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夜を徹し、どこまでも・・

先ずは過去の苦い思い出から振り返らなければならない。今年の春に開催された、本州縦断フットレ-ス(青森~下関1550km)スペシャル。長かった新潟県をようやく抜け富山県に入ると、富山市在住の友人が応援に駆け付けてくれた。そしてその後はその友人と、富山市内の二郎系ラ-メン店を訪れる。富山市内にある二郎系は大概完食している。その為僕は意気揚々と野菜の増し増しをコ-ルした。麺は小にしたのだから、これくらい余裕だろう。しかしそれが悲劇の始まりだった。カウンタ-に登場したその有り得ない姿を見て瞬時に言葉を失う。山盛りにされたモヤシがまるでエベレストのように聳え、ラ-メンを頼んだはずなのに肝心の麺が見えない。しばらくはモヤシだけとの格闘に専念し、ようやく麺が見えてきた頃には既に満腹状態。豚入りのチャ-シュ-麺を頼んだが、全て残し勿体ないことをした。嫌いな野菜を前にいつまでも給食を終えれない小学生のように、しばし無言の膠着状態が続く。汁に麺を沈めての隠蔽工作も試みたが、それすら全く不可能な状態に成す術を失った。もう無理だと諦め、店主にこっぴどく叱られ逃げるように店を後にした。
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この春の本州縦断フットレ-ス(青森~下関1550km)スペシャル  ※以下2点、画像クリックで拡大
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小豚ラ-メン(全増し、野菜だけ増し増し)

そんなこともあり、これから糸魚川に向かうにあたり、どうしてもこの店でリベンジを果たしたいと思っていた。あの時の一部始終を知る阪田さんに声を掛け、店の駐車場で待ち合わせをし、再び二人で入店。豚入りはどう考えても無理なので、サイズは前回と同じで、豚無しとした。しかしそれでも大きなチャ-シュ-がしっかりと入っており、食べ応えも中々だった。野菜増し増しをコ-ルするつもりが、直前になって弱気になり、野菜増しにト-ンダウン。ニンニク、アブラ、カラメは全増しにしたが、結局はこれでくどさが増し、苦しむ要因となった。毎回そのことに感付いてはいるのだが、基本ドロドロ系が好きなので、反省の念は次の日には忘れ、結果同じことを繰り返す。
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麺屋豚道場 ぶた壱  ※富山市新庄町
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自動券売機  ※画像クリックで拡大
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小ラ-メン(980円)  ※全増し。二重重ねしても同サイズの器では全く意味がない
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前回のリベンジを果たすのだ

今日は朝からほとんど食べておらず、豚道場に照準を合わせてきた。先ずは取り皿にモヤシを移し、麺から食べていこうとシュミレ-ションもしてきた。しかし店の雰囲気的に取り皿は貰えそうにない。汚れ防止の為に容器は二段重ねになってはいるが、そもそも同じサイズでは全く意味がない。箸を動かす度にテ-ブルには汁が垂れ落ち、綺麗に食べるのは不可能だった。空腹なうちに麺を少しでも減らしておきたいが、モヤシをある程度片付けないことには次へと進めない。前回とさほど変わらぬジレンマを抱えながらも、少しずつ量を減らしていく。右隣に座る阪田さんは量も少なく、早々と平らげた。阪田さんに今回も援助を求め、麺とモヤシを少しだけ食べてもらう。そして何とか、一応完食。今回は叱られることなく、無事店を出る。もし次回も来ることがあったなら、サイズは同じく野菜の増し増しだけのコ-ルとしたい。
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この店はやはり手強かった  ※くどささえなければ、野菜増し増しでも量的にはいけると思う
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何とか一応完食

駐車場でしばらく立ち話をした後、阪田さんと別れ、ようやくこれから本題の糸魚川へと向かう。スポ-ツエイドジャパンが主催する本州縦断フットレ-スには、縦断ステ-ジ(1550km)の他に、往復ステ-ジ(3100km)が用意されている。往復の部が出来たことによって、出場者の間では縦断は片道(或いはハ-フ)扱いされることとなった。そしてこの往復ステ-ジに今現在挑んでいるのが、本州縦断一斉レ-ス(2021、2023)をともに闘った中村俊大選手(通称:かおるちゃん)。彼は春にも往復をしており、史上初の同一シ-ズンでの2度の往復。それに史上2人目の往復1ヶ月切りを目指している。現地で応援するにあたり、走行中のランナ-を見つけるのが結構大変であり、青海駅で待ち構える安全策を取った。彼のFBによると、終電に間に合うように・・と書いてあったので、その終電に的を絞る。富山方面へと向かう終電は22:51、僕が到着したのは22:07。到着後直ぐに彼のFBを覘いたら、まだ到着していないようだった。ただ迎えるだけでは面白くないので、ここまでの移動中はずっとドッキリについて考えていた。そして描いたシナリオが以下の通りである。

