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シゲ島山

【山域】シゲ島山(878m)
【日時】平成23年10月23日
【天候】曇り
【岳人】ナナ(年少)、嶺花(小2)、穂乃花(小4)、僕


久々野発電所踏切(14:02)  日ノ観ヶ岳からの下山後に向かったのは、高山市久々野町船渡にあるシゲ島山。何とも渋い山名だが、初耳となる。国土地理院の電子国土基本図(地形図)で偶然目にした三角点のある山で、林道が山頂近くまで延びているようだ。藪山を好むマニアックな登山者でも、この山の存在を知る人は極稀であろう。情報は当然なく、WEBで仕入れた地形図が唯一山頂への道標となる。国道41号線対岸の久々野発電所が起点となり、JR踏切手前の空地に駐車し歩き出す。発電所を右に従え林道へ入る。林道は最初こそ凸凹の悪路だったが、その後は程度も良く車での通行も問題なさそうだ。未舗装の幅広の林道を大きく屈曲すること3回、峠に出た。林道はこの先下りにかかるが、地形図によるとやがてこの先は行き止まり。右手は鉄塔巡視路で、かなりの急降下。ここは地形図通り屈曲方向を選び、形相の変わった幅狭の通路へと入って行く。
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久々野発電所とJR踏切
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林道入口
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何度か大きく屈曲
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峠  ※林道はこの先下り、右手は巡視路の急降下
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上写真二つは選ばず峠でも屈曲、幅狭の歩行通路に入る

峠以降道幅はかなり狭くなり地盤も不安定、轍はあるが車での通行は無理だろう。今回歩いているこの林道、至る所に林道分岐や近道のショ-トカット、整備された巡視路が広がっている。下手に入り込んでロストしてもいけないので、無難に地形図に従った方がいい。林道入口から計5回の屈曲を経て、光差す稜線に出た。ここは鉄塔No.39、40、41への分岐となっており、登りが続くNo.39方面へと進んでみる。やがて手入れの効いた巡視路は下りとなってきた。これは違うと巡視路の最高点まで戻り、気合を入れて藪林に突入。穂乃花とナナを出口付近に待機させ、嶺花と二人藪を掻き分け山頂を探る。眺めていたピ-クに着き付近をくまなく探すが、藪は深く三角点は見つからない。腕時計の高度計は山頂標高を充分満たしているのにおかしいな。所詮登山とは無縁の山、これも仕方ないのか・・。藪に包まれたこのピ-クの先は下りとなっているが、その奥に何かあるようにも見える。嶺花をピ-クに残し、一人偵察に行く。心配していた下りは直ぐに終わり、先程のピ-クよりも高度感のある頂が見えた。直下は刈り払われており、山頂を確信し急いで登り切る。すると期待通りそこが山頂だった。
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歩行通路でも屈曲  ※次第に屈曲区間が短くなってきた、山頂も近いか
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稜線の明かりが見えてきた
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稜線鉄塔分岐は、No.39方向へと右折
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山頂目指し、適当に藪尾根に入る
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藪は弱冠手強い
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山頂直下は刈り払われていた

シゲ島山(15:28、15:35)  執拗に三角点を追い求めて良かった。危うく偽ピ-クに満足して下山するところだった。嶺花とその奥の穂乃花達を呼び寄せ、皆で山頂に立つ。年少のナナは初めての藪漕ぎに心身共疲れ果てたようである。山頂には三角点とそれを示す表示杭のみがあり、山名を記したものは何もない。道は別方向に一箇所延びており、道はそちらの方が分かり易そうだ。錆果てた缶からや古びたペットボトルが木に吊るされ、山頂を虚しく飾っていた。こんな無名の山でも丁寧に刈り払われた跡や残された人工物から察するに、僅かながら人の出入りもあるようだ。だがそれは登山者ではなく、明らかに山関係の方のものだろう。記憶の残るうちに再度藪を抜け、安全圏の巡視路まで戻るとする。幼子のナナには度重なる藪漕ぎはあまりにも過酷だ。ここまで一人で歩いて来たのだから、帰りくらい背負子でゆっくり楽しんでいきな。
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シゲ島山の三等三角点
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ひっそりとした山頂部
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藪を戻る

