荒川三山(1)
【山域】烏帽子岳(2726m)、前小河内岳(2784m)、小河内岳(2801m)、板屋岳(2646m)、荒川前岳(3068m)、荒川中岳(3083m)、荒川東岳(3141m)、千枚岳(2879m)
【日時】平成23年7月16日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕
1日目
鳥倉林道ゲ-ト(4:45) 前夜パワ-スポットで有名な分杭峠、大鹿村を経由して鳥倉林道ゲ-トまで車移動。分杭峠以降の国道152号線や鳥倉林道では、野生の鹿を計10匹目撃。さすが大鹿村だな・・、一人車内で相槌を打つ。林道ゲ-ト手前の広い駐車場には、立派なトイレ棟まで完備されている。しかし驚いた、こんな山奥に数多くの車が既に駐車していた。ここで車中泊。翌朝身支度を整え、いざ出発。岳登に車の台数を数えさせると、その数45台、駐車場から溢れた車は林道の路肩まで繋がっていた。ゲ-トの脇を抜け、舗装された綺麗な林道を終点目指し進む。自転車を持ち込んでいる単独行もいた。

鳥倉林道ゲ-ト駐車場
鳥倉登山口(5:25、5:35) ゲ-ト先の林道終点までは定期バスなら来れるようだが、一日2便と本数は限られている。登山届を投函、この先いよいよ南アルプスの深い森。この山域の一つの拠点となる三伏(さんぷく)峠までを10区間で分け、1/10、2/10、3/10・・等の看板が距離目安として道中に掲げられている。これは大変な励み。
豊口山間のコル(6:36、6:54) 3/10を過ぎた先のコルで朝食とする。いつもの特大おにぎりを頬張り、地元特産の赤かぶをかじる。腹を満たしたところで、再び重荷を背負い黙々と上を目指す。日帰り登山なら全く苦にならない出だしの急登も、テント行となればその重荷がどっと圧し掛かる。

豊口山間のコル
水場(7:27、7:37) 6/10を過ぎた頃、待望の水場が現れた。冷たく美味しい天然水で喉を潤し、頭を冷やす。手の施された丸太の架け橋や階段等を順に越え、ようやく日本一高い峠へと登り切った。そこが三伏峠、小屋前は多くの登山者で賑わっていた。

水場
三伏峠(8:19、8:38) この先登山道は塩見岳方面と分岐。ほとんどの登山者は人気の塩見岳方面へと流れて行く。お花畑を過ぎ稜線を登り詰め、今回の山行一つ目の目的地である百高山、烏帽子岳へと到着した。

三伏峠分岐

富士山
烏帽子岳(9:20、9:35) 目の前に聳える日本一高い富士山、こんなに大きく見えたのは初めてだ。先月寒い中登った仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳、近々登る予定の北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山。手前の塩見岳や蝙蝠尾根、先週岳登が負傷した木曽山脈、これから進む小河内岳やその奥の荒川三山・・、もう何でも見えてしまうこの贅沢さ。

烏帽子岳
仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、北岳、間ノ岳(写真左) 塩見岳、左後方に白峰三山(写真右)

木曽山脈(写真左) 前小河内岳、小河内岳、後方に荒川三山(写真右) ※画像クリックで拡大
前小河内岳(10:10、10:20) 烏帽子岳から一旦下り、登り返して前小河内岳に到着。ここには山頂標識はなく、壊れた三角点がお情け程度に佇んでいた。眺望が良いのは烏帽子と同じ。

前小河内岳 ※右は小河内岳、左奥は荒川三山
小河内岳(10:55、11:10) 再び下り登りで本日二つ目の百高山、小河内岳に到着。山頂直下には可愛らしい避難小屋が建っていた。この山頂からの眺望も抜群で、名の知れた大抵の山を眺める事が出来た。しかしここからが非常に辛く、南アルプスの奥深さをまざまざと見せつけられる事になる。折角登り切った高度をみるみる下げ、直ぐに樹林帯に逆戻り。周りがこんな景色だと、一瞬ここがどこだか忘れてしまう。南アルプスは森林限界が高く、一つ一つの山のアップダウンがかなり激しい。これは辛い事を意味する。華やかで女性的な飛騨山脈に対し、どっしりと雄大で渋く奥深い男性的な山域が、ここ赤石山脈となる。