かおるちゃんが青海駅に到着。僕は夜のキノコ狩りの風貌に扮し、ヘッドライトを付け腰籠をぶら下げている。そして籠の中には誕生祝のメッセ-ジとプレゼントが・・。

僕) すみません、この辺の方ですか?
か) いいえ、今レ-ス中です。
僕) レ-スって、一体何のレ-スですか?
か) 本州を往復しています。
僕) 車か何かでですか?
か) いいえ、走ってです!
僕) ひぇ~、信じられない!

僕) それで今日はどこまで行くんですか?
か) 富山まで・・
僕) と、と、富山!
僕) 車か何かでですか?
か) いいえ、走ってです!
僕) ひぇ~!

僕) ところで話は変わりますが、この辺で光るキノコを見ませんでしたか?
か) 何ですか、それ?
僕) この辺りに、夜になると光る”ナイトマッシュル-ム”というキノコがあるはずなんです。
僕) 愛好家の間では結構有名なんですよ。
か) へ~、そうなんですね。でも残念ながら見ませんでした。

僕) そうですか、おかしいな・・
僕) まぁ今日は少しだけ別のキノコが採れたので、まぁいいですけど。
僕) 折角なので見てみます?

ここで籠の中を覗き込む、かおるちゃん。そしてメッセ-ジとプレゼントに気付き、思わず言葉を失う。そしてここでタネ明かし。

そんなシナリオを頭の中で繰り返し描いていたが、ヘッドライトを付けたキノコスタイルの自分を見て、これでは完全に怪しいなと、この案は敢え無くボツとなった。知らぬ間にかおるちゃんがホ-ムに行ってしまわないよう、足止め代わりに階段に腰籠を置いておき、見易い位置にメッセ-ジを添えておく。車内で少し待機していると、やがてかおるちゃんがやって来た。トイレに行ったのを見計らって、僕も急いでスタンバイ。彼は期待通り腰籠に興味を示してくれ、その場に5分間立ち尽くした。”誕生日おめでとう!好きなだけどうぞ!”と記したメッセ-ジに甘え、品定めして幾つか手に取っていた。階段を上がっていったところで、ドッキリは終了。行き当たりばったりの展開となったが、結果として我ながら完璧なドッキリだった。昨年の倉井選手へのドッキリに続き、これで2戦2勝となる。
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青海駅(22:06)
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終電は22:51
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夜のキノコ狩りを装う計画でいたが、見るからに怪しいので却下
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腰籠にプレゼントを詰める作戦は、我ながら名案だった

車内で待機して間もなく、かおるちゃんが現れた

足止め代わりに置いていたが、結果良いサプライズになった

列車の音に紛れ、思い切って近くに接近

階段にプレゼントを広げ、必要な物は持ってってもらう。粗末な100均カッパで雨と寒さを凌いでいる、かおるちゃん。どうせボロボロに破れているだろうと、僕も愛用する透明カッパの新品を一つ持参した。春の本州往復の際は100均の靴下3足で通したことも聞いていたので、それよりは質の良い靴下を2足用意。毎夜駅やバス停で野宿(テントやマットの類は持たず、そのまま横になって寝るだけ)する夜は凍えるだろうと、毛糸手袋やカイロも用意した。今日が35歳の誕生日だということで、ケ-キ代わりにスイ-ツを。そして栄養が不足しがちな縦断ランナ-には必須のサラダチキン、チ-ズ、野菜ジュ-ス、トマトジュ-ス、それに菓子パン。手袋とカイロ以外は全て受け取ってもらえたので良かった。
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本州往復3100kmに挑戦中の中村俊大選手  ※5月にも往復完走しており今年2度目

ドッキリ大成功!

