夜を徹し、どこまでも・・
先ずは過去の苦い思い出から振り返らなければならない。今年の春に開催された、本州縦断フットレ-ス(青森~下関1550km)スペシャル。長かった新潟県をようやく抜け富山県に入ると、富山市在住の友人が応援に駆け付けてくれた。そしてその後はその友人と、富山市内の二郎系ラ-メン店を訪れる。富山市内にある二郎系は大概完食している。その為僕は意気揚々と野菜の増し増しをコ-ルした。麺は小にしたのだから、これくらい余裕だろう。しかしそれが悲劇の始まりだった。カウンタ-に登場したその有り得ない姿を見て瞬時に言葉を失う。山盛りにされたモヤシがまるでエベレストのように聳え、ラ-メンを頼んだはずなのに肝心の麺が見えない。しばらくはモヤシだけとの格闘に専念し、ようやく麺が見えてきた頃には既に満腹状態。豚入りのチャ-シュ-麺を頼んだが、全て残し勿体ないことをした。嫌いな野菜を前にいつまでも給食を終えれない小学生のように、しばし無言の膠着状態が続く。汁に麺を沈めての隠蔽工作も試みたが、それすら全く不可能な状態に成す術を失った。もう無理だと諦め、店主にこっぴどく叱られ逃げるように店を後にした。
この春の本州縦断フットレ-ス(青森~下関1550km)スペシャル ※以下2点、画像クリックで拡大
小豚ラ-メン(全増し、野菜だけ増し増し)
そんなこともあり、これから糸魚川に向かうにあたり、どうしてもこの店でリベンジを果たしたいと思っていた。あの時の一部始終を知る阪田さんに声を掛け、店の駐車場で待ち合わせをし、再び二人で入店。豚入りはどう考えても無理なので、サイズは前回と同じで、豚無しとした。しかしそれでも大きなチャ-シュ-がしっかりと入っており、食べ応えも中々だった。野菜増し増しをコ-ルするつもりが、直前になって弱気になり、野菜増しにト-ンダウン。ニンニク、アブラ、カラメは全増しにしたが、結局はこれでくどさが増し、苦しむ要因となった。毎回そのことに感付いてはいるのだが、基本ドロドロ系が好きなので、反省の念は次の日には忘れ、結果同じことを繰り返す。
麺屋豚道場 ぶた壱 ※富山市新庄町
自動券売機 ※画像クリックで拡大
小ラ-メン(980円) ※全増し。二重重ねしても同サイズの器では全く意味がない
前回のリベンジを果たすのだ
今日は朝からほとんど食べておらず、豚道場に照準を合わせてきた。先ずは取り皿にモヤシを移し、麺から食べていこうとシュミレ-ションもしてきた。しかし店の雰囲気的に取り皿は貰えそうにない。汚れ防止の為に容器は二段重ねになってはいるが、そもそも同じサイズでは全く意味がない。箸を動かす度にテ-ブルには汁が垂れ落ち、綺麗に食べるのは不可能だった。空腹なうちに麺を少しでも減らしておきたいが、モヤシをある程度片付けないことには次へと進めない。前回とさほど変わらぬジレンマを抱えながらも、少しずつ量を減らしていく。右隣に座る阪田さんは量も少なく、早々と平らげた。阪田さんに今回も援助を求め、麺とモヤシを少しだけ食べてもらう。そして何とか、一応完食。今回は叱られることなく、無事店を出る。もし次回も来ることがあったなら、サイズは同じく野菜の増し増しだけのコ-ルとしたい。
この店はやはり手強かった ※くどささえなければ、野菜増し増しでも量的にはいけると思う
何とか一応完食
駐車場でしばらく立ち話をした後、阪田さんと別れ、ようやくこれから本題の糸魚川へと向かう。スポ-ツエイドジャパンが主催する本州縦断フットレ-スには、縦断ステ-ジ(1550km)の他に、往復ステ-ジ(3100km)が用意されている。往復の部が出来たことによって、出場者の間では縦断は片道(或いはハ-フ)扱いされることとなった。そしてこの往復ステ-ジに今現在挑んでいるのが、本州縦断一斉レ-ス(2021、2023)をともに闘った中村俊大選手(通称:かおるちゃん)。彼は春にも往復をしており、史上初の同一シ-ズンでの2度の往復。それに史上2人目の往復1ヶ月切りを目指している。現地で応援するにあたり、走行中のランナ-を見つけるのが結構大変であり、青海駅で待ち構える安全策を取った。彼のFBによると、終電に間に合うように・・と書いてあったので、その終電に的を絞る。富山方面へと向かう終電は22:51、僕が到着したのは22:07。到着後直ぐに彼のFBを覘いたら、まだ到着していないようだった。ただ迎えるだけでは面白くないので、ここまでの移動中はずっとドッキリについて考えていた。そして描いたシナリオが以下の通りである。
かおるちゃんが青海駅に到着。僕は夜のキノコ狩りの風貌に扮し、ヘッドライトを付け腰籠をぶら下げている。そして籠の中には誕生祝のメッセ-ジとプレゼントが・・。
僕) すみません、この辺の方ですか?