小河内岳

前小河内岳の背後に巨大な塩見岳

小河内岳避難小屋と富士山
樹林帯で昼食休憩(12:15、12:42) 『いまさら樹林帯!』 延々と続く深い森に疲れ果て、たまらず草むらに倒れ込む。ザックを枕代わりに、寝転んだまま昼食にも特大おにぎりを頬張る。辛いだけの樹林帯を歩き続け、視界の開けた砂地の稜線に出た。あとで気付いたのだが、ここがこの時目指していた頭(かしら)だったのだろう。そうとは知らずに、”頭まだかな、随分長いな・・”と考え続け、辿り着いた先が嬉しい事にその先の板屋岳。頭でなくて良かった。

瀬戸沢ノ頭
板屋岳(13:35、13:54) 山頂標識は登山道に突如現れた。周囲は高い樹木で覆われ眺望はない。ここまで来たら、後は最後の高山裏を目指すだけ。ようやく元気を取り戻し更に足を進めると、やがて深い森に佇む避難小屋の赤い屋根が見えてきた。

板屋岳
高山裏避難小屋(14:40) かなりクセのある小屋番の親父に何度も叱られ、指定された場所にテントを設営。小河内岳で抜いていかれた男女のカップルは既に幕営済、中々健脚であった。”日程を延ばし、聖岳まで一気に抜けて行こうかな・・”、随分大きな事を真剣に考えた。しかし台風が接近している事、食料に2日分も予備がない事、鳥倉に置いている車の事・・、どう考えても現実的でなく諦めた。岳登は1ℓの粉ポカリ、僕はいつもの王様ウィスキ-を飲み乾杯。まともに対戦しては勝負にならない将棋、岳登とハンデ大有りの駒を交わす。そして高山裏の戦い、一戦目。先手岳登の第一手、前列中央の香車の突撃に僕は成すすべもなく、あっさり敗北。『オイ、その配置はないぞ!』。そして隊列を組み直し、二戦目。敵は相変わらずせこい布陣を組んできたが、深いことは気にしない岳登の隙を上手くすり抜け、香車にて事前に行く先を遮っておき、銀将にて王手!勝負あり。ラジオを聴き夕食を食べ、日没と共にテント場の一日は終わった。

高山裏避難小屋


高山裏の戦い 第一戦は岳登勝ち(左:勝負前、右:勝負後)
※後々写真を見て気付いたが、岳登の香車は裏金となり、この時王手ではなかったようだ


第二戦は岳登負け(左:勝負前、右:勝負後) ※いずれも画像クリックで拡大

棒ラ-メン

テント場の夕焼け

日没
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【日時】平成23年7月16日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕
1日目
鳥倉林道ゲ-ト(4:45) 前夜パワ-スポットで有名な分杭峠、大鹿村を経由して鳥倉林道ゲ-トまで車移動。分杭峠以降の国道152号線や鳥倉林道では、野生の鹿を計10匹目撃。さすが大鹿村だな・・、一人車内で相槌を打つ。林道ゲ-ト手前の広い駐車場には、立派なトイレ棟まで完備されている。しかし驚いた、こんな山奥に数多くの車が既に駐車していた。ここで車中泊。翌朝身支度を整え、いざ出発。岳登に車の台数を数えさせると、その数45台、駐車場から溢れた車は林道の路肩まで繋がっていた。ゲ-トの脇を抜け、舗装された綺麗な林道を終点目指し進む。自転車を持ち込んでいる単独行もいた。

鳥倉林道ゲ-ト駐車場
鳥倉登山口(5:25、5:35) ゲ-ト先の林道終点までは定期バスなら来れるようだが、一日2便と本数は限られている。登山届を投函、この先いよいよ南アルプスの深い森。この山域の一つの拠点となる三伏(さんぷく)峠までを10区間で分け、1/10、2/10、3/10・・等の看板が距離目安として道中に掲げられている。これは大変な励み。
豊口山間のコル(6:36、6:54) 3/10を過ぎた先のコルで朝食とする。いつもの特大おにぎりを頬張り、地元特産の赤かぶをかじる。腹を満たしたところで、再び重荷を背負い黙々と上を目指す。日帰り登山なら全く苦にならない出だしの急登も、テント行となればその重荷がどっと圧し掛かる。

豊口山間のコル
水場(7:27、7:37) 6/10を過ぎた頃、待望の水場が現れた。冷たく美味しい天然水で喉を潤し、頭を冷やす。手の施された丸太の架け橋や階段等を順に越え、ようやく日本一高い峠へと登り切った。そこが三伏峠、小屋前は多くの登山者で賑わっていた。

