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楽園(2)~山地図とウィスキ-、そして仲間

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ジャ-ニ-の仲間達  ※左から、ほっしゃん、康介、波、僕、タッちゃん


・・前回の続き


波パパが自慢の焚火スペ-スに火を起こしてくれた。ところで波ちゃんが僕らを家に招くと両親に告げた際、『私の友達は皆オッサンばかりなの!』と正直に話したらしい。果たして僕らを示すその呼称がそのまま”オッサン”だったのか、”オジサン”だったのか、気を利かして”男性”だったのかは、深く掘り下げては訊いていない。しかしいずれにしても、友達を連れてくると家族に伝え、突然中年男が4人も現れたなら、さぞかし御両親も驚いたことだろう。何かと煩いこのご時世、外で焚火なんかしていたものなら、どこからか通報されそうな気がしてならない。しかしここなら何の気兼ねもなしに焚火が出来る。なんとも羨ましいことか。そしてその専用ブ-スがある家なんて、僕は生まれて初めて見た。
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波ママも登場し、家族でもてなしてくれた
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朝まででも語ってられそう
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常設の焚火スペ-ス

小屋2階に戻り、BBQの再開。炭を足し、イカやタコを網で焼く。ガスコンロでは残しておいたソ-セ-ジや野菜を炒め、焼きそばを作った。夕方16時過ぎに開始した宴も、気付けば既に深夜へと突入している。23時を過ぎた頃、チャンピオン康介が見るからに眠そうな顔をしてきた。朝練を主体とする僕らは皆、通常では考えられない程の早寝早起きの生活を送っている。康介は平日は大概21時には寝て、朝は4時起き。タッちゃんに至っては、確か3時起きだと言っていた。ここで、ここぞとばかりにテンションを上げてきたのが、お調子者のタッちゃん。メンバ-の中では飛び抜けて夜に弱いが、珍しく今日は今のところ調子いい。いつも宴会では21時には一人お開きするような弱さ故、深夜0時のTJARスタ-トラインには永遠に立てないというのが僕ら仲間の共通の意見であった。しかし今回に限り、何故か形勢が逆転。TJAR2018のチャンピオン様に対し、『そんなんではスタ-トラインにも立てないぞ!』と偉そうに言い放す。しかし康介には言い返す気力すらなく、連日1~2時間睡眠で圧勝を勝ち取ったあの時の面影は微塵もなかった。そして康介は終に限界を迎え、隣の部屋に移り、床に寝転がりシュラフにくるまった。
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宴は尚も続く
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康介の目がしょんぼりしてきた
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焼きそば、イカとタコの醤油焼き

チャンピオンもここまでか

そう言えば集合写真を撮っていないことを、ふと僕が思い出す。そこで誰かに頼み、シュラフに入ったばかりの康介を起こしてきてもらう。その間、僅か2、3分のことだった。しかしさすがにチャンピオンは強かった。ほんの数分の無いに等しい睡眠で、見事に完全復活を遂げた。そしてつい先程まで死にかけていたとは思えないようなひょうきんな顔で、記念写真は撮影された。代わりに本領を発揮したのが、我らがタッちゃん。先程までさんざん康介に言いたい放題だったくせに、知らぬ間に姿をくらましていた。翌日の本人曰く『スタ-トラインは超えた!』と自慢げに言っていたが、スタ-トして直ぐ仮眠では上高地アウトはほぼ確実である。夜は更に深まってきたが、ここからが長い。その原因はいつだって僕なのだが、今日は珍しくほっしゃんや康介も最後(翌3時)まで付き合ってくれた。山好きな僕らは皆、山の地図さえあれば何時間でも語り合うことが出来る。フラスコ片手に山の地図を眺めながら、テント場でのんびり過ごす山行は何事にも代えがたい。
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山地図を眺めながら次の計画を練る
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会社の昼休みにも一人山地図を眺めている珍しい女子

僕は来年の4月~5月にかけて本州縦断フットレ-ス(1521㌔、制限23.5日間)に出場する。そして康介はその3ヶ月後の8月にTJAR(415㌔、制限8日間)の連覇に挑む。例え来年康介が連覇を飾ったとしても、距離や日数、その壮大なスケ-ル感から総じ、康介は僕の脇に置くつもりでいた。しかし康介の思いは全く違った。『4月に目一杯場(飛騨)を盛り上げておいて下さい。その後に連覇して話題をかっさらいますよ!』、そう易々と言い放す。何だこの野郎!俺を前座くらいにしか思っていないのか・・。泣きながら応援した分際で言うのもなんだけど、TJAR優勝を現地で見届けて以降、康介に対する劣等感は相当なものだった。そしてその悔しさをバネに、彼を”ぎゃふん”と言わすことだけを考え、そのチャンスをずっと伺っていた。そして僕は幸いにもその舞台に巡り会い、人生の全てを懸けて日々精一杯励んでいる。日本縦断のジャ-ニ-を存分に楽しんだ上での完走は大前提として、出来れば康介を”ぎゃふん”と言わせれる結果を求めたい。もし連日80㌔進むことが出来たなら、サブ20でのゴ-ルとなる。一先ず今年のステ-ジレ-ス(本州縦断R8、521㌔)を早速今日申し込んだので、試走を兼ね、ここで練習の成果を試したい。リベンジを果たすそのXデ-は、刻一刻と迫っている。
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康介持参のウイスキ-、その名もツインアルプス  ※味より名前で選ぶらしい
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ウィスキ-を飲ますと危険
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締めはホットワイン

