六谷山
【山域】六谷山(1398m)
【日時】平成23年8月21日
【天候】曇り時々小雨
【岳人】嶺花(小2)、僕
駐車地(8:40) 今日は終日雨の予報。北飛騨の2山を登るべく、早朝自宅を発った。国道41号線を北上、東茂住交番の脇で右折。”ノ-ベルへの散歩道”と名付けられた、大変威厳のある林道を上っていく。ここ神岡町東茂住地区は東大小柴教授のニュ-トリノで一躍有名となった。世界的なこの研究施設には、僕も仕事で度々お世話になっている。林道入口では飛騨市の規制看板が目に付いた。今日は日曜日だし、バリケ-ドも開放的なので迷わず進入。舗装された長閑な散歩道は直ぐに終わり、やがて未舗装の悪道となる。最初こそ我慢すれば運行に支障はなかったが、そのうち波を打つような凸凹の悪路の連続となってきた。『こりゃ、たまらん!』、思わず冷や汗を感じる。駐車予定の茂住峠は、ここからまだまだ先だ。パンクしないように、クラッチを踏み慎重に最徐行運転で進む。しかしそれも半端ない。道は狭くて戻るに戻れず、次の広い箇所で迷わず駐車しようと決断。神岡鉱業の沈砂ダム施設への進入路手前に、車を寄せ駐車。急遽ここから歩き始める事にした。標高にして545m、2時間くらいの林道歩きは、この時点で既に覚悟している。

已む無く駐車

神岡鉱業用地
二股分岐(9:09、9:30) ここで標高710m。単調な林道をただ黙々と歩いてきた。何の楽しみもないが、雨が降っていない事が唯一の救いだ。最低でもこの分岐くらいまでは車で来たかったのだが、実際歩いてみてそれはかなり無謀だと分かった。朝食のおにぎりを頬張り腹ごしらえ、そして再び退屈な林道歩きに向かう。道は更に悪くなったと思えば、良くなったり、それの繰り返し。随所に沢や小滝が姿を見せては、山際から落ち込んだ湧き水は林道の片側半分を這うように緩やかに流れている。林道は峠直下で鋭く蛇行を繰り返し、ようやく本来の出だしとなる茂住峠に到着。余計な行程を歩かされ、嶺花は既に半べそを掻いていた。

二股分岐 ※左が茂住峠方面、右は大津山集落跡

林道沿いは水が豊富
茂住峠(10:44、10:58) 腕時計の高度表示によると、ここ茂住峠の標高は1075m。高低差500mもの長い林道を、腐らず歩き終えた。峠を境にこの先は下りとなるが、林道は尚も続いている。左手に分かり易い登山口を見つけた。脇には朽ちた標識が草にまみれ倒れており、そこには”六谷山入口 終点”と書かれている。登山道に入ると直ぐ、2体の石仏が僕等訪問者を迎えてくれた。その仏像の前にはいにしえの街道と思われる旧峠道が深い草に覆われ、林道に並行するかのように延びているようだ。この峠の仏様は雨の日も風の日も、何十年もここで峠を行き交う行者を見守っているのだろう。仏像に安全を祈願し、僕等も山に入る。直ぐに低山お馴染みのゴム製簡易階段が現れた。茂住反射板(中部電力)と記された黄色い案内標識を、やがて登山道脇で確認する事が出来た。ここは登山道と言うより、中電反射板の巡視路となっている訳である。斜度がきつくなってくれば、手すり代わりのロ-プが急登の補助をしてくれる。嶺花はクタクタになり、泣きべそを掻きながら稜線まで登り切った。

茂住峠 ※林道はこの先下りとなり、更に延びている

茂住峠登山口 ※「六谷山入口」と書かれた朽ちた標識が脇に倒れていた


峠を見守る石仏 ※石仏の前には旧峠道の面影が残っている

巡視路のゴム製階段

急斜面に設けられた手すりロ-プ

茂住反射板標識(中部電力)
ようやく稜線に出たが、天候は悪く眺望はない。雨に濡れた草薮を漕ぎながら、ズボンや靴をベタベタに濡らす。雨具を着ようと思った時には既に遅い。何度も何度も、意味のないアップダウンの繰り返し。ようやく登り切り山頂かと伺うが、いつも決まって期待外れの結末に終わる。今度こそはと思ってからが異様に長かった。『いくらなんでも、もう着く筈だ・・』。嶺花は僕の頼りない言葉に30分近く泣きながら付き合ってくれ、今度こそ本当の山頂ピ-クに辿り着いた。