か) いいえ、今レ-ス中です。
僕) レ-スって、一体何のレ-スですか?
か) 本州を往復しています。
僕) 車か何かでですか?
か) いいえ、走ってです!
僕) ひぇ~、信じられない!
僕) それで今日はどこまで行くんですか?
か) 富山まで・・
僕) と、と、富山!
僕) 車か何かでですか?
か) いいえ、走ってです!
僕) ひぇ~!
僕) ところで話は変わりますが、この辺で光るキノコを見ませんでしたか?
か) 何ですか、それ?
僕) この辺りに、夜になると光る”ナイトマッシュル-ム”というキノコがあるはずなんです。
僕) 愛好家の間では結構有名なんですよ。
か) へ~、そうなんですね。でも残念ながら見ませんでした。
僕) そうですか、おかしいな・・
僕) まぁ今日は少しだけ別のキノコが採れたので、まぁいいですけど。
僕) 折角なので見てみます?
ここで籠の中を覗き込む、かおるちゃん。そしてメッセ-ジとプレゼントに気付き、思わず言葉を失う。そしてここでタネ明かし。
そんなシナリオを頭の中で繰り返し描いていたが、ヘッドライトを付けたキノコスタイルの自分を見て、これでは完全に怪しいなと、この案は敢え無くボツとなった。知らぬ間にかおるちゃんがホ-ムに行ってしまわないよう、足止め代わりに階段に腰籠を置いておき、見易い位置にメッセ-ジを添えておく。車内で少し待機していると、やがてかおるちゃんがやって来た。トイレに行ったのを見計らって、僕も急いでスタンバイ。彼は期待通り腰籠に興味を示してくれ、その場に5分間立ち尽くした。”誕生日おめでとう!好きなだけどうぞ!”と記したメッセ-ジに甘え、品定めして幾つか手に取っていた。階段を上がっていったところで、ドッキリは終了。行き当たりばったりの展開となったが、結果として我ながら完璧なドッキリだった。昨年の倉井選手へのドッキリに続き、これで2戦2勝となる。
青海駅(22:06)
終電は22:51
夜のキノコ狩りを装う計画でいたが、見るからに怪しいので却下
腰籠にプレゼントを詰める作戦は、我ながら名案だった
車内で待機して間もなく、かおるちゃんが現れた
足止め代わりに置いていたが、結果良いサプライズになった
列車の音に紛れ、思い切って近くに接近
階段にプレゼントを広げ、必要な物は持ってってもらう。粗末な100均カッパで雨と寒さを凌いでいる、かおるちゃん。どうせボロボロに破れているだろうと、僕も愛用する透明カッパの新品を一つ持参した。春の本州往復の際は100均の靴下3足で通したことも聞いていたので、それよりは質の良い靴下を2足用意。毎夜駅やバス停で野宿(テントやマットの類は持たず、そのまま横になって寝るだけ)する夜は凍えるだろうと、毛糸手袋やカイロも用意した。今日が35歳の誕生日だということで、ケ-キ代わりにスイ-ツを。そして栄養が不足しがちな縦断ランナ-には必須のサラダチキン、チ-ズ、野菜ジュ-ス、トマトジュ-ス、それに菓子パン。手袋とカイロ以外は全て受け取ってもらえたので良かった。
本州往復3100kmに挑戦中の中村俊大選手 ※5月にも往復完走しており今年2度目
ドッキリ大成功!