巡視路展望地(15:45、16:05)  何とか無事巡視路まで戻り、少し先へ下った展望地で再度昼食とする。眼下にはまずまずの眺望が広がって見えた。食事を終え、再びナナを担ぎNo.40鉄塔まで足を延ばす。ここからも別のアングルの眺望が広がって見えた。僕達は鉄塔から眺望を楽しんだり、山頂の三角点で写真を撮って喜んでいるだけだから呑気なものだが、仕事とは言え道無き山奥に鉄塔や三角点を作った人達は本当に凄い・・。つくづく、そう思った。
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展望地で再度昼食
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展望地からの眺め  ※中央に久々野消防署、高台には久々野中学校
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No.40鉄塔
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No.40鉄塔からの眺め  ※国道41号線とJR高山線、広がる久々野の中心地

久々野発電所踏切(16:44)  下山は足の遅いナナを背中に担いでいる為、スイスイと歩が進む。気が付けば次の屈曲カ-ブが代わる代わる登場。危険を冒して近道を選ぶまでもなく、あっさりと発電所へと戻って来た。嶺花は初めて大きなザックを背負い、穂乃花は終始ゴミ拾いに徹した。何とか明るい内に下山。着替えを済まし車内へ入ると、丁度小粒の雨が振り出してきた。
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久々野発電所
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下山は背負子でご機嫌です
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ゴミの収穫  ※誰かが拾わないと永遠とそのまま



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日ノ観ヶ岳と阿弥陀堂

【山域】日ノ観ヶ岳(1105m)
【日時】平成23年10月23日
【天候】曇り
【岳人】ナナ(年少)、嶺花(小2)、穂乃花(小4)、僕


林道終点駐車地(11:32)  最近何故か週末になると天候が崩れる。さっさと岳登との百高山を片付けてしまいたいのだが、已む無く我が家のちびっ子達を引き連れ飛騨の低山へ向う事にした。まずは長女が主将を務める中学女子バスケの試合会場に立ち寄り、そっと応援。冷たい視線を全身に浴びながらも、家では決して見せない直向きな姿に感動した。観戦後、朝日町の登山口へと向かう。しかし肝心の小谷林道入口が分からない、何度も行ったり来たりを繰り返す。地元の方に教えてもらい、何とか林道に入る。猪の進入防護策を開閉し、未舗装の林道を進む。急勾配のS字カ-ブを越えるとその先が登山口、その僅か先が林道終点であった。終点広場に駐車し歩き出す。この終点から鉄塔巡視路が反対方向に延びているがそこへは入らず、先程通り越した阿弥陀堂登山口の古びた看板から山に入る。
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小谷林道入口  ※右の街道は国道361号線、策のこちら側が林道となる
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林道起点標柱
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阿弥陀堂登山口

分かり易い道筋が付いた枯れ木の絨毯を颯爽と歩く。程よく伐採された植林林は次第に斜度を増し、幼子のナナには辛い勾配となってきた。誤って斜面に転げ落ちてしまわぬよう皆で手を取り、無事尾根まで登り切った。随所に真新しいピンクテ-プが目立つ。測量が入っている山域でのテ-プの意味合いは、必ずしも登山者の為の道標とは限らない。だがここは道標と決め込み、黙って従う事にした。尾根を一旦左に下る。すると直ぐに明瞭な尾根道が始まった。これは明らかに山頂まで続いているようだ。ナナは辛い登りに、顔の表情を崩している。どうやらこの尾根が久々野町と朝日町(共に高山市)の町界となっているようだ。国土調査の青いプラスチック杭が点々と続き、図根点の大杭も多くある。こんな山奥を測量する業者も大変だろうな・・。僕等が目指す山頂までは、尾根上に点在するプラ杭を追って行けばいいのだ。目の前に岩場が現れた。直登も出来るようだが、無難に左の巻き道を選ぶ。巻き道にはトラロ-プがあるが、体の小さなナナにとっては頼ると逆に危ない。娘の手を取り、慎重に足を運ぶ。巻きの屈曲を終えると、そこが山頂だった。
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急斜面
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尾根に取り付いたら、左へ下る  ※右へは登らない
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山頂直下の岩場は左へ巻く

