焼岳南峰
【山域】焼岳南峰(2455m)
【日時】平成23年7月3日
【天候】曇り
【岳人】岳登(小6)、僕
中尾登山口(4:35) 昨日激薮の安房山から無事下山後、奥飛騨ガ-デンホテル焼岳の湯に浸かり、汚れた体と溜め込んでしまった冷や汗を流していた。この時から既に、今日の目的地は決まっていたのかもしれない。パッとしない天気予報と共に、すっかり笠に登るという強い意気込みは失せてしまっていた。いまさら焼岳・・、という気もしない訳ではない。岳登は5度目、僕は覚えているだけでも9度目となるからである。北アルプス大橋の駐車場で車中泊、目の前に聳える筈の笠ヶ岳は昨夕から一度もその雄姿を現してくれない。翌朝、近くの中尾登山口まで移動。通い慣れた山とは言え油断は出来ない、登山届を提出し薄暗い中歩き始めた。

登山道入口

雨に輝く
標高1740m地点(5:48、6:00) ここまで頑張って歩いた。適当な石に腰を下ろし、朝食のおにぎりを頬張る。このコ-スの楽しみの一つでもある”ヒカリゴケ”。理由はよく分からないが、どの角度から見ても今日は光っていないようだ。右手に雨量計の建物が現れると、このル-トの要所となる秀綱神社も近い。ここには戦国時代の武将、かつて松倉城主でもあった三木秀綱が祀られており、峠越えの安全が守られている。更に神社を過ぎると次第に展望が開け、森林限界を越え峠へと出る。

秀綱神社

焼岳小屋、旧中尾峠分岐
旧中尾峠(6:52、7:06) 本来であれば、登ってきた中尾の背後には均整のとれた飛騨の名峰笠ヶ岳が目の前に大きく聳え、峠の反対側には上高地が蛇行する梓川と共に眼下に望めるところだ。しかし今日は何も見えない。梅雨だから仕方ないが、最近こんな天候ばかりだ。その上、飛び虫が異常に多く、目や鼻、口や耳にまで容赦なく入り込もうとする。のんびりと休む事もはばからない。目の前にある筈の焼岳北峰目指し、霞む急登を息を切らせながら登って行く。しかしこの急登、今日はこれだけだからまだいいが、昨年中ノ湯から焼岳を経由して西穂高岳まで日帰りした時は辛かった。焼岳、西穂の山頂を踏み、長時間歩き終えた最も辛い時間帯、旧中尾峠からはこの辛く長い急登が待っていた。”あの時は本当に辛かったな・・”。そんな間近な出来事や、過去の子供達との焼岳を思い出しながら、感慨深げに登り切った。

ノアザミの蕾

一瞬の兆し

急登に喘ぐ

因縁の山頂直下

岳登年長(回想) ※眠気に勝てず山頂直下で登頂断念
焼岳北峰(7:56、8:18) 焼岳は僕が最も好きな山。手軽に登れる事もさることながら、晴天時の眺望は大変素晴らしい。そしてあの匂い、まるで温泉にでも浸かっている気分にさせてくれる。そして卵。中尾から登る時はいつも生卵を6個持ち込み、噴煙口で硫黄卵を作っては楽しんでいた。焼岳北峰到着。客人は地下足袋姿の名古屋の青年、かなり年季の入った津の年配男性、僕等親子の計4人。眺望は全くない。相対する南峰も見えなければ、パックリ口を開いた火口の姿も伺えない。実は10回近く焼岳に登っているのに、一度も南峰に登った事がない。ロ-プで立入禁止となっている為だったが、一応焼岳最高峰は南峰となっている。北峰に来る前に登ってきたという津の単独行に触発され、僕等も早速始めての南峰を目指した。賑わうシ-ズン中だと、規制を越えた登山は他の登山者の建前もあり自ずと御法度となる。今日はまだ朝早く、こんな視界ではそんな煩わしさもない。恐る恐る規制のロ-プを跨ぎ、未開の山頂へと向かった。

岳登3歳(回想) ※父の背に揺られ初めての山頂を体験

岳登小1(回想) ※小3の姉と一緒に中尾から前年のリベンジを果たす

岳登小5(回想) ※中ノ湯から焼岳を経由して西穂高岳まで日帰り

現在岳登小6
予想に反し結構登られているのか、踏み跡は意外と明確だった。しかし登り始めると、直ぐに急峻な岩場が行く手を拒んできた。幾つか難所を越え、連なる山頂部に出た。非常に痩せた尾根を慎重に進む。思ったより怖い。どおりで規制する訳だ。あまり来ようとは思わない方が無難だ。やがてイワカガミやアカモノが広がるお花畑に出た。ここが南峰である。

