赤石山脈を歩け(2)
【山域】小聖岳(2662m)、前聖岳(3013m)、奥聖岳(2978m)、兎岳(2799m)、小兎岳(2738m)、中盛丸山(2807m)、大沢岳(2819m)、赤石岳(3120m)
【日時】平成23年8月13日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕
2日目
兎岳避難小屋(3:56) 3時起床、テントの外を覗いてみる。そこには満天の星空が広がり、満月は明るい月明かりを照らしていた。今日は一日期待出来そうだ。何はともあれ、まずは目覚めの一杯。そして夜明けを待たず、行動を開始した。兎岳まで登り切ると、これから歩く稜線が黒く浮かんで見えた。兎からの長い下り、暗闇で少し道が分かりづらい。日の出を見ようと、急いで次のピ-クを目指す。だが期待していた日の出はどこかの山並みに隠れ、残念ながら拝むことは出来なかった。偽小兎のピ-クから降り立ったコルには、数箇所テント跡が残っている。ここで右手の谷側に少し下ると水場があるようだ。
小兎岳(4:53、5:00) コルから少し登る、今度こそ本当の小兎岳の山頂となる。意味深な木柱が立っているだけだが、ここから見た赤富士はとても綺麗だった。よし次は本命の百高山、中盛丸山だ。

朝焼け富士

小兎岳 ※後方中央に富士山

中盛丸山へ行く
中盛丸山(5:36、5:52) 中盛丸山。この次に目指す大沢岳同様尖ったピラミッド状の山容はどこから見てもそれと分かり、聖岳や赤石岳と比べ知名度はないが容姿は中々かっこいい。しかし残念ながら中盛丸山の頂には倒れかけの木柱が石で押さえ付けられているだけで、威厳を保つようなものは何もない。既に周囲はガスに覆われ視界はない。コルまで降りると、そこは百間洞と大沢岳への分岐となっていた。単に百間洞の小屋やテント場を目指すのなら、ここから下りたほうが断然早い。僕等は百高山の大沢岳目指し、次の登りにかかる。しらびそ峠へと下る大沢渡分岐を越え、大沢岳の山頂まで登り切った。

中盛丸山

百間洞下降点の分岐道標
大沢岳(6:17、6:32) ここには立派な山頂標柱や三角点があった。この界隈で度々目にするこの標柱。東海製紙の社有林とあり、僕等登山者は社有林を登らせてもらっている訳だ。山頂を満喫し、百間洞目掛け先へ進む。痩せた稜線は片側が鋭く切り立っている。気を引き締め慎重に挑むも、緊張するような危険箇所は出だしくらいだった。辺りを白く染めていたガス雲は次第に流れ、明るい青空がちらほら顔を出してきた。これは来るゾ・・。こっちか、それともこっちか!注意深くその瞬間を待った。次の瞬間、予感的中ようやくその者は現れた。待っていたぞ、ブロッケン!更に稜線を進む。振り返ると、先程通過してきた中盛丸山と大沢岳が、深い緑に包まれ上を向いている。ここから一気に下ると、次第に川の音が大きくなってきた。

大沢岳

痩せ尾根の緊張度は低い

ブロッケン現象 ※理屈が分かると、探して簡単に遭遇出来る

中盛丸山(奥)、大沢岳(手前)
百間洞山の家テント場(7:07、7:25) ここへ来る下りの途中、岳登がライステラスのようだと言っていた場所は、段々に造られたテント場だった。清流は冷たい水を運び、その水で顔を洗い、喉を潤す。幾つもある幕営の区画は、小屋による指定制のようだ。ここから一登りすると開けた草原に出た。ここが百間平、北アの雲の平を想わせる雲上の楽園だった。

縦走路にある清流は正に命の水
百間平(8:04、8:11) とても高所とは思えない素敵な楽園だが、道標にはキャンプ禁止とある。百間平の草原はしばらく続き、その後も爽快な尾根歩きが疲れた身体を癒してくれる。既に折り返し地点の赤石は目の前に捉えている。その山頂はガスがかかり確認出来ないが、右に回り込むトラバ-ス道は鮮明に見えている。いつもの道草で無駄な時間を潰し、いよいよ石ころ集う巻き道に取り付いた。僕等もガスの中に紛れ込む。雷鳥が3羽、石に化け佇んでいる。見つけたのは岳登、相変わらず勘の鋭いところがある。へたれ気味の父親をよそに、岳登が先に山頂に立つ。出発してから6時間、ようやく赤石山脈の主峰に辿り着いた。

