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冬を待つ穂高~前編

【山域】奥穂高岳(3190m)、涸沢岳(3110m)
【日時】平成23年11月12日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕


新穂高登山者駐車場(3:05)  今年は冬が遅くて大変有り難い。例年ならこの時期麓では一度ドカ雪が降り、飛騨山脈の高峰は既に冬山へと入っている。今日は快晴予報と言えど、稜線歩きが大半を占める赤沢山に向かう訳にはいかない。手軽な地元飛騨の主峰奥穂高岳、雪が無ければジャンダルムまで足を延ばすべく県界尾根を目指した。前夜栃尾入り、翌朝2時起床。荒神の湯の朝風呂で体を温め、新穂高の無料駐車場へ移動。さすが11月。まだ小屋が開いている燕山荘の中房とは違い、こちらは駐車が2台のみ。シ-ズン中は常に100台は下らない広い駐車場が、寂しいくらいガラガラ。念の為登山届を提出、暗闇の右俣林道へと足を踏み入れる。
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新穂高登山指導センタ-

穂高平(3:58、4:08)  単調な林道歩き、山道をカットする近道を経て穂高平着。有人の穂高平小屋は、冬期に入り無人避難小屋として開放されていた。玄関でしばし休憩、ミカンが美味い。この先もう一区間、林道歩きが続く。月には笠がかかっており星はない、少し心配だ。
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穂高平の岳とガク

白出分岐(4:48、4:55)  前日の雨で地面は濡れている。仕方なしに白出の便所小屋通路に荷を下ろし、一息つく。ここからが本格的な登山道、9月に穂乃花と歩いているだけに随所の記憶が残っている。笠見台を右に折れ、涸れた沢を横断。月はいつしか笠を追い払い、星も輝きを取り戻してくれた。
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暗闇

重太郎橋跡(5:47、6:03)  沢の水量は豊富。今日は水3.5ℓを担いでいるが、ここまでタンクが空でもよかったようだ。切道の梯子は見えるが、重太郎橋の姿がない。きっと冬に備え取り外されたのだろう。ここで朝食を取り、ヘッドライト撤収。まずまず予定通りだ。岳登にヘルメットを被らせ、白出岩切道へと梯子を上る。梯子の踏み場は材木で塞がれ、登るのはかなり困難だった。濡れた狭い崖道を慎重に通過。2つ目の沢、水のない荷継沢を横断。草付きを回り込み、最後の長い登りを迎える。それにしても岩は濡れて凍り、非常に歩き難い。重荷の穂乃花と来た時は自ずとペ-スも落ちていたが、今日は軽身の日帰りスタイル。一気に稜線まで駆け上がりたいところだ。
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重太郎橋はないが、飛び石で充分
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白出岩切道へ上がる梯子  ※重太郎橋はこんな所に避難していた
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荷継沢の標柱も冬に備え、安全な場所に避難
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雲流れ、笠現る
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長く辛い登り

万年雪(7:27、7:37)  万年雪の残雪脇で休憩。対面の笠ヶ岳は雲から姿を現し、眩しく光輝いている。この残雪上部でも水は出ていたが、付近の岩場はガチガチに凍り付き近寄るのも一苦労。この先残雪上部の砂地の踏み跡を辿ったが、先行する岳登が行き詰まる。随分時間をかけ戻って来た岳登曰く、かなりやばかった・・。ル-トを取り戻し、延々と続く岩場を這うように登って行く。ここまで来ると稜線は視界に入り、山荘の石積も明確に見えている。頑張れ岳登!登りの遅い岳登がみるみる小さくなっていく。先行する僕との距離は、次第に離れる一方だ。  
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万年雪  ※穂高岳山荘の稜線が見えている
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笠ヶ岳
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残雪上の誤ル-ト、万事休す
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一気に駆け上がれ

穂高岳山荘(8:46、9:00)  今日は誰もいない。穂高は僕等の貸切のようだ。山荘まで標高を上げ、初めて雪景色となる。雪はガチガチに凍り付き、山荘前の広場はスケ-ト場のようになっていた。山荘から望む素晴らしい景色に思わず息を呑む。さすが3000mの稜線は寒い。ザックからダウンを取り出し、今尚奮闘中の岳登を待つ。先に山荘まで登り切っていた僕より15分遅れ、ようやく岳登も到着。休憩時間はもう終わったぞ、悪いがこのまま歩いてくれ!
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冬を待つ穂高岳山荘

2ヶ月前に来た時、奥穂山頂への登り口の大渋滞にかなり驚いた。故に起きた落石、滑落事故も一部始終を目の当たりにした。しかし今日は誰もいない。藪漕ぎ混じりの飛騨の低山ならまだ分かるが、ここは人気の穂高である。凍った雪や岩に注意を払い、梯子や鎖場を慎重に通過。眺望最高、気分上々。無事鎖場を抜け、後は山頂まで単調な岩稜歩き。しかしここに最後の難関が待っていた。山頂目前、ガチガチに凍り付いた僅か10m足らずの雪面が越えられない。一旦安全地帯まで引き返し、堪らず軽アイゼン装着。先週無用の長物に終わっていただけに、今回は1組だけ持参した。岳登と片足づつ靴底に付け、何とか無事雪面を乗り越える。あ~、恐ろしや。一瞬でも滑ったら、滑落、重大事故と負の連鎖は免れない。かなり際どい場面だった。軽アイゼンを1組置いてきた事に悔いが残るが、もし1組ですらなかったら山頂は諦めていただろう。
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雪や岩が凍り付き、終始気が抜けない
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笠ヶ岳、黒部五郎、薬師岳へと広がる大パノラマ
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涸沢、北穂高、槍ヶ岳へと険しい稜線が続く
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奥穂山頂へ  ※稜線右は岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂
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氷柱
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先週折り返した大天井岳、断念した赤沢山(雲の左)
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束の間の息抜き
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最大の難所は山頂直下  ※雪は凍り付き、足を滑らせたら最後

奥穂高岳(9:49)  11月の穂高は、やはり僕等の力量を超えていた。しかし山頂から眺める360度の絶景は、何ものにも変えられないものだった。稜線の先に連なる奥穂高の前衛ジャンダルム。脇役にしておくのはあまりに勿体ない程、ズバ抜けた存在感を放し、王様穂高を見守っていた。ジャンダルムは文句なしに日本一かっこいい。ここから眺めるジャンの風貌は、我が国一の絶景である事は間違いない。
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奥穂高岳
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偉大なる前衛


つづく・・



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