南峰への登りが始まる

急峻な岩場
焼岳南峰(8:35、8:42) 山頂には古びた山頂標識があったが、三角点は見当たらない。進んだ先の巨石には黄色のスプレ-で氏名が2つ記されている。登頂記念に書いたのだろうが、これは頂けない。もし書かれた名が自分の氏名なら完全に馬鹿である。急峻な南峰の様々な一面に別れを告げ、早速戻るとする。中ノ湯の方から多くの登山者が登って来ているのが分かる。慎重に痩せ尾根や岩場を通過し、一気に旧中尾峠まで下り立った。

焼岳南峰

岩に記念の落書きが2箇所

南峰山頂

南峰を背に急峻な痩せ尾根を戻る

難所が続く
旧中尾峠(9:24、9:38) 峠の高台に尻を据え、しばし休憩を取る。一瞬ガスが割け眺望の期待がかかったが、長くは続かなかった。中尾方面から続々と登山者が登ってくる。そんな光景は登山口手前まで何組か続いた。こんなに遅い時間から登るのも大変だな。頭の中で勝手に彼等の下山時刻を見積もってみたが、何とか明るい内には帰って来れそうだ。雨がパラパラと落ち始めてきた。やはり登山は早発ちに尽きる。様々な事を想定し、明るい時間を残して下山する事が鉄則である。

旧中尾峠と上高地

帰りは作業道を通ってみる
中尾登山口(11:03) 久々の中尾ル-ト。3年前に当時小1の穂乃花と卵を担いで登った時以来となる。かなり熱々の栃尾荒神の湯で汗を流し、昨日偶然知った映画鑑賞会へ出かけてみる。小惑星探査衛星”はやぶさ”が宇宙を彷徨い、小惑星イトカワへの着陸を経て地球に生還する・・、というスケ-ルの大きな記録映画だった。音楽やナレ-ション効果と相まってとても見応えがあった。だが冷房が程好く効いている為僕の瞼は自ずと閉じようとし、必死に映画に喰らい付こうとする僕の意思とは真逆の結果となってしまった。それは隣に座る岳登も同じようで、その小さな寝息が、必死で退治しようとしている僕の睡魔まで完全に増殖させていた。

中尾登山口

映画鑑賞会(HAYABUSA)
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【日時】平成23年7月3日
【天候】曇り
【岳人】岳登(小6)、僕
中尾登山口(4:35) 昨日激薮の安房山から無事下山後、奥飛騨ガ-デンホテル焼岳の湯に浸かり、汚れた体と溜め込んでしまった冷や汗を流していた。この時から既に、今日の目的地は決まっていたのかもしれない。パッとしない天気予報と共に、すっかり笠に登るという強い意気込みは失せてしまっていた。いまさら焼岳・・、という気もしない訳ではない。岳登は5度目、僕は覚えているだけでも9度目となるからである。北アルプス大橋の駐車場で車中泊、目の前に聳える筈の笠ヶ岳は昨夕から一度もその雄姿を現してくれない。翌朝、近くの中尾登山口まで移動。通い慣れた山とは言え油断は出来ない、登山届を提出し薄暗い中歩き始めた。

登山道入口

雨に輝く
標高1740m地点(5:48、6:00) ここまで頑張って歩いた。適当な石に腰を下ろし、朝食のおにぎりを頬張る。このコ-スの楽しみの一つでもある”ヒカリゴケ”。理由はよく分からないが、どの角度から見ても今日は光っていないようだ。右手に雨量計の建物が現れると、このル-トの要所となる秀綱神社も近い。ここには戦国時代の武将、かつて松倉城主でもあった三木秀綱が祀られており、峠越えの安全が守られている。更に神社を過ぎると次第に展望が開け、森林限界を越え峠へと出る。

秀綱神社

焼岳小屋、旧中尾峠分岐
旧中尾峠(6:52、7:06) 本来であれば、登ってきた中尾の背後には均整のとれた飛騨の名峰笠ヶ岳が目の前に大きく聳え、峠の反対側には上高地が蛇行する梓川と共に眼下に望めるところだ。しかし今日は何も見えない。梅雨だから仕方ないが、最近こんな天候ばかりだ。その上、飛び虫が異常に多く、目や鼻、口や耳にまで容赦なく入り込もうとする。のんびりと休む事もはばからない。目の前にある筈の焼岳北峰目指し、霞む急登を息を切らせながら登って行く。しかしこの急登、今日はこれだけだからまだいいが、昨年中ノ湯から焼岳を経由して西穂高岳まで日帰りした時は辛かった。焼岳、西穂の山頂を踏み、長時間歩き終えた最も辛い時間帯、旧中尾峠からはこの辛く長い急登が待っていた。”あの時は本当に辛かったな・・”。そんな間近な出来事や、過去の子供達との焼岳を思い出しながら、感慨深げに登り切った。