日ノ観ヶ岳(12:10、12:46)  山頂には阿弥陀堂に三等三角点、由来を記した立て札があり、結局ここまでプラ杭は続いていた。尾根は更に二手に延び、西へと急降下した先の大岩からは唯一展望が開けた。眺望のない広い山頂に戻り、昼食のおにぎりを食べ腹ごしらえ。休憩後、阿弥陀様に手を合わせ下山とする。
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日ノ観ヶ岳
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阿弥陀堂と三等三角点
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日ノ観ヶ岳と阿弥陀堂建立の由来  ※画像クリックで拡大
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船山と蛇行する飛騨川  ※山頂を西に下った大岩からの眺望  

林道終点駐車地(13:10)  念の為に持参していた背負子だが、予定通り使う事はなかった。さすがにこれくらいの山行で一日を締める訳にはいかない。幾つかある近辺の候補の中から的を絞り、次に僕等は久々野町へと抜け国道41号線を南下した。
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林道終点駐車地



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大雨見山

【山域】大雨見山(1336m)
【日時】平成23年10月16日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕


駐車地(8:06)  今週末は天候が悪く、百高山は見送りとした。ならばと地元の笠ヶ岳、緑ノ笠の日帰りに焦点を変え、前夜栃尾入りして車中泊。翌朝3時起床。暗闇の荒神の湯に浸かり空の様子を伺うが、一向に天候の回復は望まれない。皮肉にも雨は激しさを増し、次第に笠に向かう気は失せてきた。笠の日帰りともなれば、それなりのモチベ-ションも必要だ。車内に横たわり、本日の行き先を考える。蒲田富士・・、雨の藪漕ぎは辛そうだな。錫杖岳・・、増水して渡渉は無理そうだし、ヘルメットもない。焼岳・・、確か前回笠を諦めた時も焼岳に行っただろ。考え抜いた末、今春藪に尻を巻いた大雨見山に目的地を決めた。県道国府見座線から飛騨天文台の案内板に従い林道に入る。規制看板に頭を下げ、未舗装の坂道を上って行く。しばらくすると広い空地があり、ここが駐車地となる。この先直ぐにゲ-トが現れ、京都大学飛騨天文台専用道路となる。
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専用道路ゲ-ト
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飛騨天文台専用道路

天気予報通りすっかり雨も上がってきた。落葉舞う秋晴れの小道を、寄り道しながらゆっくり上って行く。水場も3箇所程あり、喉を潤すには丁度良い。重厚な飛騨天文台の門柱脇を通り抜け、天文台の敷地内へとお邪魔する。建物群を右に見て再奥まで進むとそこが登山口、”歩道入口”の表示杭が立っている。
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水場
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京都大学飛騨天文台
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望遠鏡ド-ム

歩道入口(10:16)  さてと、問題はここからだ。前回はこの先の激しい藪に捕まり、遭えなく撤退。この山は僕等にはとても手に負えないと諦めた。記憶に残るコンクリ-ト杭の境界標、これを越えると踏み跡は一層激しさを増す。藪は深く、僕等の背丈を軽く上回る。最後の頼みの踏み跡もなく、岳登を先発隊に走らせ僕はじっとその報告を待つ。やはり僕等には無理だな・・、これ以上は危険だ。諦めかけたその時、運良く激藪は切れた。その先には軽い踏み跡が続き、目印のテ-プも随所に設けられている。
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歩道入口
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境界標  ※この先、激藪が待っている
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薄い踏み跡
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激藪
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秋藪
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山葡萄  ※ほんのり甘酸っぱい