本州縦断のルート上で最も危険とされるのが、歩行の難所、親不知区間。その為、親不知を挟む青海駅から市振駅間は大会規定で走行禁止となっている。車にかおるちゃんを乗せ、しばしの深夜ドライブ。市振駅で彼を下ろし、その先の道の駅から彼の荷物を代わりに背負い、少し並走させてもらった。意外とお喋りな、かおるちゃん。こうしてゆっくり話すのは、春の東京観光以来だ。どう見てもランニングには不向きな綿のジャ-ジ下に、一見私服のような長袖シャツ。スペシャル2021の際に所属芸能事務所の仲間達から作ってもらったというオレンジ色のベストを今尚大切に使っているのは、彼の優しい性格の表れだ。シュ-ズはおそらく最安品。ライトは何処で手に入れたか分からないペンライト。あれで夜通し進んでいるのだから本当に凄い。日本に星の数ほどいるランナ-の中で、おそらく彼は誰よりもお金をかけていない。しかしやっていることは誰一人真似出来ない。気持ちの強さだけで進み続ける彼をこうして見ていると、多少なりとも物に依存している自分を大変情けなく思う。だからこそ、いつも彼には言っている。売込みしてスポンサ-を探せと。彼が資金面の不安なくレ-スに取り組めさえすれば、とてつもない記録を打ち立てるだろう。
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境橋を渡り、富山県に入る

色々話しながら、しばらく並走

よくもまぁ、そんな暗いペンライトで
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ここでお別れ(翌0:07)
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強い気持ちだけで連日100kmを走り抜く

どこまでも駈けて行け!

日を跨ぐ深夜の時間帯、30分以上一緒に走り、越中宮崎駅の先で彼と別れた。1日100km走るだけでも充分大変なのに、それを連日続けることがどれだけ大変なことか。10/1に下関駅をスタ-トし、これまで出雲、鯖江、柏崎、秋田(往路)、秋田(復路)、新潟の6つのネットカフェにしか泊まっていない。しかしそれとて短時間で済ませ、利用の主な目的はシャワ-とモバイルバッテリ-の充電にある。通常片道でも2足履くランナ-が多く、1足で済まそうとすると、新品の靴であっても終盤かなりボロボロになっている。しかし彼は当たり前のように往復で1足。今回の往復では未だに靴下2足で回していることにも衝撃を受けた。見た目や性格は女性のように優しいが、根の強さは男以上に男らしい。彼と1時間半一緒に過ごし、とても楽しかったし、沢山の勇気をもらった。今現在、日々100kmペ-スには1日強足りていない。しかし最後まで諦めることなく、やり切ってほしいと願う。次第に小さくなっていく彼の後ろ姿を見送り、揺るぎない意志の強さを感じた。
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往復ランナ-だけが見たことのある景色
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天湖森にて2時間半の仮眠  ※翌朝キノコを求め少し散策したが全然ダメだった
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無事帰宅し、ほぼ徹夜の応援ツア-はコンプリ-ト  ※17時半発、翌8時帰宅

| 本州往復応援 | 21:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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黒部五郎で力尽く~本州横断ゼロフジゼロDNS

来週(7/23スタ-ト)に迫った本州横断ゼロフジゼロ。日本海・糸魚川(新潟県)をスタ-トし、長野県白馬村、大町市、松本市、諏訪湖、山梨県甲府市、富士吉田市を経て、麓の富士浅間神社から富士山頂へと登り、休む間もなく、太平洋・田子の浦(静岡県富士市)へとゴ-ルする。この暑い時期なだけにそれは大変な大会で、昨年参加した際は血尿(原因はおそらく脱水)や幻覚に苦しめられた末、何とか制限時間の15分前にゴ-ルした。今年からは”本州横断ゼロフジゼロフジゼロ”と言う往復の部が新設され、前回完走者の大半は申し合わせたように皆往復にエントリ-していた。この春の本州縦断以降中々体調も戻らない中、故障箇所もあり、本番は歩き主体で挑もうと思っていた。大会1週間前にして、ようやく本格的な山練。富士山と言えど、さすがにぶっつけ本番では後々痛い目に遭うだろう。一度脚を潰すことと、高所順応がこの山行の目的だった。
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新穂高登山指導センタ-  ※3連休の中日、無料駐車場は当然の如く満車だった
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小池新道登山口  ※中尾橋を1:47にスタ-ト。目的は1週間後に迫った本州横断ゼロフジゼロ
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鏡池  ※ここでヘッドライト撤収。本来であれば槍穂高の眺めが素晴らしい
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弓折乗越  ※今日の眺望は元々期待していない

