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所有権

不動産登記法に係る者として、この事件が以前から気になっていた。
そして久々の新聞記事を目にし、どうも納得がいかなかった。
まずは、リンクの記事を読んで欲しい。
msn産経ニュ-ス

市側は「85年前に学校用地として土地を取得した」とその所有権を主張。
だが、「その当時の契約書は昭和38年の火災で焼失した」とある。
そうか、それなら校庭にミカンの苗木を130本勝手に植えた親父が悪いな・・
とは到底思えなかった。

ではなぜ、今まで市は固定資産税を課税していたのだろうか。
市有地の税金を市民に課していたのか。
事務的な過失、では済まされない重要な問題である。

その親父は土地の登記名義人(実際は先代)であり、固定資産税もしっかり納めている。
普通に考えれば校庭は自分の土地であり、何を勝手に植えようがいいようにみえる。

市としては、固定資産税を課していたのがかなり痛い。
その上契約書は焼失したときている。
なぜ契約書を交わした際に、所有権の移転登記をしなかったのだろう。
「変更登記をする発想がなかった」では済まされる問題ではなく、
言い換えれば「法律を守るという発想がなかった」、いわゆる確信犯である。

その昔から何代にもわたり、その土地を引き継いでいる地主側。
異動でころころ代わり、その場限りの責任主張ばかりする市役所、学校、警察側。
校長は「教育を受ける権利が妨げられて残念だ」と嘆く以前に、
もう少し法律を学んだ方がいいのではないだろうか。

「頼まれたので村に貸した。お金は払ってくれなかった」
ただ地主側のこの主張には、いささか無理があるように思える。
証言できる者は既に亡くなっており、実際は金の授受はあったかもしれない。
今までの固定資産税や迷惑料くらいは求めてもいいかもしれないが、
それ以上は求めない方がいい。

先代、先々代の口約束から生じる所有権絡みの問題(交換未登記のような事例)は多々ある。
法務局の公図では曲がっている筆界線が、過去に当事者同士で話し合い直線にされた。
その際、不登法を遵守し土地分筆登記と所有権移転登記をしていれば、
公図と現況は一致し、後々問題が生じる事はない。
しかし莫大な登記費用がかかり、敬遠される場合がほとんどだ。
その土地を相続した者は、そんな先代同士の話等知る由もなく、
筆界は当然直線だと思い込んでおり、僕等の調査結果に耳を傾けてくれない。

何かしら土地をかまった者は、引き継ぐ者の為にその変更登記をしておくべきである。
今回のこの事件も、これを怠った事が全ての発端となった。
僕の周りにも、未だに登記を移転していない事例は山ほどある。
役所側はこれをいい機会に、登記の重要性を再認識して欲しいと願う。

捨て台詞とも言える、地主の最後の言葉が耳に残った。
「校庭の半分は植えていない。その半分で工夫して遊ぶぐらいのハングリー精神が必要だ」

くだらない大人達の些細な揉め事に振り回されることなく、
”野を駆け山を駆け、腹が減れば雑草を食べ、喉が渇けば川の水を飲む”
それくらいの逞しい子供が育ってほしいものだ。

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| 土地家屋調査士 | 15:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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