大雨見山(10:43、11:30)  結局踏み跡や目印は山頂まで続き、意外にあっさり登頂となる。注意すべきはあの激藪1箇所だけだった。山頂には一等三角点が堂々と鎮座、この山は大変重みのある山なのだ。来た道と反対方向には、更に踏み跡や目印が続く。別の登り口から延びてきているのだろう。ほど狭い山頂部、周りは高い樹木に囲まれ眺望はない。僅かに樹木の間から天文台の望遠鏡が姿を見せた。随分離れているようだ。山頂を満喫し、帰路に発つ。問題の激藪は左に巻いてみたが、道を充分把握していないと上手く戻るに戻れない。
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大雨見山
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一等三角点
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僅かな眺望
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再び藪漕ぎ

歩道入口(11:46)  

駐車地(13:16)  無事念願の山頂を踏み、再び秋の小道をのんびりと下り駐車地へと戻って来た。これで山頂への行き方が分かったので、前回涙を呑んだ娘3人を是非とも山頂に立たせてあげたい。無性にそう思った。
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ゲ-ト前駐車地



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静かなる南嶺(3)

【山域】笹山南峰(2717m)、笹山北峰(2733m)、白河内岳(2813m)、大籠岳(2767m)、広河内岳(2895m)、農鳥岳(3025m)、西農鳥岳(3050m)
【日時】平成23年10月10日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕


2日目

幕営地(5:45)  天幕の朝が来た。設営した場所は風除完璧、そして寒さ対策万全の着込みの甲斐もあり、非常に暖かい夜だった。だが年々体の大きくなっている小6の岳登と一緒では、僕の小さなモンベルでは限界も近くなっていた。テントの中でまずは目覚めの一杯、そして撤収にかかる。荷造りを終え準備体操をしていると、大籠岳の方からベルを鳴らした単独行が下りて来た。昨日大籠岳直下で見た幕営者だろう。彼より少し遅れて、僕等も2日目の山行を始めた。既に太陽は昇り、ヘッドライトはもう必要ない。稜線を少し進むと、東の空に富士山が見えた。赤みを帯びた空、雲に浮かび上がる富士の雄姿は本当に様になる。西の空には昨日から度々拝んでいる塩見岳が、まだ訪れていない僕等親子を手招きして呼んでいる。今日はすこぶる気分がいい。それは明らかに富士山のお陰だろう。進む先の稜線も秋の色を抱き、僕等の通過を笑顔で待ってくれている。赤い富士、白い富士、もう堪んない。先行する単独行を追うように、僕等も広河内岳の頂に立った。
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爽快な朝
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縦走開始
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東の眺望  ※常に富士山
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西の眺望  ※常に塩見岳
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最高の気分
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赤富士
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広河内、農鳥岳へと続く南嶺尾根  ※右端に北岳も見える
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白富士

広河内岳(6:52、7:13)  眺望は文句なし。最近南アルプスにはツキがあるようだ。木曽山脈の北の彼方には、槍穂の勇敢な稜線が目に入る。大キレットも良く分かる。その素晴らしい眺望に、明らかに岳登の表情も緩んでいる。山頂でのんびり休んでいると、農鳥方面からの来頂者が数名やって来た。さすがにここまで来れば、人の気配が多いに漂っている。
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広河内岳  ※後方は蝙蝠、塩見、仙塩尾根
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木曽山脈