鏡平山荘手前でようやく明るくなってきたが、あいにく眺望と言うものがない。弓折乗越で稜線に出て、その先の双六小屋へ。登り口手前の外水道でソフトフラスクに水を補充しようと先ず先に残りの水を捨てたところ、蛇口をひねっても水が出ない。こんなことは初めてで、補充どころか残っていた分まで捨ててしまうというお粗末な結果に終わった。ここまで短パンとTシャツ姿で駆け上がってきたが、双六岳に近付くにつれ風が吹き荒れ、一気に寒くなってきた。身の危険も感じる中、岩陰に身を寄せ、トレラン用カッパと山用カッパを重ね着し、手にはテムレスを着用。以降寒さは感じなくなったが、下界とは完全な別世界に自然の脅威を感じた。
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双六岳(標高2860m)  ※強風吹き荒れ、ダブルカッパとテムレスで寒さを凌ぐ
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三俣蓮華岳(標高2841m)  ※高度順応を兼ねた長時間の稜線滞在が今回の狙い。悪天も多少は歓迎
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五郎方面へ  ※行く先が見えないのが勿体ない
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登山道外には残雪も多い
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黒部五郎小舎  ※三俣蓮華から結構下ったので、復路のことを思うと憂鬱になる
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カ-ルコ-スは水が豊富  ※双六小屋では何故か水が得られなかった
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趣のある三連滝

黒部五郎小舎辺りから、左足首に痛みを感じていた。先週日曜にも軽く痛めていたが数日で痛みは引き、問題なしと眼中になかった。今現在一番の悩みは6月末に痛めた右アキレス腱痛で、これが最近走れない最たる要因でもあった。それに加え、昨年秋から一様に治らない左腕痛も抱え、週1、2で長らく接骨院通いが続いている。ここまで来て引き返す訳にもいかず、一先ず往路終点の黒部五郎岳を目指す。黒部五郎のカ-ルは涼しげに水が流れ、高山植物も多く、正に天国と呼ぶに相応しい場所だった。目指す稜線の左手辺りにおそらく五郎山頂があるのだろうが、雲に隠れ何も見えない。やがて稜線に這い出て、そこから少しの登りを経て黒部五郎岳に到着。高山市街地からもこの山は確認出来、ポッコリした山容が特徴である。折角の往路ゴ-ルも、辺り一帯は真っ白で何も見えない。滞在する理由はなく、直ぐに復路へと発つ。
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黒部五郎の肩
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黒部五郎岳(標高2840m)  ※相変らず何も見えない
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五郎カ-ル  ※往路終盤から左足首痛が再発し、復路は終始激痛との闘いだった
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チングルマ
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イワカガミ
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五郎平  ※高山植物の宝庫

左足首の痛みは徐々に増しており、先程黒部五郎岳山頂で痛み止めのボルタレンを1錠服用していた。しかし効果は薄く、双六小屋へ向かう途中、追加でロキソニンを1錠投入。痛みは深刻だが、這ってでも自力で戻らなければならない。登り返しは確かにきついが、体力的には思いの外スム-ズに対応出来た。左足首の痛みは登りでは感じないものの、下りになると威力を増した。やがて雲が流れ、待望の眺望が心を楽しませてくれる。遥か彼方に赤牛が見え、やがて水晶が鷲羽が続けて姿を現した。北アルプス最奥の峰々に勇気付けられながら、三俣蓮華への登りに取り付く。往路であれだけ下ったのだから、復路では当然その分登り返さなければならない。一見理不尽にも思えるこの無駄な行程が、山の形を成り立たせている。そして、本日二度目の三俣蓮華岳。今日は結局最後まで黒部五郎の全貌は望めなかった。
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黒部五郎小舎  ※背後に聳える登りに愕然としたが、今日はある程度獲得標高も欲しい
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本日初めての眺望は赤牛岳(左)
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この辺りの雄、水晶(左)と鷲羽(右)
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あの先が三俣蓮華か  ※痛み止めを服用したが効果なし
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本日二度目の三俣蓮華岳  ※黒部五郎岳は最後まで望めなかった
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岐阜県、富山県、長野県境 ※昔、三俣山荘で三県(三市)サミットが行われた。各々の登山口から市長らが集結
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当初鷲羽(正面)にも登る予定だったが、とてもそれどころではない
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赤茶けた硫黄尾根  ※奥には表銀座と大天井