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| 大ちゃんジャ-ニ- | 17:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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楽園(1)~肉と鮎、そしてTJAR

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あの時のツ-ショット  ※そんな貴重な1枚になることを僕は願っている


ジャ-ニ-仲間との飲み会を波宅にて催した。15時にシマヤに集まり皆揃って買い出しを行い、無料高速に乗って清見へと一っ跳び。国道を離れ、坂道を少し上った先にその楽園はあった。初めて目にした僕ら男衆は皆目を丸くし、憧れをも越えた何とも言えない感情に瞬時に言葉を失う。自宅側の敷地には小川が流れ、金魚やメダカ、ダム湖で捕った小エビまでもが優雅に泳いでいる。水際にはユキノシタやドクダミなど何種類もの野草が群生し、憧れのビオト-ブがそこに存在した。その上小川は2本に分かれ、これら全てを波パパが造成したというのだから、驚きや感動を越えてもはや笑うしかない。周囲一帯の緑が家屋をさりげなく包み込み、山水を引いた木製の水溜は常に新鮮な冷水を取り込んでいる。ここが双六入口のわさび平小屋でなくても、採れたてのトマトやキュウリを浮かべるのには丁度良い。ウドやワラビにも直ぐ目が留まり、ここなら足を運ばずして山菜も採り放題だ。木工を営んでいる波パパのセンスが随所で光り、植物で覆われた玄関脇の郵便受け一つとっても素敵過ぎて言葉が出なかった。

自宅の道路向かいに波パパの木工小屋があり、こちらも見所、触れ所が満載だった。ツルが巻き付いた年季の入った広葉樹は、天目掛けて大きく伸びている。根元には石段が積まれ、樹木一本ですら、配置を含めその全てが完璧だった。大木からはブランコ代わりの足かけロ-プがぶら下がり、お手製のハンモックなんかもある。自然を愛するアウトドア派の人間にとって、正にここは”最高の楽園”と言っても過言ではない。広葉樹と石を上手く使いこなした小細工は、匠の技、木と石の魔術師とでも言おうか。しかしこの素晴らしい景観を保つのは相当大変だろうとも思い、忙しさを理由に庭をほったらかしにしている自分が少し恥ずかしくなってきた。木工小屋の2階に上り、ベランダに出るとBBQスペ-スが設けられていた。手の届きそうな位置に大木が枝を広げ、まるでツリ-ハウスに居るかのような感覚に陥った。目を動かす度にいちいち感動している僕らだが、ようやく正気に戻りBBQを開始した。
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超マメな男、釣り師ほっしゃん
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鮎は蒸すように、炭で1時間ゆっくり焼く
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自然を愛する者にとって、正にここは最高の楽園
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ソ-セ-ジ、豚スペアリブ、牛肉
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いわし、さんまの炊き込みご飯  ※炊く前
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缶詰は昨年康介がウルトラゴビに持ち込む予定だったもの  ※中国の治安情勢により、渡航直前に中止

釣り師ほっしゃんのおかげで、いつも何かと美味しい思いをさせてもらっている。しかしほっしゃん曰く、今年は雨ばかりで川や海に行けなかったらしく、期待していた鮎やイカは次回以降に持越しとなった。それでもほっしゃんの鮎を知り尽くした豊富な知識、完璧な焼き方によるおかげで、市販の鮎でも充分に美味しく頂けた。こんな自然豊かな環境で育ったからこそ、今の波ちゃんが形成されたのか・・。傷だらけのわんぱく娘を目の前にし、僕らは皆、妙に納得していた。周囲に気を使う必要のないこの恵まれた環境下、僕のスマホから流した音楽が、康介のBOZE(スピ-カ-)を伝い大音響で流れている。『あっ、この歌私好き!』、『あ~懐かしい、昔オレよく聴いたな・・』、そう言われると何だか自分が褒められているようでやけに嬉しかった。
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ほっしゃん作、富山産ホタルイカの干物  ※康介がはまっていた
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鮎の塩焼き  ※食後、串は焚火の材料に
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環境は人を育てる  ※この上ない好環境で育った飛騨のフロ-ネ
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ツリ-ハウスを想わせるロケ-ション
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炊き込みご飯の完成
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鶏せせり、鶏軟骨

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| 大ちゃんジャ-ニ- | 18:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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今日の俺ら、かなり頑張ったな!