水場
三伏峠(8:19、8:38) この先登山道は塩見岳方面と分岐。ほとんどの登山者は人気の塩見岳方面へと流れて行く。お花畑を過ぎ稜線を登り詰め、今回の山行一つ目の目的地である百高山、烏帽子岳へと到着した。

三伏峠分岐

富士山
烏帽子岳(9:20、9:35) 目の前に聳える日本一高い富士山、こんなに大きく見えたのは初めてだ。先月寒い中登った仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳、近々登る予定の北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山。手前の塩見岳や蝙蝠尾根、先週岳登が負傷した木曽山脈、これから進む小河内岳やその奥の荒川三山・・、もう何でも見えてしまうこの贅沢さ。

烏帽子岳


仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、北岳、間ノ岳(写真左) 塩見岳、左後方に白峰三山(写真右)


木曽山脈(写真左) 前小河内岳、小河内岳、後方に荒川三山(写真右) ※画像クリックで拡大
前小河内岳(10:10、10:20) 烏帽子岳から一旦下り、登り返して前小河内岳に到着。ここには山頂標識はなく、壊れた三角点がお情け程度に佇んでいた。眺望が良いのは烏帽子と同じ。

前小河内岳 ※右は小河内岳、左奥は荒川三山
小河内岳(10:55、11:10) 再び下り登りで本日二つ目の百高山、小河内岳に到着。山頂直下には可愛らしい避難小屋が建っていた。この山頂からの眺望も抜群で、名の知れた大抵の山を眺める事が出来た。しかしここからが非常に辛く、南アルプスの奥深さをまざまざと見せつけられる事になる。折角登り切った高度をみるみる下げ、直ぐに樹林帯に逆戻り。周りがこんな景色だと、一瞬ここがどこだか忘れてしまう。南アルプスは森林限界が高く、一つ一つの山のアップダウンがかなり激しい。これは辛い事を意味する。華やかで女性的な飛騨山脈に対し、どっしりと雄大で渋く奥深い男性的な山域が、ここ赤石山脈となる。

小河内岳

前小河内岳の背後に巨大な塩見岳

小河内岳避難小屋と富士山
樹林帯で昼食休憩(12:15、12:42) 『いまさら樹林帯!』 延々と続く深い森に疲れ果て、たまらず草むらに倒れ込む。ザックを枕代わりに、寝転んだまま昼食にも特大おにぎりを頬張る。辛いだけの樹林帯を歩き続け、視界の開けた砂地の稜線に出た。あとで気付いたのだが、ここがこの時目指していた頭(かしら)だったのだろう。そうとは知らずに、”頭まだかな、随分長いな・・”と考え続け、辿り着いた先が嬉しい事にその先の板屋岳。頭でなくて良かった。

瀬戸沢ノ頭
板屋岳(13:35、13:54) 山頂標識は登山道に突如現れた。周囲は高い樹木で覆われ眺望はない。ここまで来たら、後は最後の高山裏を目指すだけ。ようやく元気を取り戻し更に足を進めると、やがて深い森に佇む避難小屋の赤い屋根が見えてきた。

板屋岳
高山裏避難小屋(14:40) かなりクセのある小屋番の親父に何度も叱られ、指定された場所にテントを設営。小河内岳で抜いていかれた男女のカップルは既に幕営済、中々健脚であった。”日程を延ばし、聖岳まで一気に抜けて行こうかな・・”、随分大きな事を真剣に考えた。しかし台風が接近している事、食料に2日分も予備がない事、鳥倉に置いている車の事・・、どう考えても現実的でなく諦めた。岳登は1ℓの粉ポカリ、僕はいつもの王様ウィスキ-を飲み乾杯。まともに対戦しては勝負にならない将棋、岳登とハンデ大有りの駒を交わす。そして高山裏の戦い、一戦目。先手岳登の第一手、前列中央の香車の突撃に僕は成すすべもなく、あっさり敗北。『オイ、その配置はないぞ!』。そして隊列を組み直し、二戦目。敵は相変わらずせこい布陣を組んできたが、深いことは気にしない岳登の隙を上手くすり抜け、香車にて事前に行く先を遮っておき、銀将にて王手!勝負あり。ラジオを聴き夕食を食べ、日没と共にテント場の一日は終わった。

高山裏避難小屋


高山裏の戦い 第一戦は岳登勝ち(左:勝負前、右:勝負後)
※後々写真を見て気付いたが、岳登の香車は裏金となり、この時王手ではなかったようだ


第二戦は岳登負け(左:勝負前、右:勝負後) ※いずれも画像クリックで拡大

棒ラ-メン

テント場の夕焼け

日没
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