本州縦断のルート上で最も危険とされるのが、歩行の難所、親不知区間。その為、親不知を挟む青海駅から市振駅間は大会規定で走行禁止となっている。車にかおるちゃんを乗せ、しばしの深夜ドライブ。市振駅で彼を下ろし、その先の道の駅から彼の荷物を代わりに背負い、少し並走させてもらった。意外とお喋りな、かおるちゃん。こうしてゆっくり話すのは、春の東京観光以来だ。どう見てもランニングには不向きな綿のジャ-ジ下に、一見私服のような長袖シャツ。スペシャル2021の際に所属芸能事務所の仲間達から作ってもらったというオレンジ色のベストを今尚大切に使っているのは、彼の優しい性格の表れだ。シュ-ズはおそらく最安品。ライトは何処で手に入れたか分からないペンライト。あれで夜通し進んでいるのだから本当に凄い。日本に星の数ほどいるランナ-の中で、おそらく彼は誰よりもお金をかけていない。しかしやっていることは誰一人真似出来ない。気持ちの強さだけで進み続ける彼をこうして見ていると、多少なりとも物に依存している自分を大変情けなく思う。だからこそ、いつも彼には言っている。売込みしてスポンサ-を探せと。彼が資金面の不安なくレ-スに取り組めさえすれば、とてつもない記録を打ち立てるだろう。
境橋を渡り、富山県に入る
色々話しながら、しばらく並走
よくもまぁ、そんな暗いペンライトで
ここでお別れ(翌0:07)
強い気持ちだけで連日100kmを走り抜く
どこまでも駈けて行け!
日を跨ぐ深夜の時間帯、30分以上一緒に走り、越中宮崎駅の先で彼と別れた。1日100km走るだけでも充分大変なのに、それを連日続けることがどれだけ大変なことか。10/1に下関駅をスタ-トし、これまで出雲、鯖江、柏崎、秋田(往路)、秋田(復路)、新潟の6つのネットカフェにしか泊まっていない。しかしそれとて短時間で済ませ、利用の主な目的はシャワ-とモバイルバッテリ-の充電にある。通常片道でも2足履くランナ-が多く、1足で済まそうとすると、新品の靴であっても終盤かなりボロボロになっている。しかし彼は当たり前のように往復で1足。今回の往復では未だに靴下2足で回していることにも衝撃を受けた。見た目や性格は女性のように優しいが、根の強さは男以上に男らしい。彼と1時間半一緒に過ごし、とても楽しかったし、沢山の勇気をもらった。今現在、日々100kmペ-スには1日強足りていない。しかし最後まで諦めることなく、やり切ってほしいと願う。次第に小さくなっていく彼の後ろ姿を見送り、揺るぎない意志の強さを感じた。
往復ランナ-だけが見たことのある景色
天湖森にて2時間半の仮眠 ※翌朝キノコを求め少し散策したが全然ダメだった
無事帰宅し、ほぼ徹夜の応援ツア-はコンプリ-ト ※17時半発、翌8時帰宅
この春の本州縦断フットレ-ス(青森~下関1550km)スペシャル ※以下2点、画像クリックで拡大
小豚ラ-メン(全増し、野菜だけ増し増し)
そんなこともあり、これから糸魚川に向かうにあたり、どうしてもこの店でリベンジを果たしたいと思っていた。あの時の一部始終を知る阪田さんに声を掛け、店の駐車場で待ち合わせをし、再び二人で入店。豚入りはどう考えても無理なので、サイズは前回と同じで、豚無しとした。しかしそれでも大きなチャ-シュ-がしっかりと入っており、食べ応えも中々だった。野菜増し増しをコ-ルするつもりが、直前になって弱気になり、野菜増しにト-ンダウン。ニンニク、アブラ、カラメは全増しにしたが、結局はこれでくどさが増し、苦しむ要因となった。毎回そのことに感付いてはいるのだが、基本ドロドロ系が好きなので、反省の念は次の日には忘れ、結果同じことを繰り返す。