ノアザミの蕾

一瞬の兆し

急登に喘ぐ

因縁の山頂直下

岳登年長(回想) ※眠気に勝てず山頂直下で登頂断念
焼岳北峰(7:56、8:18) 焼岳は僕が最も好きな山。手軽に登れる事もさることながら、晴天時の眺望は大変素晴らしい。そしてあの匂い、まるで温泉にでも浸かっている気分にさせてくれる。そして卵。中尾から登る時はいつも生卵を6個持ち込み、噴煙口で硫黄卵を作っては楽しんでいた。焼岳北峰到着。客人は地下足袋姿の名古屋の青年、かなり年季の入った津の年配男性、僕等親子の計4人。眺望は全くない。相対する南峰も見えなければ、パックリ口を開いた火口の姿も伺えない。実は10回近く焼岳に登っているのに、一度も南峰に登った事がない。ロ-プで立入禁止となっている為だったが、一応焼岳最高峰は南峰となっている。北峰に来る前に登ってきたという津の単独行に触発され、僕等も早速始めての南峰を目指した。賑わうシ-ズン中だと、規制を越えた登山は他の登山者の建前もあり自ずと御法度となる。今日はまだ朝早く、こんな視界ではそんな煩わしさもない。恐る恐る規制のロ-プを跨ぎ、未開の山頂へと向かった。

岳登3歳(回想) ※父の背に揺られ初めての山頂を体験

岳登小1(回想) ※小3の姉と一緒に中尾から前年のリベンジを果たす

岳登小5(回想) ※中ノ湯から焼岳を経由して西穂高岳まで日帰り

現在岳登小6
予想に反し結構登られているのか、踏み跡は意外と明確だった。しかし登り始めると、直ぐに急峻な岩場が行く手を拒んできた。幾つか難所を越え、連なる山頂部に出た。非常に痩せた尾根を慎重に進む。思ったより怖い。どおりで規制する訳だ。あまり来ようとは思わない方が無難だ。やがてイワカガミやアカモノが広がるお花畑に出た。ここが南峰である。

南峰への登りが始まる

急峻な岩場
焼岳南峰(8:35、8:42) 山頂には古びた山頂標識があったが、三角点は見当たらない。進んだ先の巨石には黄色のスプレ-で氏名が2つ記されている。登頂記念に書いたのだろうが、これは頂けない。もし書かれた名が自分の氏名なら完全に馬鹿である。急峻な南峰の様々な一面に別れを告げ、早速戻るとする。中ノ湯の方から多くの登山者が登って来ているのが分かる。慎重に痩せ尾根や岩場を通過し、一気に旧中尾峠まで下り立った。

焼岳南峰

岩に記念の落書きが2箇所

南峰山頂

南峰を背に急峻な痩せ尾根を戻る

難所が続く
旧中尾峠(9:24、9:38) 峠の高台に尻を据え、しばし休憩を取る。一瞬ガスが割け眺望の期待がかかったが、長くは続かなかった。中尾方面から続々と登山者が登ってくる。そんな光景は登山口手前まで何組か続いた。こんなに遅い時間から登るのも大変だな。頭の中で勝手に彼等の下山時刻を見積もってみたが、何とか明るい内には帰って来れそうだ。雨がパラパラと落ち始めてきた。やはり登山は早発ちに尽きる。様々な事を想定し、明るい時間を残して下山する事が鉄則である。

旧中尾峠と上高地

帰りは作業道を通ってみる
中尾登山口(11:03) 久々の中尾ル-ト。3年前に当時小1の穂乃花と卵を担いで登った時以来となる。かなり熱々の栃尾荒神の湯で汗を流し、昨日偶然知った映画鑑賞会へ出かけてみる。小惑星探査衛星”はやぶさ”が宇宙を彷徨い、小惑星イトカワへの着陸を経て地球に生還する・・、というスケ-ルの大きな記録映画だった。音楽やナレ-ション効果と相まってとても見応えがあった。だが冷房が程好く効いている為僕の瞼は自ずと閉じようとし、必死に映画に喰らい付こうとする僕の意思とは真逆の結果となってしまった。それは隣に座る岳登も同じようで、その小さな寝息が、必死で退治しようとしている僕の睡魔まで完全に増殖させていた。

中尾登山口

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| '11山行記録 | 08:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