ノカンゾウ(野萱草)。ユリ科・ワスレグサ属に分類される多年草。春の若葉は食材として重宝し、夏にはオレンジ色の花が咲く。さすがに日本全土の土手などに自生するだけはあり、一度覚えさえすれば、今後どれだけでも収獲は見込めそうだ。僕はこのノカンゾウを、ある日ふいに知ることとなった。それは日課である朝ランの際、以前峠で会ったことがあるようなご婦人が、線路沿いの土手で何やら植物を採っていた。気になったことは迷わず訊くタイプなので、直ぐに脚を止め、早速ご婦人に尋ねてみた。やはりこの方、以前峠で声を掛けさせてもらった方のようで、その時は『葛の花』を採っていた。ご婦人曰く、これは『ノカンゾウ』とのこと。初めて耳にしたその響きを忘れないよう、『脳肝臓(仮称)』と繰り返し唱えるように、自分の脳と肝臓をも指さしながら、言葉を忘れても体で思い出すようにと、その後30分怪しげに走り続けた。これが貴重な食材であるものとはいざ知らず、僕にはただの草にしか見えなかった。
そして数日後の3/21、再びその場所を走る際、僕もノカンゾウを意識し、採取を試みた。ご婦人の採りこぼしたものから、どれがノカンゾウなのかは直ぐに特定出来た。幸いにも付近にはまだ沢山残っており、僕もラン手袋を汚しながらもそれなりの量を採ることが出来た。採取後はズボンのポケットに袋とともに入れ、その後1時間以上、他にもないかなと探りながら、キョロキョロと又も怪しげに走り続けた。そしてその夜、早速実家にて母の力作を頂く。母は『ノカンゾウ』と言う名前は知っていたが、それがどれなのかは知らなかったようだ。大変便利な、このご時世。レシピはWEB(
クックパッド)でどれだけでも出てくるので、基本食べたいものが食べれる。
ノカンゾウ(野萱草)ご婦人曰く、酢味噌和えが美味しいと言っていたが、確かにその通りだった。ノカンゾウはネギに似ているがネギのようにクセがなく、何よりそのシャキシャキ感が堪らなかった。酢味噌との相性は抜群で、どれだけでも食べれそうなくらい美味しかった。先日富山で捕ってきた
ホタルイカもあったので一緒に和えてもらったが、組み合わせは最高で、こんなに美味い食べ方はないと感激した。ノカンゾウだけでも充分に美味しいと思うが、この時期ならではの食材ホタルイカと是非組み合わせて食べておきたい。土筆(ツクシ)の時期はまだ早かったが、何とか数本見つけ出し、ノカンゾウとともにお吸い物で頂いた。これもシャキシャキ感が堪らず、最高に美味しかった。収穫分が少なかったので2品でノカンゾウは尽きたが、今後は走る度に探して来ようと思っている。ただこのノカンゾウは利尿効果があるようで、翌日の僕はシッコばかりしていた。食べる際は注意が必要となる。
ノカンゾウとホタルイカの酢味噌和え ※これぞ正しく、春の最高の組み合わせ
ノカンゾウと土筆の吸い物 ※これもシャキシャキ感が堪らない
春の山菜フルコ-ス