霞む稜線は藪っぽい
六谷山(12:21、12:51) 視界が悪かった事や、ズブ濡れになった事で随分と長く感じた稜線歩きだった。茂住反射板の案内標識がある地点の右奥が広く刈り払われており、目指していた六谷山の山頂となる。そこには一等三角点の標石が鎮座し、藪際には山名を記した山頂プレ-トが掲げられてあった。これまで中電標識が示していた反射板も弱冠気になるが、二人共片道10分をかけ先に進む気力はない。ラジオをかけ、昼食にもおにぎりを頬張る。山で食べるおにぎりに勝るものはないだろう。ラジオから流れてきた雷注意報のアナウンス。休憩も程々に、取り合えず安全な峠まで急ぐ事にする。復路の稜線歩きは距離感も分かった分、往路程辛くはなかった。急勾配のゴム階段や木の枝に足を取られながらも、無事茂住峠まで下りてきた。

六谷山

刈り払われた山頂部

一等三角点 六谷山

濡れた薮道

長く感じた稜線歩き

濡れた急斜面は慎重に
茂住峠(13:44、14:03) 小雨が降り出してきた。石仏の前に腰を下ろし、山頂で食べる筈だったスナック菓子を食べながら小休止。後は単調な林道を、高度を落として下るだけ。幻想的な深い森の中、嶺花曰く”吸い込まれそう”な山道をただひたすら下っていく。幻想的な空間は最後まで続き、やがて鉱山の施設が見えてくればゴ-ルとなる。

幻想の森
駐車地(15:30) 着替えを終えた矢先、本格的な雨が降り出してきた。ここから国道までの僅かな区間ですら、車の運転には自ずと力が入る。ようやく悪路の運転を終えホッとした頃、京都ナンバ-の乗用車とすれ違った。『峠まで車で行けますか?』と訊かれ、止めた方がいい旨を迷わず告げた。京都ナンバ-の中年男性は峠を諦め直ぐに引き返してきたが、登山目的以外一体峠に何をしに行きたかったのだろう。釣り人でもなさそうだし、廃村マニアか峠マニアだろうか・・。帰路の車内、嶺花とその謎解きに話が弾んだ。

ゴ-ル ※誰とも会わない静かな山行だった

国道41号線から入り、林道入口にある規制看板 ※素直に守った方がいい
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【日時】平成23年8月21日
【天候】曇り時々小雨
【岳人】嶺花(小2)、僕
駐車地(8:40) 今日は終日雨の予報。北飛騨の2山を登るべく、早朝自宅を発った。国道41号線を北上、東茂住交番の脇で右折。”ノ-ベルへの散歩道”と名付けられた、大変威厳のある林道を上っていく。ここ神岡町東茂住地区は東大小柴教授のニュ-トリノで一躍有名となった。世界的なこの研究施設には、僕も仕事で度々お世話になっている。林道入口では飛騨市の規制看板が目に付いた。今日は日曜日だし、バリケ-ドも開放的なので迷わず進入。舗装された長閑な散歩道は直ぐに終わり、やがて未舗装の悪道となる。最初こそ我慢すれば運行に支障はなかったが、そのうち波を打つような凸凹の悪路の連続となってきた。『こりゃ、たまらん!』、思わず冷や汗を感じる。駐車予定の茂住峠は、ここからまだまだ先だ。パンクしないように、クラッチを踏み慎重に最徐行運転で進む。しかしそれも半端ない。道は狭くて戻るに戻れず、次の広い箇所で迷わず駐車しようと決断。神岡鉱業の沈砂ダム施設への進入路手前に、車を寄せ駐車。急遽ここから歩き始める事にした。標高にして545m、2時間くらいの林道歩きは、この時点で既に覚悟している。

已む無く駐車

神岡鉱業用地
二股分岐(9:09、9:30) ここで標高710m。単調な林道をただ黙々と歩いてきた。何の楽しみもないが、雨が降っていない事が唯一の救いだ。最低でもこの分岐くらいまでは車で来たかったのだが、実際歩いてみてそれはかなり無謀だと分かった。朝食のおにぎりを頬張り腹ごしらえ、そして再び退屈な林道歩きに向かう。道は更に悪くなったと思えば、良くなったり、それの繰り返し。随所に沢や小滝が姿を見せては、山際から落ち込んだ湧き水は林道の片側半分を這うように緩やかに流れている。林道は峠直下で鋭く蛇行を繰り返し、ようやく本来の出だしとなる茂住峠に到着。余計な行程を歩かされ、嶺花は既に半べそを掻いていた。