大門沢下降点(7:39、7:49)  帰りに使う大門沢下降点まで下り、僕のザックにカバ-をかけてデポ。安全大国日本と言えど、盗難に備え策は講じるべきである。

農鳥岳(8:17、8:23)  広い農鳥岳の山頂には大きな三角点が鎮座。白峰三山の一角を担うだけあり、ここから望む間ノ岳、北岳は一層近い。しかし僕等の本命は脇役の西農鳥岳。こちらの方が標高が高く、百高山となっているのだ。何度かアップダウンを繰り返し、農鳥小屋分岐まで到達。
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農鳥岳
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鳳凰三山

農鳥小屋分岐(8:51、9:08)  この分岐が西農鳥岳だと思っていたが、三角点や標柱等、山頂を示すものは何もない。ここに至るのに通ってきた2つのピ-クの方が明らかに高く見える。念の為確実に写真だけ撮り、ついでに南に延びる尾根へも足を延ばす。だが残念ながら、そこにも何もなかった。凄まじい強風が剥き出しの稜線に吹き付け、ザックから取り出した空のビニ-ル袋がたて続けに空に飛び散った。どうもこの分岐が西農鳥岳とは到底思えない。戻った先の2つのピ-クに続けて立ち、写真を撮りまくる。どれが山頂なのか分からないが、4箇所も撮れば間違いなくどれかに納まっているだろう。狭い稜線や頂、体の小さな岳登では簡単に吹き飛ばされ、滑落だって充分有り得る。緊張感の抜けた岳登は、激しく親父の鉄拳を喰らい顔面も悪い。
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農鳥小屋分岐
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農鳥小屋、間ノ岳、北岳へと重厚な稜線が続く
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農鳥小屋分岐から振り返る2つのピ-ク  ※右端が農鳥岳、その奥に富士山
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西農鳥岳ピ-ク1
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西農鳥岳ピ-ク2
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赤石山脈の大展望  ※塩見、蝙蝠、荒川、赤石、聖岳等何でも来い

大門沢下降点(10:03、10:21)  農鳥岳まで戻って来た頃には岳登の機嫌も回復し、ザックを置いていた大門沢下降点でようやく梨をかじる。農鳥の稜線では風が強くて、呑気に梨をかじれる状況ではなかったのだ。モニュメントのベルを鳴らし、南嶺と涙の別れ。下山にかかる。目の前には富士の雄姿が常に目に入ってくる。なんという素晴らしい下山道、クセになりそうだ。
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大門沢下降点
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下山道はナイスビュ-  ※大門沢まで富士山がお供してくれる

大門沢(11:29、12:05)  大門沢で昼食とする。この時期、山行2日目のおにぎりは少し堅いが、夏場の粘々よりはまだマシだ。偉そうに、岳登がそう言っていた。何より1合サイズの特大おにぎりは腹持ちが良く、僕等の山行には欠かせない。奈良田から苦労して担いできた大量の水。結局2~3ℓも余ったが、水は命の次に大切なもの。無駄に担いだとは全く思っていない。富士山の雄姿が見れたのは、この場所が最後となった。
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大門沢

大門沢小屋(12:36)  奈良田へは沢沿いの登山道を辿る。目印も多く、さすが人気の一般ル-トである。随所に標識もあり、不気味な面の茸も目を楽しませてくれた。
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秋の清流

標高1585m(13:15、13:25)  小尾根を巻き、急坂を下る。山の地図に記載された通りであったが滑落したら大変、決して気の抜けない要所であった。沢まで下り、巨大な岩の脇を通過。待ち望んだ吊橋はその先にあった。