6月13日。当初この日僕は宮川町打保から白木峰を往復(40km)しようと計画し、仲間の一人を誘った。しかし『私達はその日、位山三山を周回(45~50km)するから一緒にどう!』と逆に誘われる。しかし僕はトレランはあまり好きではないので、予定通りここは我が道を行くことに。しかし生憎、当日は大雨。雨の日にわざわざ山に行く気もないので、今日の白木峰は中心とし、この日は終始土砂降りの中、21km(2時間20分)集落の外れを走った。車ですれ違った人から見れば、『アイツ馬鹿か・・』と冷ややかに見られるか、『あの人頑張ってるな!』と多少は尊敬の眼差しで見られるかいずれかだろうなと思っていた。当然僕的には後者のつもりで、雨にも負けず自分なりに必死だった。そもそも土砂降りの中あえて走り出すこと自体、相当強い覚悟がないと出来ない。しかし雨を甘く見過ぎていたこともあり、体は完全に冷え切ってしまった。帰宅後は子供を一人連れて温泉へと直行し、そこで2時間過ごす。その後は家のベットで1時間程の昼寝を終え、二度寝しようか迷っている矢先、波ちゃんから呼び出しがかかった。今日に物足りなさも感じていたので、急いで支度と買い出しを済ませ、指定された時間より1時間遅れ、仲間の待つ場所へと到着。幸いまだ火起こしの途中だった。
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ドイちゃんが持ってきてくれたタラバガニ
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マヨネ-ズで炒めるのが富山流
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さぞかし高かったろうに

タッちゃん、ほっしゃん、波ちゃんの3人はこの大雨の中、予定通り位山三山周回を決行したらしい。どうせ途中で止めただろうと思っていただけに、沢と化した登山道にもめげず、最後までやり遂げたことに正直驚いた。ただ話を聞いていくと、タンクトップ姿の波ちゃんが一人ぐいぐいと引っ張り、カッパを着た男性陣は後ろで半泣き状態だったそうだ。富山から来たドイちゃんは周回はせず別のコ-スを走ったそうで、位山の山中でチャンピオン康介に会ったらしい。そんな内容の一部始終を一通り聞き終え、『今日の俺ら頑張ったな!』と僕がニヤニヤしながら言う。すると皆はそれが納得いかないようで、『”俺ら”はないだろう!たった2時間半の人と一緒にせんといてくれ!』と鼻で笑われた。それでも執拗に”俺ら”と繰り返す僕。しかし実際のとこ、仲間の意志の強さに僕は感銘を受けていた。今日の僕の土砂降りランニングでさえ、普通の人から見たらかなり衝撃の光景だったと思う。そんな頑張った感満載の僕に対し、ここまでボロクソ言えるのは、この日それ以上の苦行を成し遂げた彼らだからである。
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元気な仲間達
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僕もご機嫌
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牛肉とソ-セ-ジ
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鶏(けい)ちゃん

各自持ち寄った食材をつまみに、楽しい夜が更けてゆく。釣り人ほっしゃんが持ってきてくれた自作のホタルイカの干物は、初めて食べてみたがとても美味しかった。どうやら天日に乾しておくと、2週間で完全に水気が抜けてこんな形になるらしい。僕も毎年ホタルイカは捕っているので、来年試してみようと思う。康介から差し入れてもらったという魚の缶詰で、誰かが炊き込みご飯を作ってくれた。これが衝撃の美味さで、これはいつか絶対テント場で作ってみたいなと思った。ふと背後から、僕の頭に何か乗せられた。撮ってもらった写真でその何かを確認してみると、見慣れぬロゴの付いた毛糸帽だった。僕は知らなかったが海外の有名メ-カ-の物のようで、仲間曰く、これはかなり高い代物らしい。しかし何故そんな高価なものが、突然僕の頭に? 実はこれ、ドイちゃんから僕へのプレゼントらしく、どうやら本州縦断フットレ-ス(1521km、制限時間564時間)への激励の意味が込められているようだった。来年春に開催されるその壮大なスケ-ルの大会は、仲間の応援無くしてはかなり厳しいものになるだろうと思っている。
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ほっしゃんが作ったホタルイカの干物
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炭で軽く炙ると更に美味しい 
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さんま、にしんの炊き込みご飯  ※缶詰は康介の差し入れ
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夜も更けてゆく  ※ドイちゃんに貰った毛糸帽

21時を過ぎ、さすがタッちゃんの目がしょんぼりしてきた。たとえ今朝早かったとは言え、日中辛かったとは言え、やはりタッちゃんはTJARのスタ-トライン(深夜24時スタ-ト)に立つことは出来ない。僕だけ仮眠した分際で偉そうなことを言うのもなんだけど、その情けない面をカメラに収めようとタッちゃんにカメラを向けた。するとタッちゃん、咄嗟に気転を利かせ、ヘッドライトの明かりを照らし写真を撮らせないよう防除に走る。しかし残念だったなタッちゃん、その作戦も若干甘かったようだ。結局お開きは翌2時過ぎ。最後まで残るメンバ-はいつもと同じ。波ちゃんが日本トップクラスのトレイルランナ-に上り詰める日は、そう遠くないかも知れない。
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さすがタッちゃん、21時過ぎにダウン  ※オ-バ-ナイト系のレ-スは無理だな
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油も水もいらない冷凍餃子

| 大ちゃんジャ-ニ- | 18:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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