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濃霧に包まれた表銀座:後編~百高山達成なるか・・

  

・・前回の続き


大天井岳分岐(7:20、7:31)  ここまでのペ-スだと、下山は夜の8時近くになってしまう。逃げ場のないこの寒い稜線上、目的の2山を登って再びここに戻って来るのが8時間後。それに燕山荘までの2時間を加え、計10時間もこの稜線を歩かなければならないのか。それは余りにも無謀だ。何よりもそれを成し遂げる自信がない。気力は既に失っている。岳登には悪いが、これ以上先に進むのは無理だ。今日の稜線は長居は禁物。折角ここまで来たんだからと、目の前に聳える大天井岳へと狙いを定める。しかし大天井岳に目標を変えたはいいが、容赦なく吹き付ける冬の悪魔が僕等親子に襲い掛かってくる。大天井も止めとけば良かったのか。
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大天井岳分岐

大天井岳(8:03、8:27)  何とか大天井岳到着。歯を食い縛り記念撮影。目的地は変わったが、一応達成感はある。何より、小学生の岳登と登る最後の山となるかもしれない。雪は、大天井の山頂まで来て僅かに残る程度だった。朝食のおにぎりを食べ直し、帰路に発つ。こんな状況下にも係らず山頂からの下山時、2組の登山者と擦れ違う。皆、山が好きなんだな。
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大天井岳  ※岳登3回目の登頂

悔いの残る結末となった。岳登は毛糸手袋からスキ-手袋に変えても”寒い寒い”と言葉を吐き、明らかに元気がない。天候は回復する気配もなく、深い濃霧がやる気さえも包み込んでいる。僕の選択は正しかったようだ。こんな状況下でも喜んでいるものもいる。朝方暗闇で見かけた白い羽根の雷鳥もそうだが、岩茸が実にいきいきと生茂っていた。先日の塩見、蝙蝠で多く見かけた岩茸はバリバリに干され、採るに採れなかった。しかし今日は程よく水を含み、しんなり蘇り反り返っている。寒さに震える凍えそうな手で、よせばいいのに貪欲な僕は一人採取に励んだ。
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霞む奇石群
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今日は残念だ
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蛙岩

燕山荘(11:04、11:20)  ようやく燕山荘まで戻って来た。ここまで来れば安心、何とか生きて帰れそうだ。山荘の軒先にザックを預け、燕岳を往復。独特の雄姿は深い霧に覆われ、代名詞のコマクサがある筈もない。
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燕山荘到着
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燕岳へ

燕岳(11:39)  この山は誰もが好きなように、僕も大好きだ。我が家の子供の初登山では、大抵ここか焼岳に連れて行っている。比較的簡単、尚且つ安全に登れる上、山容、眺望が大変素晴らしい。
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燕岳  ※岳登3回目の登頂
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5年前の燕岳山頂(当時岳登小1)
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燕の槍

燕山荘(11:58、12:15)  わずか数日前の塩見、蝙蝠の稜線歩きが実に素晴らしかっただけに、何とも寂しい表銀座の稜線歩きとなった。近いんだから何度でもやって来なさい・・、きっと山ノ神のお告げなのだろう。担いできた大量の水も、ほとんど手を付けず持ち帰る事になる。山荘前のテ-ブルでお菓子を食べ休憩していると、突如歓声が沸き起こった。ざわめきの方向に視線を移すと、ほんの一瞬雲が流れ燕岳が姿を現してくれた。1枚写真を撮り終えると、直ぐに雲隠れ。多くの登山者で賑わう燕山荘を後に、無念の下山にかかる。朝方凍っていた砂地が溶けたのか、地面はドロドロと化し実に歩き難い。
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燕山荘
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姿を見せた燕岳  ※今日の眺望はこの一瞬だけ
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下山開始
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有明山
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大仏の足

第三ベンチ(13:15、13:25)  山荘での賑わいにも驚いたが、登って来る登山者も実に多い。大きなザックを担いだ若い単独行は、槍方面にでも縦走するのだろうか。随所に設けられたベンチを一つ一つ越え、中房温泉へと下り着いた。  
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第三ベンチ

中房登山口第一駐車場(14:25)  不完全燃焼で少し煮え切らないが、山行を無事終えたのだからヨシとしよう。これに勝る結末はない。
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中房登山口第一駐車場


・・下山から数時間経過

僕等はとうの前に山行を終え、梓川のガストで遅い昼食を取り、奥飛騨温泉郷へと移動。そして今、夜空を見上げひらゆの森の露天風呂に浸かっている。もしあの時、違う選択をしていたらどうだろう。無事百高山を達成し、丁度今頃下山を終える頃だろうか。それは想像を絶する、かなり厳しい山行だったに違いない。しかし、都合のいいハッピ-エンドな結末ばかりとも言い切れない。寒い稜線上で身動きが取れなくなり、どこかで凍死寸前に陥っているかもしれない。あるいは赤沢山の急降下、冷え切った手先に力が入らず、急斜面を滑落して重大事故を起こしているかもしれない。山は怖い。僕は生死を分けるような体験はないが、容易に想像は付く。出来ればそんな体験など、一生したくない。小学生の岳登と百高山を歩く・・、こんな儚い夢はおそらく叶わぬ結果となるだろう。しかし山で事故は絶対に起こしてはいけない。子供を引き連れた親としては、それは何事にも優先すべき絶対条件となる。
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収穫した岩茸

岩茸の絶品料理


【山域】大天井岳(2922m)、燕岳(2763m)
【日時】平成23年11月3日
【天候】濃霧
【岳人】岳登(小6)、僕



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