吊橋(14:15、14:33)  休憩後、吊橋を渡る。川との高低差もあり、何せ通路の幅が狭い。吊橋なので当然揺れるし、足元やサイドの安全策も施されていない。高所恐怖症の僕にとっては、拷問のような代物であった。そんな恐ろしい吊橋を2つ通過し、意を決して挑んだ3つ目の吊橋は何とも立派な橋だった。無事3つの吊橋を終え、工事用道路に出る。広河内庵と名乗るログハウスには塩分補給の為の飴の無料サ-ビスがあった。工事の方の配慮だろうか・・、その心遣いに感激。ここからは未舗装の林道歩きとなる。遥か高所には先程まで歩いていた農鳥の稜線が、まるで他人事のように下界を見下ろしている。この先直ぐ現れる休憩小屋には登山ポストやテ-ブル、丸太のイスが備え付けられているが、広河内庵の後では少し寂しさを覚えた。
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2つ目の吊橋  ※先日のジャンダルムより緊張した
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3つ目の吊橋  ※ここだけ同時通行出来る程安定している
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広河内庵

県道ゲ-ト(15:20、15:25)  まだかまだかと踏ん張って歩き、ようやく林道ゲ-トが見えてきた。その奥には登山者の駐車が1台。ここに停める手もあるのだな。そして県道と合流。ここは県道南アルプス公園線、奈良田から広河原、北沢峠へと延びている。県道トンネル手前に重厚なゲ-トがあり、一般車の乗り入れは出来ない。
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県道南アルプス公園線と奈良田橋

奈良田第一駐車場(15:50)  奈良田橋、丸山林道分岐を経て、大満足の山行は幕を閉じた。駐車場で着替えを済ませ、奈良田の里温泉(大人500円、小学生200円)で2日分の汗を流す。泉質はヌルヌル感を帯びた中々のものだ。内風呂から窓越しに望む大きな吊り橋。その先には発電所があり、その通気口は山腹の上部まで延びている。初日に歩いた手摺のある道だ。僅か昨日の事なのに、既に過去の思い出となっている。明日は平日だが今日は無理して帰らない。築いたばかりの思い出話を肴に、美味しい寿司を食べ、酒を飲み道の駅白州に泊まる。そして明日の未明、一気に家路へと移動する。
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奈良田第一駐車場


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静かなる南嶺(2)

【山域】笹山南峰(2717m)、笹山北峰(2733m)、白河内岳(2813m)、大籠岳(2767m)、広河内岳(2895m)、農鳥岳(3025m)、西農鳥岳(3050m)
【日時】平成23年10月9日
【天候】晴れ
【岳人】岳登(小6)、僕


・・前回のつづき

笹山南峰(12:42、13:00)  笹山南峰で登頂を祝い、いよいよ魅惑の南嶺を北上。笹山北峰ではこの界隈でお馴染みの東海製紙の標柱が僕等を迎えてくれた。目の前には蝙蝠岳や塩見岳が連なって見える。この2山とは尾根こそ違えど、同じ緯度に位置しているのだ。富士山も望めたが厚い雲が邪魔だ、あっちに行ってくれ。南嶺尾根を更に北上。連なる山々が順に聳えているが、山名までは特定出来ない。雲も多くなってきた。視界の効く内に、どれだけでも先へ進んでおかなければなるまい。当初の予定では今日は大籠岳を越えて直下辺りで幕営を考えていたが、稜線への登りで大幅に遅れている。次第に道が悪くなってきた。この南嶺は一般登山道とは言わないようなので、それは重々承知していた。慎重に目印を追っていたのだが、どこで道を外れたのだろう。意地の悪い藪をかわし、何とか道跡に取り付いた。危ない危ない。深い森を抜けると、白河内岳を視界に捉えた。それにしてもこの岩肌、岩茸がすごく多い。今度夏場にゆっくり岩茸採りに来るのもいいかもな。白河内岳手前には幕営に適した平地が多く見受けられる。眺望もいいし今日はここまでとするか・・。一瞬脳裏をよぎったが、それでは明日の行程に響く。もう少し辛抱して先へと進む。なだらかな山頂部を持つ白河内岳へはどこからでも登れそうだが、ここは着実にケルンを追う事にした。だがあまり当てにはならず、何度か藪を掻き分けようやく登り切る事が出来た。