麺屋豚道場 ぶた壱 ※富山市新庄町
自動券売機 ※画像クリックで拡大
小ラ-メン(980円) ※全増し。二重重ねしても同サイズの器では全く意味がない
前回のリベンジを果たすのだ
今日は朝からほとんど食べておらず、豚道場に照準を合わせてきた。先ずは取り皿にモヤシを移し、麺から食べていこうとシュミレ-ションもしてきた。しかし店の雰囲気的に取り皿は貰えそうにない。汚れ防止の為に容器は二段重ねになってはいるが、そもそも同じサイズでは全く意味がない。箸を動かす度にテ-ブルには汁が垂れ落ち、綺麗に食べるのは不可能だった。空腹なうちに麺を少しでも減らしておきたいが、モヤシをある程度片付けないことには次へと進めない。前回とさほど変わらぬジレンマを抱えながらも、少しずつ量を減らしていく。右隣に座る阪田さんは量も少なく、早々と平らげた。阪田さんに今回も援助を求め、麺とモヤシを少しだけ食べてもらう。そして何とか、一応完食。今回は叱られることなく、無事店を出る。もし次回も来ることがあったなら、サイズは同じく野菜の増し増しだけのコ-ルとしたい。
この店はやはり手強かった ※くどささえなければ、野菜増し増しでも量的にはいけると思う
何とか一応完食
駐車場でしばらく立ち話をした後、阪田さんと別れ、ようやくこれから本題の糸魚川へと向かう。スポ-ツエイドジャパンが主催する本州縦断フットレ-スには、縦断ステ-ジ(1550km)の他に、往復ステ-ジ(3100km)が用意されている。往復の部が出来たことによって、出場者の間では縦断は片道(或いはハ-フ)扱いされることとなった。そしてこの往復ステ-ジに今現在挑んでいるのが、本州縦断一斉レ-ス(2021、2023)をともに闘った中村俊大選手(通称:かおるちゃん)。彼は春にも往復をしており、史上初の同一シ-ズンでの2度の往復。それに史上2人目の往復1ヶ月切りを目指している。現地で応援するにあたり、走行中のランナ-を見つけるのが結構大変であり、青海駅で待ち構える安全策を取った。彼のFBによると、終電に間に合うように・・と書いてあったので、その終電に的を絞る。富山方面へと向かう終電は22:51、僕が到着したのは22:07。到着後直ぐに彼のFBを覘いたら、まだ到着していないようだった。ただ迎えるだけでは面白くないので、ここまでの移動中はずっとドッキリについて考えていた。そして描いたシナリオが以下の通りである。
かおるちゃんが青海駅に到着。僕は夜のキノコ狩りの風貌に扮し、ヘッドライトを付け腰籠をぶら下げている。そして籠の中には誕生祝のメッセ-ジとプレゼントが・・。
僕) すみません、この辺の方ですか?
か) いいえ、今レ-ス中です。
僕) レ-スって、一体何のレ-スですか?
か) 本州を往復しています。
僕) 車か何かでですか?
か) いいえ、走ってです!
僕) ひぇ~、信じられない!
僕) それで今日はどこまで行くんですか?
か) 富山まで・・
僕) と、と、富山!
僕) 車か何かでですか?
か) いいえ、走ってです!
僕) ひぇ~!
僕) ところで話は変わりますが、この辺で光るキノコを見ませんでしたか?
か) 何ですか、それ?
僕) この辺りに、夜になると光る”ナイトマッシュル-ム”というキノコがあるはずなんです。
僕) 愛好家の間では結構有名なんですよ。
か) へ~、そうなんですね。でも残念ながら見ませんでした。
僕) そうですか、おかしいな・・
僕) まぁ今日は少しだけ別のキノコが採れたので、まぁいいですけど。
僕) 折角なので見てみます?