弓折乗越で稜線に別れを告げ、下山開始。僕は長男に”岳登(がくと)”と名付けたが、山好きの友人は稜線の一文字を息子の名に入れている。ここまで来れば後は惰性で下るだけだが、今日の核心はここからだった。足首を手前に曲げる動作が痛みを最も感じ、前傾姿勢になる下りでは、着地衝撃も相まって足首に猛烈な負担がかかる。鏡平山荘で再びボルタレンを1錠投入。痛みが緩和されることを期待してのものだが、気休めでしかなかった。時間的に余裕はあるので、とにかく慎重にゆっくり下る。既に何千kmも使い込んできた裏面テカテカのランニングシュ-ズでは、濡れた岩場に上手く対応出来ない。絶対に転ばないよう、とにかく足の置場には細心の注意を払った。秩父沢を越え、無事林道まで下りてきた。ここまで来れば後はどうにでもなる。普段であれば一気にゴ-ルまで走り切るのだが、今日は歩くだけでも辛かった。時折現れる舗装路で、ダメもとで走り出してはみたものの、やはり痛くて全く走れない。往復で辿った中尾橋から双六小屋までの区間は、結局登りより下りの方が時間を要した。
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双六小屋
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鏡平山荘  ※林道に下りるまでは油断出来ない
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新穂高  ※何とか無事戻って来れた
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新穂高の湯  ※階段を下りる気力はないので、ここは却下


中尾橋 1:47
新穂高登山指導センタ- 2:15
小池新道登山口 3:24
鏡平山荘 5:00
弓折乗越 5:28 
双六小屋 6:04
双六岳 6:42、6:54 
三俣蓮華岳 7:38
黒部五郎小舎 8:38
黒部五郎岳 10:06
黒部五郎小舎 11:25
三俣蓮華岳 12:43
双六小屋 14:00
鏡平山荘 15:23
新穂高登山指導センタ- 18:12
中尾橋 18:47


令和5年7月16日 天候曇り


標準コ-スタイム:25時間10分(昭文社・山と高原地図)  ※中尾橋~新穂高区間除く
所要時間:17時間00分  ※全区間
距離:52.9km (△3851)

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Goto東京(1)~本州縦断スペシャル同窓会

本州縦断フットレ-ス1550kmスペシャル。日本にはそんな世界最長の1ステ-ジレ-スが存在するが、その同窓会が東京で開催された。朝一のJRで高山へと向い、そこから高速バスで一路東京へ。到着後はそのまま電車を乗り継ぎ、二子玉川へと移動。どこで合流するかが一つのポイントだったが、その先の河川敷でドンぴしゃり、無事皆に会うことが出来た。今日は宴会前に50km走るという計画が示されていた。前回の同窓会に参加した川上選手からは、『ファンランのはずが、かなりガチだった・・』という話を聞いており、それなりの緊張感を持ってこの場に挑む。しかし正午過ぎに新宿に着く僕は、10時スタ-トには当然間に合わない。そもそも走り切る自信がないが故、これが逆に好都合だった。
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50kmランに途中から参加したが何故か2人しかいなかった(13:21)  ※二子玉川駅先の多摩川にて合流
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曇り空でやや涼しいが、飛騨に比べればかなり蒸し暑い

若干蒸し暑い曇り空の多摩川を、色々と話をしながら楽しく走る。大勢で走っている姿を想像していたが、何故か武井選手と吉澤選手の2人しかいなかった。幹事の倉井選手の姿もなく、武井選手が世話役を受け継いでいた。歩き専門の上田選手と付添いの中村選手(かおるちゃん)はショ-トカットしながら後ろをついてくるらしい。無難に20km以上を走り終え、宿近くの銭湯へ。高品選手が入口前で待っていた。4人で風呂に入り、やがて後ろの2人も合流。一旦宿へと歩いて向い、そこで合流したメンバ-も含め、皆で近所のス-パ-に買い出しに向かった。
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新宿のビル群が聳え立つ(16:25)
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銭湯を終え(17:08)  ※ここで合流した高品選手は30分待っていたらしい
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民泊の貸し切り一軒家(17:17)  ※いわく付きだったが、立地は最高
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2階ベッドル-ム
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3階ベッドル-ム
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近所のス-パ-で買い出し(18:13)  ※皆の両手が塞がる程爆買い