百間平 ※キャンプ禁止とある

爽快な尾根歩き

赤石山頂を巻く

雷鳥
赤石岳(9:53、10:28) 折角の赤石岳山頂だが、視界が悪く眺望はない。腹が減ったので早めの昼食とする。山に持ち込んだ最後のおにぎりは、暑さで少し粘々している。この時期は仕方がない、いつもの事だ。山頂を後に避難小屋を覗く。小屋番の親父によると、兎岳から便ヶ島に直接下りる尾根があるようだ。後に調べてみると笠松尾根として、稀に使われているようだ。復路も道草に無駄な時間を費やしてしまったが、百間平からの下りで少しは挽回。涼しげな清流湧く百間洞まで一気に下り立った。

赤石岳

赤石の花

百間平のお花畑
百間洞山の家(12:06、12:24) 小屋の給水所でタンクの水を全て満たし、嵩を増した荷を担ぐ。稜線コルへの長い登りは、予想通りかなりきつかった。顔の表情を醜く崩し、もがき耐える。そしてようやく登り切ったと拳を突き上げた箇所は、道中の見晴峠。気は確かに沈んだが、目指すコルまではそこから遠くはなかった。

百間洞山の家の水場
百間洞下降点(13:08、13:18) 何とか再び稜線まで登り切った。一見無駄とも思えるこの大きな登り下りが南アルプスの特徴、重厚な大山魂の表れでもある。この先、まだ幾つか辛いアップダウンが残っている。まずは、中盛丸山。山頂の木柱は相変わらず弱々しく今にも倒れそう。またしても視界は悪く、眺望はない。

中盛丸山
小兎岳(14:20、14:30) 続いて小兎。この先は偽小兎を越し、残すは最後の難関兎岳への長い登りだけとなる。朝の出だし、暗闇の中、ヘッドライトの明かりを頼りに慎重に下った。随分高度を落とした朝の記憶に少し怯えていたが、たいして苦しむ事なく山頂へと登り切った。

小兎から下った最初のコル ※右がテント跡、左が下山5分で水場(未確認)

兎岳標柱

兎の花
兎岳避難小屋(15:21) 無事避難小屋まで戻ってきた。最奥に詰めた僕等のテントの横に、もう1張テントが並んでいる。興味本位で小屋の中を覗いてみたら、数組の宿泊客が窮屈そうに寛いでいた。夕食を作り、酒を飲む。避難小屋に新たなパ-ティ-到着。無事小屋に入れたようなので良かったが、テントも持っていないようだし、小屋が満杯で入れなかったらどうするつもりだったのだろう。避難小屋をあてにするのなら、遅くても昼過ぎには到着しておきたいところだ。昨日も今日も程よく疲れた。外はまだ明るい夕刻5時半、テントに入り寝袋に両足を突っ込むと、寝入るのに時間は必要なかった。

帰還 ※今宵はテント2張、避難小屋超満員

夕食

宴会の品
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【日時】平成23年8月13日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕
2日目
兎岳避難小屋(3:56) 3時起床、テントの外を覗いてみる。そこには満天の星空が広がり、満月は明るい月明かりを照らしていた。今日は一日期待出来そうだ。何はともあれ、まずは目覚めの一杯。そして夜明けを待たず、行動を開始した。兎岳まで登り切ると、これから歩く稜線が黒く浮かんで見えた。兎からの長い下り、暗闇で少し道が分かりづらい。日の出を見ようと、急いで次のピ-クを目指す。だが期待していた日の出はどこかの山並みに隠れ、残念ながら拝むことは出来なかった。偽小兎のピ-クから降り立ったコルには、数箇所テント跡が残っている。ここで右手の谷側に少し下ると水場があるようだ。
小兎岳(4:53、5:00) コルから少し登る、今度こそ本当の小兎岳の山頂となる。意味深な木柱が立っているだけだが、ここから見た赤富士はとても綺麗だった。よし次は本命の百高山、中盛丸山だ。

朝焼け富士

小兎岳 ※後方中央に富士山

中盛丸山へ行く
中盛丸山(5:36、5:52) 中盛丸山。この次に目指す大沢岳同様尖ったピラミッド状の山容はどこから見てもそれと分かり、聖岳や赤石岳と比べ知名度はないが容姿は中々かっこいい。しかし残念ながら中盛丸山の頂には倒れかけの木柱が石で押さえ付けられているだけで、威厳を保つようなものは何もない。既に周囲はガスに覆われ視界はない。コルまで降りると、そこは百間洞と大沢岳への分岐となっていた。単に百間洞の小屋やテント場を目指すのなら、ここから下りたほうが断然早い。僕等は百高山の大沢岳目指し、次の登りにかかる。しらびそ峠へと下る大沢渡分岐を越え、大沢岳の山頂まで登り切った。