ここで籠の中を覗き込む、かおるちゃん。そしてメッセ-ジとプレゼントに気付き、思わず言葉を失う。そしてここでタネ明かし。
そんなシナリオを頭の中で繰り返し描いていたが、ヘッドライトを付けたキノコスタイルの自分を見て、これでは完全に怪しいなと、この案は敢え無くボツとなった。知らぬ間にかおるちゃんがホ-ムに行ってしまわないよう、足止め代わりに階段に腰籠を置いておき、見易い位置にメッセ-ジを添えておく。車内で少し待機していると、やがてかおるちゃんがやって来た。トイレに行ったのを見計らって、僕も急いでスタンバイ。彼は期待通り腰籠に興味を示してくれ、その場に5分間立ち尽くした。”誕生日おめでとう!好きなだけどうぞ!”と記したメッセ-ジに甘え、品定めして幾つか手に取っていた。階段を上がっていったところで、ドッキリは終了。行き当たりばったりの展開となったが、結果として我ながら完璧なドッキリだった。昨年の倉井選手へのドッキリに続き、これで2戦2勝となる。
青海駅(22:06)
終電は22:51
夜のキノコ狩りを装う計画でいたが、見るからに怪しいので却下
腰籠にプレゼントを詰める作戦は、我ながら名案だった
車内で待機して間もなく、かおるちゃんが現れた
足止め代わりに置いていたが、結果良いサプライズになった
列車の音に紛れ、思い切って近くに接近
階段にプレゼントを広げ、必要な物は持ってってもらう。粗末な100均カッパで雨と寒さを凌いでいる、かおるちゃん。どうせボロボロに破れているだろうと、僕も愛用する透明カッパの新品を一つ持参した。春の本州往復の際は100均の靴下3足で通したことも聞いていたので、それよりは質の良い靴下を2足用意。毎夜駅やバス停で野宿(テントやマットの類は持たず、そのまま横になって寝るだけ)する夜は凍えるだろうと、毛糸手袋やカイロも用意した。今日が35歳の誕生日だということで、ケ-キ代わりにスイ-ツを。そして栄養が不足しがちな縦断ランナ-には必須のサラダチキン、チ-ズ、野菜ジュ-ス、トマトジュ-ス、それに菓子パン。手袋とカイロ以外は全て受け取ってもらえたので良かった。
本州往復3100kmに挑戦中の中村俊大選手 ※5月にも往復完走しており今年2度目
ドッキリ大成功!
本州縦断のルート上で最も危険とされるのが、歩行の難所、親不知区間。その為、親不知を挟む青海駅から市振駅間は大会規定で走行禁止となっている。車にかおるちゃんを乗せ、しばしの深夜ドライブ。市振駅で彼を下ろし、その先の道の駅から彼の荷物を代わりに背負い、少し並走させてもらった。意外とお喋りな、かおるちゃん。こうしてゆっくり話すのは、春の東京観光以来だ。どう見てもランニングには不向きな綿のジャ-ジ下に、一見私服のような長袖シャツ。スペシャル2021の際に所属芸能事務所の仲間達から作ってもらったというオレンジ色のベストを今尚大切に使っているのは、彼の優しい性格の表れだ。シュ-ズはおそらく最安品。ライトは何処で手に入れたか分からないペンライト。あれで夜通し進んでいるのだから本当に凄い。日本に星の数ほどいるランナ-の中で、おそらく彼は誰よりもお金をかけていない。しかしやっていることは誰一人真似出来ない。気持ちの強さだけで進み続ける彼をこうして見ていると、多少なりとも物に依存している自分を大変情けなく思う。だからこそ、いつも彼には言っている。売込みしてスポンサ-を探せと。彼が資金面の不安なくレ-スに取り組めさえすれば、とてつもない記録を打ち立てるだろう。
境橋を渡り、富山県に入る
色々話しながら、しばらく並走
よくもまぁ、そんな暗いペンライトで
ここでお別れ(翌0:07)
強い気持ちだけで連日100kmを走り抜く
どこまでも駈けて行け!
日を跨ぐ深夜の時間帯、30分以上一緒に走り、越中宮崎駅の先で彼と別れた。1日100km走るだけでも充分大変なのに、それを連日続けることがどれだけ大変なことか。10/1に下関駅をスタ-トし、これまで出雲、鯖江、柏崎、秋田(往路)、秋田(復路)、新潟の6つのネットカフェにしか泊まっていない。しかしそれとて短時間で済ませ、利用の主な目的はシャワ-とモバイルバッテリ-の充電にある。通常片道でも2足履くランナ-が多く、1足で済まそうとすると、新品の靴であっても終盤かなりボロボロになっている。しかし彼は当たり前のように往復で1足。今回の往復では未だに靴下2足で回していることにも衝撃を受けた。見た目や性格は女性のように優しいが、根の強さは男以上に男らしい。彼と1時間半一緒に過ごし、とても楽しかったし、沢山の勇気をもらった。今現在、日々100kmペ-スには1日強足りていない。しかし最後まで諦めることなく、やり切ってほしいと願う。次第に小さくなっていく彼の後ろ姿を見送り、揺るぎない意志の強さを感じた。
往復ランナ-だけが見たことのある景色
天湖森にて2時間半の仮眠 ※翌朝キノコを求め少し散策したが全然ダメだった
無事帰宅し、ほぼ徹夜の応援ツア-はコンプリ-ト ※17時半発、翌8時帰宅
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