらなかったんだ・・。
怖くてそんな本音を言える筈もなく、子供が眠たい事を建前上の理由とした。
確かにそうだったな。
お隣インドでも映画は最大の娯楽であり、途中で退席する人は爆弾を仕掛けたテロリストと疑われても仕方がない。
この国でもその理屈が援用される事を今身をもって知った。
何とか僕の疑いも晴れ、少し引きつった笑みを浮かべ逃げるように映画館を後にした。
小さな町の映画館ジョエプルハット・ショウロヴインタ-ナショナル泊-300Tk朝食(ベジ、ルティ50Tk) ティ-(5Tk×2) リキシャ(20Tk) バス(ボグラ~ジョエプルハット120Tk) リキシャ(15Tk) ホテル(300Tk×2泊分) 昼食(エッグカレ-、ライス50Tk) ピ-ナッツ(12Tk) さとうきびジュ-ス(10Tk) 夕食(ベジ、ルティ20Tk) ミシュティ(7Tk×2) リンゴ(15Tk×2) バナナ(中4本6Tk) 屋台(パンケ-キ5Tk) 映画館(30Tk×2) バナナ(中10本15Tk) 計1037Tk ブログランキングに参加中。『子連れ旅行』バナ-のクリックをお願いします。→
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