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笹山北峰  ※後方は蝙蝠岳(左)、塩見岳(右)
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厚い雲が富士を覆う
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道は一部分かり難いが
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踏み跡は意外と明確
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白河内岳手前のテント適地

白河内岳(14:40、14:53)  山頂は広く、赤茶けた岩がゴロゴロと転がっていた。今日は視界が良く、山頂標柱もこの先の縦走路も目視出来るからまだいいが、視界ゼロだったら厄介かもしれない。岳登もかなり遅れて登頂。ハイマツに苦戦し、僕の姿も見失って焦っていたようである。休憩後、更に足を進める。大籠岳はどうせ遠いのだろうが、今日は16時くらいまでは歩くつもりでいる。その時点で適当な場所に幕を張ればいい。小屋のテント場を気にしない、こんな自由気ままな山歩きが僕は最も好きなんだ。緩やかな稜線の踏み跡を辿る。多少道を反れても、これだけ視界が良ければ何の問題もない。遥か彼方のポッコリお山はどこだろう・・。そんな事を考えながら歩いていると、目の前の緩やかなピ-クに標柱が立っているのが見えた。もしかして大籠岳・・、もしそうだったら嬉しいな。
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山頂直下のハイマツに苦戦し、岳登は遅れて到着
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白河内岳
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南嶺を行く  ※奥の三角錐が農鳥岳
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視界が良く、大籠岳の標柱が見える

大籠岳(15:34)  やはり、そこは嬉しい大籠岳だった。笹山から白河内岳へは道も悪い上、かなり遠く手こずっていただけにその驚きも大きい。予想外に苦せず百高山の大籠岳をゲット。ここまで来たなら、当初の計画通りとなってきた。山頂で写真を撮り、直ぐに先を目指す。山頂直下のコルには既に1張幕営者がいた。時間もまだあるので、僕等は更に下る。
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大籠岳

幕営地(15:42)  下り切った稜線上の脇に一段低いハイマツ帯があった。張ってくれ!と言わんばかりに開かれた僅かテント1張のスペ-ス。今日見てきた数多くの平地の中で、群を抜いて絶好の幕営適地である。何せ風がない。稜線は風が強く凍える程寒いが、ここは暖かくさえ感じる。それに地面は草地でふかふかの絨毯。ペグの入りも良く、目の前の稜線に出れば夕日を浴びる塩見岳。これまで多くの場所でテントを張ってきたが、ここはベストに近い。寒い稜線で宴会をしつつ、塩見岳の夕焼けショ-を堪能。暖かなハイマツ帯に戻り、草地に座り夕食とする。調理係は岳登、僕はラジオから流れる大音量の音楽とウィスキ-に酔いしれている。数歩先の稜線は寒くて居られないのに、ここは風とは無縁の世界。先日の奥穂の寒い夜が頭から離れない。僕の今宵の井出達は、ざっとこんな具合。頭には毛糸帽を被り、軍手は2枚重ねた。バラナシで買ったチャダル(マフラ-)を首に巻き、上半身はダウンジャケットに合羽、フリ-スも着込みその他長袖は2枚、Tシャツも含め計6枚の完全対策。下半身はスパッツ(ももひき)の上に登山ズボン2着、最後を合羽で仕上げた計4枚の荒技。靴下は2枚履き、その間には両足共カイロを入れている。更に今回はカルカッタで買った毛布も持参、勿論シュラフとシュラフカバ-もある。これだけあれば、幾ら寒がりの情けない僕でも今夜は大丈夫だろう。
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絶好の幕営地  ※強風を防げ稜線との外気温は雲泥の差、底は草地の絨毯
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一段上がれば、目の前に広がる塩見岳  ※稜線は寒くて長くは居られない
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夕食を作る岳登  ※帽子はデリ-で昨冬買った物
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寒空の夕焼けショ-
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蝙蝠岳(左)、塩見岳(中央)、仙塩尾根と続く


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| '11山行記録 | 08:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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