そして待ちに待った大宴会。参加者は今回2023年大会の参加者に加え、前回2021大会の参加者。それに大会を主催するスポ-ツエイドジャパンの舘山代表、そして先日チ-ムイ-ストウインドの一員としてカナダ大会に参戦した明日香さん(武井選手夫人)。今回の全てを段取りしてくれた倉井選手に至っては残念ながら島根からのWEB参加となった。普段僕らは特別変わった人間(変人)として扱われている。そもそも本州を走って縦断しようと考えること自体、かなりレアな人種だろうと思うし、実際それを実践した人はそう何人もいない。
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大盛り上がりの懇親会(18:32)  ※スペシャル2023、2021の各選手と舘山大会長。画像クリックで拡大
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倉井選手は島根からWEB参加(20:02)  ※ギタ-と歌声を聴けなかったのが残念

そんな似た価値観の者同士が集まっているからこそ、会は終始盛り上がり、話しは延々と尽きることはなかった。僕が誰よりも飲んでいた気もするが、気付くと空は明るくなっていた。知らぬ間に人数は減っていたが、ついに上田選手までテ-ブル脇で横になった。俄に信じ難い日数でゴ-ルした、全歩きの上田選手。今回のスペシャルでセンセ-ショナルを巻き起こしたと言っても過言ではないし、ウォ-カ-の強さを日本中に知らしめた立役者でもある。僕は4時半に切り上げたが、かおるちゃんと高品選手は未だ元気だった。さすがこの2人、全てにおいて次元が違う。
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九州大学卒の理論派上田選手が何やら力説している(20:49)  ※隣の川上選手も凄く楽しそう
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夜も深まった頃、真打濱田選手登場(21:53)  ※吉澤選手が握手で迎える
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日を跨ぎ残るは5人(翌1:53)  ※日本縦断、スペシャル制覇&本州往復、最強ウォ-カ-、スペシャル2位
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レ-ス中幾度となく徹夜していた上田選手だが酒には勝てず(翌4:03)


2日目へ

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本州縦断コラム(3)~空想の町

※スペシャル2023大会中、眠気対策の一環としてFacebookに日々投稿を挙げていた。幸い時間だけは余る程有るので、普段思っていることを文章にまとめてみた。以下、Facebookより抜粋


1550kmにも及ぶ、気の遠くなるような道のりを辿る本州縦断ランナー。
幾多の試練を乗り越え辿り着く下関のゴールは勿論嬉しいが、それ以上に嬉しい場所がある。

下関・・、果たしてそんな町が本当に存在するのだろうか。
それはきっと主催者の思い込みによる、空想の町ではないのだろうか。
そう思えるほど、遠い存在に感じた下関。

そんな時、ふいに目の前に現れるのが、『下関286km』の道路標識。
前回初めて目にした時、全身鳥肌が立った。
ここまで来れば、もう終わったも同然だ。
後はその距離を詰めていくだけの単純作業となる。

そしてこの頃から、同時に湧き上がってくる不思議な感情がある。
死ぬ程辛かった、本州縦断の長い道のり。
寝ても覚めても、容赦ない地獄の日々が待っていた。
いっそのこと、ここでやめてしまおうか・・。
ギリギリの精神状態の中、選手は皆、絶望の淵に立たされている。

それなのに、これまで抱いていた感情とは全く異なる思いが心の奥底から湧き上がってくる。
もう終わってしまうのか・・。
大変だったけど、充実していた日々。
ともに闘ってきた仲間との別れ。
下関へのカウントダウンが始まり、僕は今その寂しさの中にいる。


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出雲市中心部に入り、初めて現れる下関の文字

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本州縦断コラム(2)~かけがえのない仲間達

※スペシャル2023大会中、眠気対策の一環としてFacebookに日々投稿を挙げていた。幸い時間だけは余る程有るので、普段思っていることを文章にまとめてみた。以下、Facebookより抜粋


本州縦断フットレース・スペシャル・・。
この大会で受ける試練には想像を絶するものがある。
連日3時間睡眠での、17時間行動。
夜には意識が朦朧とし、幻覚が現れることも多々。

そんな絶望の淵に立たされている時、ふと仲間の顔が脳裏に浮かぶ。
最後尾の僕ですらこんな状態なのだから、より追い込んでいる前の選手の壮絶さは想像もつかない。
僕は一人じゃないんだ!
気持ちを奮い立たせ、再び足を前へと踏み出す。

この大会で得られる最大の成果は、完走賞や完走盾など形有るものではなく、
命を賭けて共に闘った、かけがえのない仲間達との出会いだと思う。


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青森駅での開会式  ※競技説明をする舘山大会長(右)と11名の選手達

| 本州縦断レ-ス2023 | 09:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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