中盛丸山

百間洞下降点の分岐道標
大沢岳(6:17、6:32) ここには立派な山頂標柱や三角点があった。この界隈で度々目にするこの標柱。東海製紙の社有林とあり、僕等登山者は社有林を登らせてもらっている訳だ。山頂を満喫し、百間洞目掛け先へ進む。痩せた稜線は片側が鋭く切り立っている。気を引き締め慎重に挑むも、緊張するような危険箇所は出だしくらいだった。辺りを白く染めていたガス雲は次第に流れ、明るい青空がちらほら顔を出してきた。これは来るゾ・・。こっちか、それともこっちか!注意深くその瞬間を待った。次の瞬間、予感的中ようやくその者は現れた。待っていたぞ、ブロッケン!更に稜線を進む。振り返ると、先程通過してきた中盛丸山と大沢岳が、深い緑に包まれ上を向いている。ここから一気に下ると、次第に川の音が大きくなってきた。

大沢岳

痩せ尾根の緊張度は低い

ブロッケン現象 ※理屈が分かると、探して簡単に遭遇出来る

中盛丸山(奥)、大沢岳(手前)
百間洞山の家テント場(7:07、7:25) ここへ来る下りの途中、岳登がライステラスのようだと言っていた場所は、段々に造られたテント場だった。清流は冷たい水を運び、その水で顔を洗い、喉を潤す。幾つもある幕営の区画は、小屋による指定制のようだ。ここから一登りすると開けた草原に出た。ここが百間平、北アの雲の平を想わせる雲上の楽園だった。

縦走路にある清流は正に命の水
百間平(8:04、8:11) とても高所とは思えない素敵な楽園だが、道標にはキャンプ禁止とある。百間平の草原はしばらく続き、その後も爽快な尾根歩きが疲れた身体を癒してくれる。既に折り返し地点の赤石は目の前に捉えている。その山頂はガスがかかり確認出来ないが、右に回り込むトラバ-ス道は鮮明に見えている。いつもの道草で無駄な時間を潰し、いよいよ石ころ集う巻き道に取り付いた。僕等もガスの中に紛れ込む。雷鳥が3羽、石に化け佇んでいる。見つけたのは岳登、相変わらず勘の鋭いところがある。へたれ気味の父親をよそに、岳登が先に山頂に立つ。出発してから6時間、ようやく赤石山脈の主峰に辿り着いた。

百間平 ※キャンプ禁止とある

爽快な尾根歩き

赤石山頂を巻く

雷鳥
赤石岳(9:53、10:28) 折角の赤石岳山頂だが、視界が悪く眺望はない。腹が減ったので早めの昼食とする。山に持ち込んだ最後のおにぎりは、暑さで少し粘々している。この時期は仕方がない、いつもの事だ。山頂を後に避難小屋を覗く。小屋番の親父によると、兎岳から便ヶ島に直接下りる尾根があるようだ。後に調べてみると笠松尾根として、稀に使われているようだ。復路も道草に無駄な時間を費やしてしまったが、百間平からの下りで少しは挽回。涼しげな清流湧く百間洞まで一気に下り立った。

赤石岳

赤石の花

百間平のお花畑
百間洞山の家(12:06、12:24) 小屋の給水所でタンクの水を全て満たし、嵩を増した荷を担ぐ。稜線コルへの長い登りは、予想通りかなりきつかった。顔の表情を醜く崩し、もがき耐える。そしてようやく登り切ったと拳を突き上げた箇所は、道中の見晴峠。気は確かに沈んだが、目指すコルまではそこから遠くはなかった。

百間洞山の家の水場
百間洞下降点(13:08、13:18) 何とか再び稜線まで登り切った。一見無駄とも思えるこの大きな登り下りが南アルプスの特徴、重厚な大山魂の表れでもある。この先、まだ幾つか辛いアップダウンが残っている。まずは、中盛丸山。山頂の木柱は相変わらず弱々しく今にも倒れそう。またしても視界は悪く、眺望はない。

中盛丸山
小兎岳(14:20、14:30) 続いて小兎。この先は偽小兎を越し、残すは最後の難関兎岳への長い登りだけとなる。朝の出だし、暗闇の中、ヘッドライトの明かりを頼りに慎重に下った。随分高度を落とした朝の記憶に少し怯えていたが、たいして苦しむ事なく山頂へと登り切った。

小兎から下った最初のコル ※右がテント跡、左が下山5分で水場(未確認)

兎岳標柱

兎の花
兎岳避難小屋(15:21) 無事避難小屋まで戻ってきた。最奥に詰めた僕等のテントの横に、もう1張テントが並んでいる。興味本位で小屋の中を覗いてみたら、数組の宿泊客が窮屈そうに寛いでいた。夕食を作り、酒を飲む。避難小屋に新たなパ-ティ-到着。無事小屋に入れたようなので良かったが、テントも持っていないようだし、小屋が満杯で入れなかったらどうするつもりだったのだろう。避難小屋をあてにするのなら、遅くても昼過ぎには到着しておきたいところだ。昨日も今日も程よく疲れた。外はまだ明るい夕刻5時半、テントに入り寝袋に両足を突っ込むと、寝入るのに時間は必要なかった。

帰還 ※今宵はテント2張、避難小屋超満員

夕食

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