二股分岐 ※左が茂住峠方面、右は大津山集落跡

林道沿いは水が豊富
茂住峠(10:44、10:58) 腕時計の高度表示によると、ここ茂住峠の標高は1075m。高低差500mもの長い林道を、腐らず歩き終えた。峠を境にこの先は下りとなるが、林道は尚も続いている。左手に分かり易い登山口を見つけた。脇には朽ちた標識が草にまみれ倒れており、そこには”六谷山入口 終点”と書かれている。登山道に入ると直ぐ、2体の石仏が僕等訪問者を迎えてくれた。その仏像の前にはいにしえの街道と思われる旧峠道が深い草に覆われ、林道に並行するかのように延びているようだ。この峠の仏様は雨の日も風の日も、何十年もここで峠を行き交う行者を見守っているのだろう。仏像に安全を祈願し、僕等も山に入る。直ぐに低山お馴染みのゴム製簡易階段が現れた。茂住反射板(中部電力)と記された黄色い案内標識を、やがて登山道脇で確認する事が出来た。ここは登山道と言うより、中電反射板の巡視路となっている訳である。斜度がきつくなってくれば、手すり代わりのロ-プが急登の補助をしてくれる。嶺花はクタクタになり、泣きべそを掻きながら稜線まで登り切った。

茂住峠 ※林道はこの先下りとなり、更に延びている

茂住峠登山口 ※「六谷山入口」と書かれた朽ちた標識が脇に倒れていた


峠を見守る石仏 ※石仏の前には旧峠道の面影が残っている

巡視路のゴム製階段

急斜面に設けられた手すりロ-プ

茂住反射板標識(中部電力)
ようやく稜線に出たが、天候は悪く眺望はない。雨に濡れた草薮を漕ぎながら、ズボンや靴をベタベタに濡らす。雨具を着ようと思った時には既に遅い。何度も何度も、意味のないアップダウンの繰り返し。ようやく登り切り山頂かと伺うが、いつも決まって期待外れの結末に終わる。今度こそはと思ってからが異様に長かった。『いくらなんでも、もう着く筈だ・・』。嶺花は僕の頼りない言葉に30分近く泣きながら付き合ってくれ、今度こそ本当の山頂ピ-クに辿り着いた。

霞む稜線は藪っぽい
六谷山(12:21、12:51) 視界が悪かった事や、ズブ濡れになった事で随分と長く感じた稜線歩きだった。茂住反射板の案内標識がある地点の右奥が広く刈り払われており、目指していた六谷山の山頂となる。そこには一等三角点の標石が鎮座し、藪際には山名を記した山頂プレ-トが掲げられてあった。これまで中電標識が示していた反射板も弱冠気になるが、二人共片道10分をかけ先に進む気力はない。ラジオをかけ、昼食にもおにぎりを頬張る。山で食べるおにぎりに勝るものはないだろう。ラジオから流れてきた雷注意報のアナウンス。休憩も程々に、取り合えず安全な峠まで急ぐ事にする。復路の稜線歩きは距離感も分かった分、往路程辛くはなかった。急勾配のゴム階段や木の枝に足を取られながらも、無事茂住峠まで下りてきた。

六谷山

刈り払われた山頂部

一等三角点 六谷山

濡れた薮道

長く感じた稜線歩き

濡れた急斜面は慎重に
茂住峠(13:44、14:03) 小雨が降り出してきた。石仏の前に腰を下ろし、山頂で食べる筈だったスナック菓子を食べながら小休止。後は単調な林道を、高度を落として下るだけ。幻想的な深い森の中、嶺花曰く”吸い込まれそう”な山道をただひたすら下っていく。幻想的な空間は最後まで続き、やがて鉱山の施設が見えてくればゴ-ルとなる。

幻想の森
駐車地(15:30) 着替えを終えた矢先、本格的な雨が降り出してきた。ここから国道までの僅かな区間ですら、車の運転には自ずと力が入る。ようやく悪路の運転を終えホッとした頃、京都ナンバ-の乗用車とすれ違った。『峠まで車で行けますか?』と訊かれ、止めた方がいい旨を迷わず告げた。京都ナンバ-の中年男性は峠を諦め直ぐに引き返してきたが、登山目的以外一体峠に何をしに行きたかったのだろう。釣り人でもなさそうだし、廃村マニアか峠マニアだろうか・・。帰路の車内、嶺花とその謎解きに話が弾んだ。

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国道41号線から入り、林道入口にある規制看板 ※素直に守った方がいい
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| '11山行記録 | 08:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